風光を感じる席にするか、それともおこもり席にしようか『そよや江戸端 喫茶室』[江戸川橋]
階段を上がると、左右に対照的な空間が現れる。商店街に面する陽の間と、深緑の壁が光を吸い込む陰の間だ。戦後建築の平屋は増改築を繰り返し、しゃれた意匠が随所に光る。店主の新実喜久子さんは、工務店を営む一級建築士で「人が暮らした記憶を生かして」リノベ。時折催す茶会やイベント、販売もするアーティストの作品、近所の料理家考案のおやつが、新たな息吹を吹き込んでいる。
『そよや江戸端 喫茶室』店舗詳細
路地の先の茶室で過ごす気張らない時間『神楽坂 和茶』[神楽坂]
小さな看板に誘われ、引き戸を開ければ、正統派の茶室が出迎えてくれる。店主・塚田玲美さんは「お茶のおもしろさを少しでも感じてもらえたら」と、茶室をカフェとして開放。抹茶と上生菓子だけでなく、発酵や収穫の違いを楽しめるよう、和紅茶や、阿波晩茶、和チャイも用意。付かず離れずのもてなしを旨としながらも「話が弾むとつい、にじり寄っちゃう」。茶を囲む時間が朗らかに過ぎていく。
『神楽坂 和茶』店舗詳細
民家をリノベした開放的なカフェ『elm green coffee』[神楽坂]
のんびり過ごす人の姿を見つけ、行き止まりの路地へ入れば、開け放った窓から芳しい香りがこちらを誘う。民家を改装した店は「美容室を営むオーナーが見つけました。仲間のネイリストと3人で、街の人が憩えるカフェにしたくて」と、店長でバリスタの山崎順絵(ゆきえ)さん。エチオピアを軸にした深煎りのエルムブレンドや、スペシャリティーコーヒーが香り高く、カップ片手に談笑する時間がいとおしい。
『elm green coffee』店舗詳細
住宅地で人を呼ぶタイのお母さんの味『AKHA AMA COFFEE』[神楽坂]
オーナーの山下夏沙さんと市川純平さん夫婦がタイで出会ったのは、自身の母親が栽培する豆を用いたカフェを経営するリーさん。「少数民族アカ族出身で、村で初めて大学に行き、食育や教育を広めるための施設をつくってるんです」。その活動に共鳴し、丁寧に作られたコーヒーの味を伝えようと、日本1号店として開店。ハンドドリップを飲めば、すっきりした旨味と深い香りにほれる。
『AKHA AMA COFFEE』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=加藤熊三