風が吹き抜ける心地よい空間『アルスクモノイ』[神楽坂]
2019年9月に開店。並ぶ本はジャンルで区切ることはしていない。「わたしが選んだ本をおすすめするというよりは、お客さんが大切なもの、未知のものに向き合える場所にしたい」と店主の上原麻紀さんは話す。アート、写真集、人文、海外文学など巡り合わせで集まってきたものが、やわらかくつながっている。店主がつくる古本の流れに身を投じてそのときどきで違う好奇心の網を広げてみたい。
『アルスクモノイ』店舗詳細
ここで一息ついて一日を終える愉悦『Book & Bar 余白』[神楽坂]
店主の根井浩一さんが勤めていた出版社を退職、本とお酒を楽しむバーを開いた。自身の蔵書から始まった閲覧用の本は現在2000冊を超え、お客さんが持ってきてくれた本の棚もできた。フードメニューは常時20種類、酒類もビール、ウイスキー、ワイン、日本酒、焼酎、スピリッツと豊富に揃える。家と勤め先以外の第三の場所として、生活の余白を楽しむために大切にしたい店である。
『Book & Bar 余白』店舗詳細
地域のニーズに応えた書店&レンタルオフィス『文悠』[神楽坂]
創業は1946年。代表の橘陽司さんは2代目になる。神楽坂の歴史やガイド本、付録付きの幼年誌などを揃えて地元に根付いた本屋さんとしての役割を担う一方で、街の変化にも敏感だ。2019年には地下フロアをレンタルオフィスに改装。「神楽坂に住む方が代替わりして喫茶店で仕事をしている人が増えたので、そのニーズに応えようと思いました」と橘さん。場所の価値を生かす新たな試みだ。
『文悠』店舗詳細
街が変わると品揃えも変わる『芳進堂 ラムラ店』[飯田橋]
駅ビルの2階にありビジネスマンや学生などさまざまな層のお客さんでにぎわう。店長の鈴木勝也さんは「飯田橋には新刊書店が1軒しかないので何かのジャンルに特化するというよりは、話題書を切らさないようにしています」と話す。ここ数年は、再開発で高級マンションが建ちファミリー層が増えたため、児童書や学習ドリルの売れ行きが伸びている。本屋さんは地域の生活を支えているのだ。
『芳進堂 ラムラ店』店舗詳細
取材・文=屋敷直子 撮影=加藤熊三、鈴木奈保子