トッピングにソフトクリーム!『Café Le Monde』[錦糸町]
背の高いグラスにメロンソーダがなみなみと注がれ、その頂にたっぷりのソフトクリーム。思わず「わーっ!」と声が出る。この店のメニューが総じてボリューミーなのは「満足してもらうため」。駅前という立地から待ち合わせに利用する人が多く、1人当たりの滞在時間が短いので、くつろぐ時間のない人に「量でサービスしたい」という。こだわりのソフトクリームはソーダに溶けてもきめ細やか。舌触りなめらかで、うっとり!
『Café Le Monde』店舗詳細
カクテル用のピーチフレーバーで色づけ『喫茶 宝石箱』[千歳烏山]
ピーチ味は一度やめたが、復活を望む声を受けて定番化。かわいらしい薄ピンク色で、おっとりした甘さが漂う。なおかつアイスクリームはビッグサイズでワンパクな一面も。「子どもの頃、アイスが少ないと寂しかった」と打ち明ける店主・金井直美さんが、当時の願望を大人になって実現した一品だ。所狭しと並べられた「昔欲しかったけれど買ってもらえなかった」昭和時代の漫画やアイドルグッズと同様、ワクワク感満載なのだ。
『喫茶 宝石箱』店舗詳細
おなかいっぱいでもOKさわやかなレモン味『茶房 武蔵野文庫』[吉祥寺]
黄色いクリームソーダは、名物のレモンケーキやカレーライスと同じく、店主の日下茂さんが以前働いていた「茶房 早稲田文庫」(昭和59年閉店)のレシピを受け継いだもの。酸味が軽やかに舌の上を駆けるので、食後のデザートにも向いている。シロップに含まれたハチミツに似た甘みが、ひんやりアイスクリームと相まって癒やし系。変わらぬ味を求めて通うファンもいるのでしょうね、と聞くと、「大げさな!」と日下さんが笑った。
『茶房 武蔵野文庫』店舗詳細
ほのかな苦みが大人な青色ブルーハワイ『gion』[阿佐ケ谷]
店前を覆い、商店街の象徴みたいになっている背の高い草木と共に、30余年前の創業当初からあるクリームソーダ。メニュー表には記載されていないが、全ドリンク+150円でアイスクリームを追加してもらえるので、常連客にはおなじみの存在だ。およそ90g、ドーンとのせられた姿は、ちょっとしたサプライズ。かすかに苦みのあるブルーハワイが、味わい深いアイスと出合った瞬間にパッと舞う。なんだか男前で胸がときめく。
『gion』店舗詳細
メロンソーダを牛乳で割る!『すーぱーみるく』[神楽坂]
今回取材した全物件を見渡しても、これほど変わったクリームソーダは他にない。店名を冠したそれは、なんと牛乳で割っている。配合は、研究に研究を重ねて牛乳たっぷり。言うならば微炭酸のメロンミルクで、アイスクリームの甘みと呼応する。トライするのが少し怖い、という人は、普通のクリームソーダもあるのでそちらをどうぞ。友達でも連れていき、その人に頼んでもらうとか。味比べをして楽しむというのも、ひとつの手だ。
『すーぱーみるく』店舗詳細
ザクロシロップの多層的な味わい『ゆりあぺむぺる』[吉祥寺]
アンティークを並べて、照明を極力抑えた店内は、昼間でもなんとなくほの暗い。その景色の中にふわっと浮き上がって見えるのは、ザクロ味のクリームソーダだ。甘みに混ざって時折顔を出す酸味が色っぽくもあり、ツンデレなキャラクターに引かれること必至。開店40年を超える老舗喫茶店が育んだ、深いピンク色のルックスと、多層的な味、店の雰囲気が三位一体となった一品を堪能して。
『ゆりあぺむぺる』店舗詳細
乳脂肪分の高さにこだわるアイス『東京凮月堂 銀座本店』[銀座]
人に例えるならシュッとした美丈夫。ラインのきれいな逆円錐のグラスに鮮やかなグリーンのメロンソーダを注ぎ、そこにアイスクリームを落とすだけ。アクセサリー(赤いチェリー)は不要だ。アイスは、本来固まりづらい乳脂肪分の高いものを使っているが、しっかり冷やすことでそれを克服。時間が経っても味はぼやけず、ソーダとのメリハリが保たれている。なおかつ全体のバランスがよく、実に上品。漂う甘みにずっと浸っていたい。
『東京凮月堂 銀座本店』店舗詳細
レトログラスに似合いすぎる泡水『昭和レトロ喫茶 セピア』[柴又]
「昭和の喫茶店みたいなクリームソーダを、ラムネでやってみました」。店主の長谷沢貴世子さんが考案したフロートは、ラムネ瓶同様、希少なグラスに入って登場。見た目の透明感がロマンチックで、緑のソーダより少し辛口だ。昭和40〜50年代の日常がある空間で味わううちに、高校生だった私が蘇(よみがえ)る。
『昭和レトロ喫茶 セピア』店舗詳細
取材・文=松井一恵(teamまめ)、信藤舞子 撮影=井原淳一、木村心保