【STEP 1】皇居ランに必要な用品やサービスもこの街なら揃う
人生初の皇居ランに挑むと決めたものの、右も左もわからない。まずは専門家に聞いてみよう。
最初に訪れたのは神保町の『さかいやスポーツシューズ館』。スタッフの斎藤勇一さんは、数多くのランナーがアドバイスを求めにやってくる名物店員だ。
「シューズ選びも重要ですが、さらに膝への負担を軽減させるのはインソール、つまり中敷きなんです。当店では、それぞれの足の形に合わせたインソールを作っているので、ぜひご利用ください」
お次も神保町の『サクラカフェ神保町』。皇居ランナーのために荷物の預かりサービスとシャワーの利用を含むランニングステーションを設けている。「早朝に走るランナーの方には、カレー、ラーメン、サンドイッチなどのモーニングセットが人気ですね」とスタッフの篠原絢子さん。
続いて、御茶ノ水駅付近にあるスーパー銭湯『RAKUSPA1010神田』。100円でロッカーを使えるほか、ラン後のお風呂が楽しめる。「近隣のオフィスで働く方が仕事後に利用されるケースが多いです。炭酸泉のお風呂はランの疲れが取れます」と店長の網代さん。
最後は馬喰町にあるランニング専門店、『Run boys! Run girls!』。スタッフの仲田潔子さんは、フルマラソンのベストタイムが3時間16分という強者だった。「シューズ選びはデザインも大事。気に入ったものだとランのテンションが上がりますから」。ここで、シューズとソックスを購入。さあ、あとは決行を待つのみ!
【STEP 2】数十年ぶりのランニング、果たして完走できるか?
決行の日がやってきた。気温は22℃と絶好のラン日和だ。とはいえ、 一人では心もとないので仲田さんに伴走をお願いした。彼女はふだんから仕事終わりに皇居ランをしており、興が乗った日は5周することもあるらしい。
大手濠の和気清麻呂像前からスタート。シューズの性能に驚いたが、何しろ数十年ぶりのランニング。体がびっくりしている。数百mほど走った地点で早くも小休止。仲田さんは 「大丈夫、自分のペースで行きましょう」 と言ってくれる。
以降、走っては歩くを繰り返して距離を伸ばす。ガチ勢のランナーがすごい勢いで追い抜いて行く。仲田さんいわく、「皇居ランじゃないと見られない景色があります。私が好きなのは千鳥ケ淵付近と東京駅が正面に見えるポイントです」。
二重橋の辺りでは皇宮警察の騎馬隊を見ることもあるそうだ。走り始めて30分ほど経った。
「仲田さん、そろそろゴールでしょうか」
「まだ半分ぐらいです(笑)」。そんなやりとりを経て、スタートから約1時間後にゴール。いやあ、長かった。しかし、東京の真ん真ん中の景色を眺めながらの皇居ランは予想以上に楽しいということがわかった。仲田さん、また一緒に走りましょう。
【皇居ラン トリビア】ここで「皇居ラン」の歴史をご紹介します!
ブームのきっかけは1964年の「皇居1周マラソン」。同年の東京オリンピックでは円谷幸吉がマラソン競技で銅メダルを獲得し、日本中が大いに沸いた。そんな背景のもとに大会を主催したのは銀座のバーやクラブ。約40人のホステスさんが深夜、一斉にスタートを切り、優勝者は1周5kmのコースを23分台で走ったというからすごい。現在は日本一有名なランニングスポットとなり、多い日には1日に1万人ものランナーが集まる。
《ここで準備&休憩ができます》
さかいやスポーツ シューズ館( 神保町 )
アウトドアシューズのことなら何でもござれ
登山・アウトドア用品専門店の『さかいやスポーツ』グループは神保町に店を構えて66年。その中でここはトレイルランニング用のシューズ、ソックス、シューズケア用品などを扱う。足の形状を測定したうえで成型するオリジナルのインソールは、「靴擦れ」「ひざ痛」「指の付け根の腫(は)れ」といった足の3大トラブルを解消してくれる。
『さかいやスポーツ シューズ館』店舗詳細
サクラカフェ 神保町 ( 神保町 )
朝ラン後はおいしいモーニングで満腹に
年間約3万人、世界中から宿泊客が訪れる『サクラホテル』に併設されたカフェ。皇居に近いため、荷物預かりサービスとシャワー設備を備えたランニングステーションを設けている(550円)。朝ランを終えたらシャワーを浴びて、ドリンクバーセット700円、世界のビール1本セット1000円で至福のひとときを味わえるのだ。
『サクラカフェ 神保町』店舗詳細
RAKU SPA 1010神田( 御茶ノ水 )
御茶ノ水ランナーの癒やしステーション
2019年オープンしたばかりのスーパー銭湯。100円を払ってロッカーに荷物を預け、ラン後は480円で水風呂、炭酸泉、替わり湯に浸かれる。御茶ノ水界隈のオフィスに勤める皇居ランナーに愛されている施設だ。館内にはサウナ、食事処、コワーキングスペース、マッサージルームあり(それぞれ別料金)、さまざまな利用法が可能。
『RAKU SPA 1010』店舗詳細
Run boys! Run girls!( 馬喰町 )
ボーイもガールもランランラン!
「ランニングを通じて人生を豊かにする」というコンセプトを掲げるランニング専門店。物販のみならず、ランニング関連の情報発信や交流イベントも積極的に実施。初心者から100マイル(約160km)マラソンへの出場を目指すガチ勢も所属するランニングチームのメンバーは100人を超えている。
『Run boys! Run girls!』店舗詳細
取材・文=石原たきび 撮影=丸毛 透
『散歩の達人』2021年11月号より