『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』

“日常を楽しむプロ”が各地で出会った出来事

スズキナオ 著/ スタンド・ブックス/ 1720 円+税

身近に起こるちょっとした面白いこと、おかしなことに気づき、そのすべてを受け止め、楽しめる才能をもっている。そんな著者が毎日を過ごす中で体験したり、取材したことをまとめたエッセイ集。眠れないバス移動も考えごとをする絶好の機会ととらえる著者は、日常を楽しむプロだ。ダメなんて発想はない。バス以外にも「友達の家の『家系ラーメン』を食べてきた」「71歳のおじいちゃんが作るハンバーガーは全国3位」「ジャンボフェリーはもはや海上の酒場だ」など、日本各地で出会った何気ない出来事が綴られている。

『散歩の達人』本誌では毎月、「今月のサンポマスター本」と称して編集部おすすめの本を紹介してきた。2021年の年明けを迎えた今、昨年分のそれらをじっくりと振り返れば、また新たな発見があるかもしれない。というわけで、今回は2020年1月号で紹介した“サンポマスター本”4冊をご紹介しよう。

『“よむ”お酒』

お酒にまつわるあれこれを大真面目に綴る

パリッコ スズキナオ 著/ イースト・プレス/ 1400 円+税

酒場ライターとして知られるパリッコさん・スズキナオさんの2人が交互に、お酒にまつわるあれこれを、ゆるゆると時に大真面目に綴(つづ)る。お酒の無限の可能性を追求するユニット「酒の穴」の初のエッセイ集だ。例えば「新しい酒のことわざ」では、「『金』に関することわざの『金』を片っ端から『酒』に置き換えたらぜんぜん違和感がない」というテーゼを提示。酒は天下の回りもの、時は酒なり、地獄の沙汰も酒次第、酒の切れ目が縁の切れ目などなど。なるほど~と感心し、そんなことを発表しあう飲み会はどうだろうと妄想。自分も傑作をと考え始めたら、もう酔いの前兆だ。

『散歩の達人』本誌では毎月、「今月のサンポマスター本」と称して編集部おすすめの本を紹介している。外出を控えなければいけない今、家でじっくり本を読もうと思っている方も多いのではないだろうか。というわけで、今回は2020年2月号に書評を掲載した“サンポマスター本”4冊を紹介する。

『戦国、まずい飯!』

戦国時代の食にまつわるエピソード

黒澤はゆま 著/ 集英社インターナショナル/ 840円+税

炊いた米を乾燥させ、石うすでひいた「干し飯」。干した里芋の茎を味噌で煮込んだ「芋がら縄」。そして雑草「スギナ」。そんな戦国時代の食事に注目したのは、歴史小説家でもある著者・黒澤はゆま。なんでも1987年の大河ドラマ『独眼竜 政宗』を観て、「同じものを食べてみたい!」と思ったのがきっかけだとか。本書はそんな曲者である著者がさまざまな文献を渉猟し、戦国の食にまつわるエピソードを9つの食材ごとに紹介。赤米に糠(ぬか)味噌、はたまた牛肉と、そのテーマは多彩だ。

『散歩の達人』本誌では毎月、「今月のサンポマスター本」と称して編集部おすすめの本を紹介している。外出を控えなければいけない今、家でじっくり本を読もうと思っている方も多いのではないだろうか。というわけで、今回は2020年3月号に書評を掲載した“サンポマスター本”4冊を紹介する。

『町田忍の手描き看板百景  ―美あり珍あり昭和あり―』

「手描き看板」をアートとして楽しむ

文・写真 町田 忍/ 東海教育研究所/ 2200 円+税

書の著者・町田忍氏。目を付けたのは、街並みにあふれる「手描き看板」だ。乱雑に設置されていることも多い看板や交通表示が「アート」とはなかなか驚きだ。「噛めば噛むほど味が出る『するめフレーズ看板』」、「錆すらもアート⁉ 『美的風化看板』」など、その切り口は多彩。個人的に気に入ったのは「あなたは誰? それは何? 『キャラ&モチーフ看板』」。焼き肉専門店の手描き看板では、筋肉ムキムキの牛がガッツポーズ。ほかにも、勢いよく描かれた動物や商品に、思わず笑ってしまうものばかり。

『散歩の達人』本誌では毎月、「今月のサンポマスター本」と称して編集部おすすめの本を紹介している。外出を控えなければいけない今、家でじっくり本を読もうと思っている方も多いのではないだろうか。というわけで、今回は2020年4月号に書評を掲載した“サンポマスター本”4冊を紹介する。

『東京のかわいい看板建築さんぽ』

看板建築初心者におすすめ

宮下潤也 著/ エクスナレッジ/ 1600 円+税

東京で今も現役で稼働している看板建築を、写真と解説と、かわいいイラストマップでたどる一冊。巻頭の「看板建築の楽しみ方」では趣向を凝らした西洋建築風のレリーフや日本の伝統模様の装飾、柱や屋根回りなど看板建築の見方や見どころを簡潔にまとめている。この看板建築特有の素敵なあしらいの数々は、建て主や施工に関わった職人たちが自由な発想で施したものがほとんど。細部にわたり工夫やこだわりが詰まっているので、ひとつひとつの建物において見どころ満載だ。密集地帯には看板建築観賞コースも設けられており、看板建築初心者におすすめだ。

『散歩の達人』本誌では毎月、「今月のサンポマスター本」と称して編集部おすすめの本を紹介している。外出を控えなければいけない今、家でじっくり本を読もうと思っている方も多いのではないだろうか。というわけで、今回は2020年5月号に書評を掲載した“サンポマスター本”4冊を紹介する。

『東京「多叉路」散歩 交差点に古道の名残をさぐる』

古地図を基に、多叉路化の歴史をひも解く

荻窪 圭 著/ 淡交社/ 1600 円+税

交通手段の変化や人口流入による土地利用の変化などの影響を受け、新たに道を追加しては、古くからの街道と交わり、時にはそれが何重にも重なり合っている。そんな東京の道の複雑さをの成果ともいえる多叉路を厳選し、多叉路化の歴史を、古地図などを基にひも解いていく、なんとも散歩心をくすぐる一冊だ。選ばれし多叉路は全部で20。九叉路を有する九道の辻(小平市・東村山市)から浅草六区の六叉路、そして赤羽の三叉路まで。360度カメラを駆使した筆者のユニークな解説が光る。まるで謎解きのように街の歴史が理解でき、その場を見る目が変わること間違いなし。

『散歩の達人』本誌では毎月、「今月のサンポマスター本」と称して編集部おすすめの本を紹介している。外出を控えなければいけない今、家でじっくり本を読もうと思っている方も多いのではないだろうか。というわけで、今回は2020年6月号に書評を掲載した“サンポマスター本”4冊を紹介する。