『東京のかわいい看板建築さんぽ』

昭和の商店建築は、自由で楽しい!

宮下潤也 著/エクスナレッジ/1600 円+税

『散歩の達人』2019年7月号「昭和の東京を歩く」特集で看板建築の企画を担当し、看板建築密集地帯を探しに台東区→文京区→千代田区→中央区→港区→品川区と、歩きに歩いてページを制作したのももう1年近く前。それから看板建築に関する本が何冊か発行され、いま看板建築がひそかに注目されているのをひしひしと感じる。東京オリンピックを機に街が生まれ変わっていく最中で、昭和の建物に魅力を感じる人が多いのだろう。
そもそも看板建築とは、資金や土地に限りある個人商店が建てた木造の店舗兼住居。建物の正面部分が看板のように銅板やタイル、モルタルなどの不燃材料で覆われているのが特徴だ。関東大震災後の大正から昭和初期にかけて多く建てられたので、“震災復興のシンボル”とも言われる。
本書は東京で今も現役で稼働している看板建築を、写真と解説と、かわいいイラストマップでたどる一冊。巻頭の「看板建築の楽しみ方」では趣向を凝らした西洋建築風のレリーフや日本の伝統模様の装飾、柱や屋根回りなど看板建築の見方や見どころを簡潔にまとめている。この看板建築特有の素敵なあしらいの数々は、建て主や施工に関わった職人たちが自由な発想で施したものがほとんど。細部にわたり工夫やこだわりが詰まっているので、ひとつひとつの建物において見どころ満載だ。ふだん街を歩いていて看板建築の前を通りかかると、ついつい立ち止まってじっくり見てしまう。密集地帯には看板建築観賞コースが設けられており、読みながらルートを想像しニヤけてしまった。今まで発行された看板建築本の中でも比較的ライトな内容なので、看板建築初心者にぜひ! (佐藤)

『昭和の漱石先生』

小島英俊 著/文芸社/720円+税

大正5年(1916)に胃病により49歳で亡くなったとされる夏目漱石が、1945年8月15日まで生きていたら世界はどう変わっていたか? 漱石が昭和史の裏で暗躍する姿を、大胆な歴史改変により描いた小説。軍国主義に突き進む日本を憂いつつ、漱石の一人称で歴史が語られていく。第2回歴史文芸賞最優秀賞受賞。(土屋)

『贈りもの上手が選ぶ、東京手みやげ&ギフト』

フィガロジャポン編集部 編/CCCメディアハウス/1350円+税

手みやげは、何にしようかと、考えるところから楽しい。と同時に、相手はどんな気分だろうかと、考えたらもう悩ましい。本書はそんな人におすすめしたい、気分があがるビジュアルとそのポイントをまとめたセレクション。お菓子からお弁当、日用品まで。眺めるだけでワクワクする。気になるのは……壺型バウム!(町田)

『東京発! 半日徒歩旅行 調子に乗ってもう一周!』

佐藤徹也 著/山と溪谷社/1000 円+税

本書は2018年に出版された『東京発 半日徒歩旅行』の続編。国内外の徒歩旅行をライフワークとする著者が、東京を起点に半日で楽しめるエリアを紹介する。それぞれのテーマは歴史、文化、地形、乗り物など多様。旧道・旧線を辿る章では、町田にかつて存在した戦車道路を歩く。土地の歴史を振り返りながら、散歩を楽しみたい。(田代)

『散歩の達人』本誌では毎月、「今月のサンポマスター本」と称して編集部おすすめの本を紹介している。2020年も年の瀬にさしかかり、いよいよそれを一斉公開する時が来たと言えよう。ひと月1冊、選りすぐりの12冊を年末年始のお供に加えていただければ幸いである。