マスターとの会話も楽しいオーセンティックなバー
柏駅西口から歩いて数分。階段を上がった先に現れる『Bar Trias』は、木の温もりが心地よいオーセンティックバーだ。路地裏のアパートの一角にあるという立地も隠れ家のよう。
迎えてくれたのはマスターの鈴木卓也さん。この店は柏駅東口にある『Bar Plat』の2号店として2004年にオープンした。マスターは同店で経験を積み、『Bar Trias』を任されるように。のちに店を買い取る形で独立した。
落ち着いた照明の店内にはジャズが流れ、カウンターにはズラリとボトルが並ぶ。一見すると「常連だけが通う店」のようにも見えるが、扉を開けると空気は驚くほど和やかだ。
筆者が「バーは少し緊張するんです」と打ち明けると、「どうぞリラックスして楽しんでください。ウチが初めてのバー体験です、という方も多いですよ」と笑顔で応えてくれた。
穏やかな低音ボイスが心地よい。
店内はカウンターとソファ席を含めて10席のみ。ゆっくりお酒と向き合えるよう、基本は1〜2人の利用が中心で、1グループ3人までとしている。
静かな時間を楽しみたい人にちょうどいい、大人の隠れ家だ。
世界で数百本の希少なボトラーズウイスキーも並ぶ(⇐「並ぶ」トルでも?)
店内には約300本の酒が並び、その半数近くをウイスキーが占める。
毎月3〜4本ずつ入荷する珍しいボトラーズウイスキーも数多く、マスター自身もウイスキーコニサー(鑑定士)の資格を持つ。
だからといって初心者お断り、という空気はなく、ウイスキーの歴史や味わい方など、素朴な質問にも気軽に答えてくれる。
初めて来店した人には、「普段どんなお酒を飲みますか?」と声をかける。
そんな何気ない質問から、会話が始まるのだとか。
ハイボールが好きなら、その延長で楽しめる一杯を。ウイスキーが苦手なら、無理に勧めることもしない。そんな距離感もちょうどいい。
雑談の流れから、ウイスキーの人気銘柄「ボウモア」の話題に。一般的に流通しているボウモアと、1つの樽から詰められたボトラーズのボウモアでは、味も香りも、アルコール度数まで違うという。同じ蒸留所で造られた酒なのに? と思うと不思議で、飲み比べてみたくなった。
バーはお酒に詳しい人が行く場所ではなく、自分が好きな1杯を見つける場所。
マスターと話していると、そんな考え方が自然と伝わってくる。
季節のフルーツで味わう極上のカクテル
ウイスキーを飲んでみようと思ったが、カウンターのメニューボードに書かれた季節のフルーツカクテルに惹かれた。
ラムをベースにしたスタンダードカクテルを、完熟マンゴーでアレンジした一杯。グラスを口元に運ぶと、トロリとした口当たりで、南国を思わせる甘い香りがふわり。
濃厚な果実味のあとにラムの風味がやさしく重なり、後味は意外なほど軽やかだ。
おいしくて一気に飲み干してしまいたくなるが、あえて少しずつ口に含む。時間とともにアルコールがじんわりと体に広がっていく。ビールを一気に飲み干す爽快さとは違う、バーならではの楽しみ方なのだ。
ここではお酒について語り合う人もいれば、静かにグラスを傾ける人もいる。
思い思いの時間が流れる空間で、「大人のバーっていいな」と感じた。
オーセンティックだけれど肩肘張らない。『Bar Trias』でバーの楽しさを知り、大人の階段をまた一段上った気がした。
取材・文・撮影=パンチ広沢





