下北沢の街並みに彩りを添える昭和レトロな洋服たち

六叉路まで来ると住宅地がだいぶ近いので、街のにぎわいに生活感が混じり始める。通り沿いにはやはりたくさんの店が立ち並んでいるけれど、先程までと比べてなんとなく空気が和やかだ。つい立ち止まって見回すと、鋭角に交差した一角に細長い平屋を発見。古着店『プチコション』は下北沢に2店舗あり、こちらが本店にあたる。

下北沢南口商店街を南進すると六叉路に出て、そのまま行くと下北沢と三軒茶屋を結ぶ茶沢通りにぶつかる。
下北沢南口商店街を南進すると六叉路に出て、そのまま行くと下北沢と三軒茶屋を結ぶ茶沢通りにぶつかる。
『プチコション本店』。六叉路の一角にある古い建物で営業中だ。
『プチコション本店』。六叉路の一角にある古い建物で営業中だ。

2000年前後から六叉路の景色に彩りを添えてきた『プチコション本店』。店内に収まりきらない洋服たちが店先にあふれている。取り扱っているのは、1960〜80年代を中心とする国産のレディース古着。昭和レトロな色使いや個性的なデザインが、道行く人の目を引く。

昭和ならではの色柄、デザインの洋服が店内のみならず、店先にも並ぶ。
昭和ならではの色柄、デザインの洋服が店内のみならず、店先にも並ぶ。

「古着屋巡りが目的のお客さんはもちろん、外国人観光客の方もたくさん来てくれます」とスタッフの竹下未紗さん。当時のデザインは現代の若者だけでなく、他国の人の目にも新鮮に映るらしい。一点ものも多く、手に取ってみると作り手のこだわりが感じられる。

「外に並んでいるものを見て『Very cute!』って言いながら入ってきてくれます」

1960〜80年代の国産古着で自由にファッションを楽しむ

店の中も外も色彩豊かで、視界はとてもカラフル。「夏はより鮮やかな色柄のものが増えます」と、竹下さんが夏らしいワンピースを見せてくれた。品揃えは季節によって異なり、夏はワンピースが充実しているそう。秋はカーディガンなど羽織ものが増え、ブラウスも半袖から長袖に変わる。

ワンピースはこれだけ着れば決まるので古着初心者にも挑戦しやすい。
ワンピースはこれだけ着れば決まるので古着初心者にも挑戦しやすい。

ちなみに、「古着の街」と呼ばれているのは、下北沢の他にも高円寺、原宿など複数ある。では、下北沢ならではの古着文化とはなんだろう?

「下北沢には、自由に文化を求める人が集まっていると思います。だからファッションも、型にとらわれずに楽しみたい。フラッと入ったお店で、いつもとは違うスタイルに気軽に挑戦してみたり。そういうお店でいることが、私たちの役割かもしれません」

生地の状態や形がよく、元の持ち主が愛着を持っていたのが伝わってくる。
生地の状態や形がよく、元の持ち主が愛着を持っていたのが伝わってくる。

「いつもとは違うスタイル」に挑戦すると、気分を変えることができる。『プチコション』の主な価格帯は5000円前後と手が届きやすく、挑戦のハードルを低くしてくれる。それでいて、状態が良好なものが揃っているのもうれしい。

「もしも仕入れの段階でダメージが見つかれば、できる限りお直ししてきれいな状態にしてから店頭にお出ししています」

コーディネートに迷ったらスタッフに相談して。きっといいアドバイスをくれる。
コーディネートに迷ったらスタッフに相談して。きっといいアドバイスをくれる。

また、「大事にされていたのか、そもそもきれいな状態で残っているお洋服が多い」とも。1960〜80年代はファストファションもなかったので、たいていの人は何着かの洋服を手入れしながら長く着るというのが一般的だったようだ。『プチコション』に並んでいるものも、50年ほど前に製造されたはずなのにまだ生地にハリがある。材質が良く、縫製もしっかりしているので着古した感じがないのだ。

昭和レトロなアイテムを上手に取り入れるコツを伝授!

竹下さんから、コーディネートのコツも教わった。柄物と柄物を合わせるのは難しいような気もするけれど、「組み合わせるお洋服のどちらにも、赤と赤みたいに同じ色が入っていると合わせやすい」そうだ。さらに、「ストライプと植物の柄というように、雰囲気の違う柄は実はマッチしてくれます」。そんな意外な組み合わせを自分なりに見つけるのが醍醐味なのだとか。

ワンピース5390円。半袖シャツ3300円。方向性の違う柄でメリハリを付けるのが基本。
ワンピース5390円。半袖シャツ3300円。方向性の違う柄でメリハリを付けるのが基本。

「ボタンが付いている前開きのワンピースは1つ持っておくと便利です」

そう言って見せてくれたコーディネートは、アイボリーのスカートとブラウスの上にブルーの前開きワンピースを羽織のように合わせている。スカートとブラウスだけでも悪くはないが、それだとスカートのレース素材やブラウスのフリルが目立ちすぎて、かなりガーリーな印象に。

「コットンのワンピースを羽織ることで、ちょっとだけカジュアルダウンできて、普段着として着られます」

1枚でも着られ、いろいろ着回がきく前開きのワンピース4620円。中に着たブラウス3520円。レースのスカート3960円。
1枚でも着られ、いろいろ着回がきく前開きのワンピース4620円。中に着たブラウス3520円。レースのスカート3960円。
繊細なレースは古着の魅力。同じようなものを今作ろうとするとコストがかかる。
繊細なレースは古着の魅力。同じようなものを今作ろうとするとコストがかかる。

「半袖シャツの上にノースリーブシャツをベストとして重ね着するのも、結構おすすめです」と竹下さん。また、昭和らしいパキッとしたカラーは全体の印象を引き締めてもくれます。「先程、雰囲気の違う柄同士は組み合わせやすいと言いましたが、例えば同じ花柄でも一方はプリントでもう一方は刺繍だったり、生地の材質が異なったりすれば意外としっくり合います」とアドバイスも。最後は、自分の感覚を信じてファッションを楽しもう。

半袖シャツ2750円。ノースリーブシャツ2970円。スカート3850円。緑やブルー系など、色をリンクさせてコーディネート。
半袖シャツ2750円。ノースリーブシャツ2970円。スカート3850円。緑やブルー系など、色をリンクさせてコーディネート。
レース同様、刺繍も魅力の一つ。細かいディティールがたまらない。
レース同様、刺繍も魅力の一つ。細かいディティールがたまらない。

『プチコション』で全身コーディネートするのもいいし、どれか1点を既に持っている普段着に取り入れてみるのもいい。ファッションは、自由に楽しむのがいちばんだ。「いい組み合わせが見つかるとビビッときます」と竹下さんはにっこり。早速、挑戦してみたい。

住所:東京都世田谷区代沢5-33-3/営業時間:12:00〜20:00/定休日:無/アクセス:京王電鉄井の頭線・小田急電鉄小田原線下北沢駅から徒歩4分

取材・文・撮影=信藤舞子