コンセプトに掲げるのは「あなたの好きに新しい1ページを。」という言葉。書店を建物全体の“知的中心”となるフロアとして位置づけ、新たな発見や学びにつながる棚づくりを意識しているという。文学・人文・ビジネスなどを中心としたラインアップで、文学ミュージアム『神奈川近代文学館』ともコラボし、展覧会に合わせたフェアも展開している。執行役員で広報部部長の渡辺恭さんは「単に本を購入するだけの場ではなく、テーマ性のある棚や展示を通じて“本を体験する場”としてご覧いただけたら」と話す。
また、いちばんの特徴は、書店だけではなく多彩なジャンルのサービスを擁する複合型の店舗であること。コワーキング&ラウンジの「Cultivate Space」、生活に寄り添う雑貨や食品のセレクトショップ「YURINDO Port Bazaar」、ギャラリー「GRAVIBES」、そして洋食店「1909」「有隣食堂」など、3フロアで6つのブランドを展開。
本、食、仕事、アートがゆるやかにつながる設計で、日常の幅広いシーンに寄り添ってくれる充実っぷりだ。静かに没頭する読書時間から、食や交流を満喫するひととき、さらに発信や創造まで、文化の交差点として書店を軸にしたさまざまな体験がかなう。
「歴史ある建物を活用した空間で、街の記憶を受け継ぎながら、新しい文化やライフスタイルを提案していきたい」と渡辺さん。明治42年(1909)に横浜で産声を上げた『有隣堂』が、創業の地でスタートさせた新たな挑戦に注目だ。
取材・文=中村こより 写真提供=有隣堂
『散歩の達人』2026年5月号より







