オモロさの裏にアツさあり

それこそ編集部との打ち合わせでもなけりゃ、御茶ノ水駅は乗り換えに使うことがほとんどだった。意識してじっくり構内を見渡したのは初めてかもしれない。

まず、目に留まるのは2021年に誕生したマスコットキャラクター「ちゃみずん」だ。JR東日本首都圏本部広報担当者に問い合わせてみると「弊社の社員がデザインして、駅利用者の投票でキャラ名を決めたんです」とのこと。なかなかシブくて味わい深いデザインだ。しかし、シンプルゆえにポージングは自由自在。遭遇する場所によって表情も違う。コイツ、なかなかの芸達者だ……!

「探してみてね!」。隠れちゃみずん発見。縁起いいね。茶柱立ってるしさ。
「探してみてね!」。隠れちゃみずん発見。縁起いいね。茶柱立ってるしさ。
お茶の水橋口の駅員通用口でも「このドアは開きます」とちゃみずんが呼びかけ。
お茶の水橋口の駅員通用口でも「このドアは開きます」とちゃみずんが呼びかけ。

過去のアイデアスポットでは、2014年に御茶ノ水駅110周年記念で設置された「お茶と水自販機」が外せない。もうネーミングが秀逸よ。

「駅社員の発案を元に地元大学やグループ会社と協力して設置しました」

SNSで好評を博し、以後2回も設置された。今はないのがちと寂しい。

2014年の「お茶と水自販機」。デザインは当時の駅社員が施したという。すっげえ(写真提供=JR東日本)。
2014年の「お茶と水自販機」。デザインは当時の駅社員が施したという。すっげえ(写真提供=JR東日本)。

また、コロナ禍には駅名標のデザインを施した「消毒駅ディスペンサー」を設置したこともあった。

「駅周辺には数多くの病院があるため、医療従事者の方々を応援したいという思いで実施しました」

オモロさの裏にアツさあり。そして、こういったアイデアを駅社員が自発的に出しているのもグッとくる。

「利用されるお客さまに喜んでいただきたい。その気持ちで日々アイデアを出し合っています」

構内のポスターはほとんどが駅社員の手作り。ちゃみずんへの愛着もひしひし感じる。
構内のポスターはほとんどが駅社員の手作り。ちゃみずんへの愛着もひしひし感じる。

見つけてにっこり。裏話でほっこり。ニッチなスポットが今後も現れるに違いない。御茶ノ水駅は見て楽しむ駅なのだ。異論は認めます。

2024年12月31日に開業120周年を迎えた、進化中の御茶ノ水駅。聖橋口の改札前広場は2025年3月31日に工事が終わり、開放された。
2024年12月31日に開業120周年を迎えた、進化中の御茶ノ水駅。聖橋口の改札前広場は2025年3月31日に工事が終わり、開放された。

取材・文・撮影=どてらい堂
『散歩の達人』2025年5月号より

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