『あちこち屋』街と作業所をチョコレートがつなぐ
福祉作業所『ウイズタイム』の個性豊かすぎるメンバーとスタッフが、ビーントゥバーのチョコレートやカカオスイーツを販売。カカオ豆の皮を一粒ずつむくところから手作りする。
・9:00~17:00(水は11:00~15:00)、月・木・日・祝休(不定休あり)。
・☎なし
・Instagram:achikochiya
『和紅茶専門店 SANKODO(サンコウドウ)』スタイリッシュ空間で優雅にティータイム
実際に現地に訪れて選んだという静岡県や鹿児島県、熊本県など9つの茶園の茶葉をメインに季節限定も用意。渋みの少ない穏やかな味が多い。北海道産小麦を使った自家製スコーンは、外はサクッとして中はしっとり。数量限定ランチも好評。
・11:00~18:00、月・火休(不定休あり)。
・☎03-6904-5977
・Instagram:tearoom.sankodo
『スノウドロップ』天然氷のかき氷は大泉の夏の風物詩
静かな住宅地にある隠れ家のようなカフェ。南アルプスの天然氷を使い、濃厚なフルーツソースのかき氷にファンが多い。練馬野菜をたっぷり使った定食などのランチのほか、奈良の雑貨や器も販売。
・11:30~16:30、木・金・土のみ営業(7・8月は日も営業)。
・☎090-7843-0443
・Instagram:snowdrop_a
『POT 大泉町店』本格中華を楽しむ進化系ファミレス
子連れウェルカムのファミリーレストラン。インパクト大の酢豚は外側がカリッとした食感もおいしく、黒酢ソースもコクがあってまろやか。ラー油を2種類合わせたよだれ鶏も本格的で、子供だけでなく大人も大満足だ。
・11:30~15:00・17:00~22:30(金・土・祝前日の夜は~23:00)、無休。
・☎03-4400-8222
『牧野記念庭園』富太郎の気配を感じるように再現された書斎は見もの
植物学者・牧野富太郎が大正15年(1926)から亡くなるまでの約30年間を過ごした場所。NHK朝の連続テレビ小説『らんまん』では富太郎が主人公のモデルに。書斎と書庫の内部は、当時の資料や家族の記憶を基に再現された。園内で2023年からコーヒーも提供開始。
『魚菜なかなか』旬の料理と日本酒を楽しめる居心地抜群の穴場
寿司店の3代目が営む和食店。「気軽に来られるけど、しっかり料理も楽しめて日本酒も揃っている店があったらいいなと自分も思って」とは、店主の中村雅史さん。北陸料理店で働いていた縁で手に入る食材のほか、旬の魚介や野菜を使った一品も本日のおすすめで登場。
・17:00~23:00、日・祝休(不定休あり)。
・☎03-3922-6484
・Instagram:uosai_nakanaka
『ビストロシュベール』純喫茶から普段使いの食堂へ
この地で創業57年の「喫茶シュベール」が2022年5月にビストロとして再始動。パスタやピザなどのイタリアン、デザート、おつまみ、クラフトビールと多彩になり、使い勝手がアップ。ハッピーアワーは11時30分~20時とほぼ一日中!
・10:00~22:00(日・祝は~21:00)、月夜・火休。
・☎03-3925-5446
『bée(べー)』パンをもっと気軽に楽しめる空間に
2024年5月からベーカリーカフェとして一新し、パンと総菜のラインアップが充実。「本場の食べ方などを伝えながら、もっとパンを楽しんでいただけるようになります」とは、まとめ役の國島はるひさん。今後に乞うご期待!
・10:00~19:00、日・月・第3火休。
・☎03-5387-3522
・Instagram:haruhikunishima
『Chinese Tapas hachi(チャイニーズ タパス ハチ)』広東料理で旬の練馬野菜を味わう
本日おすすめの大泉野菜の塩炒めには、アスパラ、タケノコ、スナップエンドウなどが使われ、食感を生かした火入れも絶妙。黒板で農園が紹介されていて練馬の野菜力を実感する。旬の果物で作るデザートも好評だ。
・11:30~14:30・17:30~21:30、月休(不定休あり)。
・☎03-6311-0672
『copse(コプス)』生活が豊かになるとっておきを求めて
住宅地の中の商店街に、突如現れる小さなギャラリー。衣食住をテーマに器をはじめ、洋服やカゴなど個性あふれる作品を紹介するだけでなく、料理教室や金継ぎ教室なども開催。
・11:30~17:30(月に2本ほどの企画展の開催に合わせてオープン)。
・Instagram:copse_copse_copse
『Pizzeria 222(ドゥエチェントヴェンティドゥエ)』ナポリ仕込みのふっくら食感
イタリア・トスカーナ地方や近隣の店舗での修業を経て独立。店主の久保田智さんがほれ込んだ、なめらかな味わいの北海道酪恵舎のモッツァレラを使ったマルゲリータはぜひ食べたい。農家や直売所で仕入れる練馬野菜は季節の前菜で登場する。
・12:00~14:30・17:30~21:00、火・水休。
・☎03-6882-4138
『jime.(ジミ)』住民待望の洗練された本格和食
青山の会員制和食店で修業した料理長の安部聡さん。凛とした空間や仕掛けを加えた料理から高級店かと思いきや、ほどよい価格と気さくな雰囲気でくつろげる。お造りも種類ごとに手を入れ、斬新な春巻きなど、素材を生かしながらさりげない遊び心のある味わいが見事。
・17:00~23:00、不定休。
・☎03-6904-5589
ゆったりと大らかな風景と閑静な住宅地が共存
「朝、近隣の農家さんや直売所をまわって野菜を集めてきます」とは、『スノウドロップ』の店主・伊奈晶子さん。
『Chinese Tapashachi』の店主・高野宰さんも、「せっかくおいしい野菜が近くにたくさんあるんだから使わないと。地元の人にもここで新しい食べ方を発見してもらえたらうれしいね」と大泉野菜への思いが熱い。確かに駅からほんの少し離れただけなのに見渡す限りの畑があちこちに現れる。
大泉学園に東映撮影所があるのも、広大な敷地と静かな環境を求めて撮影スタジオが造られたのが始まりだ。『東映アニメーションミュージアム』で昔の写真を見ると、かなり大規模な撮影所だったことがわかる。こんな小さな街に映画館があるのはなぜだろうと思っていたけど、「映画館や商業施設『OZ』は東映の敷地なんですよ」と聞いて納得。ふらっと来られる場所に映画館があり、アニメが身近な存在になっているのは、東映のおかげと言える。
最近では子育てしやすい街として人気になり、若い世代も増えてきた。「町中華かチェーン店かミシュランかと中華は極端なので、おいしくてカジュアルな店を作りたかったんです」と代表取締役の小野大樹さんが話す、中華のファミリーレストラン『POT』は、ママたちや家族連れで連日大にぎわいだ。
一方で、2023年にオープンした和食店『jime.』は高級感ただようたたずまい。「夕方の早い時間帯に年配のお客さまが多くいらして、ゆっくりお食事をされます」と、料理長の安部聡さん。実は、ここから北に位置する東大泉3丁目は将校住宅だったエリア。昭和16年(1941)、陸軍予科士官学校が市ケ谷から朝霞に移転される際に平均70坪の区間で碁盤の目に整備した高級住宅地が残っているのだ。
『bée』の國島はるひさんも、「この周辺で長く暮らしている方は西洋の食文化にもなじみがあるので、ハード系のパンも食べ方を提案すると気軽に試してもらえます」と教えてくれた。
この界隈ではビルのオーナー業で生活している人も多く、『和紅茶専門店SANKODO』を営むのも大正初期の大泉村時代に創業した衣料品店「三幸堂」から始まった不動産会社。広報の佐々木秀子さんいわく、「地元の方々がくつろげる場所を提供できれば」との思いでオープンしたという。
大きな空と広大な畑が広がるのどかな風景。同時に、どこか品のあるゆとりを感じられるのが、大泉学園の暮らしやすさにつながっている。
取材・文=井島加恵 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2024年6月号より