アクセス
電車:JR・私鉄・地下鉄上野駅からJR高崎線で約50分の鴻巣駅下車。川越観光自動車バスに乗り換え約15分で吉見町中心部。東武東上線東松山駅から川越観光自動車バスも利用可。
車:関越自動車道練馬ICから東松山ICまで約39km。同ICから吉見町中心部まで約7km。
県内一のいちごの里
朝摘みいちごに思わず舌鼓
例年12月~4月に収穫期を迎える吉見町産いちご。生産農家数は減少気味だが、作付面積・生産量とも依然埼玉県内1位を誇る。「いちご街道」の名もある県道33号沿いをはじめ、町内には直売所が点在。いちご狩りを楽しめる農園については吉見町産業振興課(☎︎0493-54-5027)まで。
大串毘沙門さま縁日
だるま市が立つ冬の風物詩
毘沙門天を祀る金蔵院境内で2月13日に開かれる「大串毘沙門さま縁日」。例年多くの露店が並ぶなか、目を引くのが縁起物のだるまだ。日本一の産地である群馬県高崎市から生産者が訪れ、冬の風物詩を待ちわびた参詣者でにぎわいを見せる。2023年は残念ながらコロナ禍で中止に。
●16:00~20:00ごろ。埼玉県比企郡吉見町大串2244
☎︎0493-54-5027(吉見町産業振興課)
手打ちうどん たなか
B級グルメ“あぶら味噌丼”を提供
毎朝手打ちされるうどんやそばをはじめ、気軽な定食から海鮮メニューまで揃う食事処。なかでも異彩を放っているのがあぶら味噌丼800円だ(うどんセットは1000円)。素揚げしたナスにタマネギ、ピーマン、豚肉を合わせ味噌で絡めたもので、自家水田で収穫したコシヒカリとの相性もよい。少々しょっぱめでカツオ節が合う。
Happy Time
町産いちごを思う存分味わう
トレーラーハウスを改装した個性豊かな喫茶店。自家焙煎コーヒーの販売・提供から手の込んだランチやスイーツ、バラエティに富んだパンケーキメニューまで、すべてに店主・山口さんの徹底したこだわりが感じられる。軽食以外の食事提供はランチタイム(14時まで)とパンケーキタイム(14時30分から)に分かれる。
川幅日本一の標柱
高さ5mの円筒形の標柱が立つ
2008年、国土交通省荒川上流河川事務所により、吉見町と鴻巣(こうのす)市の間を流れる荒川の川幅(河川敷を含む両堤防間の長さ)を全国最長の2537mと認定。現地に足を運ぶと、河川敷とされる場所には住宅や田畑のほか路線バスの停留所もあり、“川幅日本一”は少々実感しにくい。
●埼玉県比企郡吉見町大和田
吉見百穴(ひゃくあな)
現在219基の横穴墓(おうけつぼ)を確認
古墳時代後期~終末期(6世紀末~7世紀末)、台地の斜面を掘削して造られたとされる横穴墓で、大正12年(1923)国の史跡に指定。太平洋戦争末期には軍需工場が造られ、一部が破壊される憂き目を見たが、地元有志の尽力により保全と研究が進み、今では誰もが古代人の遺構を間近にできる。斜面上部からは富士山の眺めもよい。
吉見町埋蔵文化財センター
吉見百穴構内のガイダンス施設
国指定史跡である「吉見百穴」「松山城跡」のガイダンス施設で、町内で発見された遺跡や出土品などを紹介。勾玉(まがたま)づくり体験は所要60~90分で要予約(350円、10時30分・13時・14時50分開始)。
松山城跡
空堀が明瞭に見て取れる平山城の跡
市野川を前にした比企(ひき)丘陵先端に位置し、15世紀後半に築城されたとの説が有力。北武蔵の要衝として幾多の戦乱の舞台となったが慶長6年(1601)に廃城。『吉見町埋蔵文化財センター』では城の概説に加え、見学ルート図を用意しているので、城跡散策前に立ち寄りたい。
●埼玉県比企郡吉見町北吉見
岩室観音堂
再建に尽力した龍性(りゅうしょう)院の境外仏堂
松山城跡の崖を背にしたお堂。両側の洞窟内には合わせて88体の石仏が安置され、お参りすれば四国八十八カ所の霊場を巡拝したのと同じ功徳(くどく)を得られる。お堂の先にあるハート型の胎内くぐりは急で滑りやすいので、通り抜けは慎重に。
ブロンジェリー 風の杜(もり)
有機・無農薬・自然酵母にこだわる
閑静な住宅地にある小さなパン屋さん。県内小川町産の無農薬米イセヒカリと有機米麴を、越生(おごせ)町の湧水で仕込んだ自家製自然酵母で発酵。1日に15種ほど焼き上げられるパンは、もっちりとした食感で、国産小麦のフランスパン350円、ライ麦入りのミニ食パン350円など。店舗脇に小さなカフェスペースも併設。
安楽寺
古くから吉見観音の名で親しまれる
今を遡ること1300年ほど前、行基(ぎょうき)菩薩が観音像を彫って岩窟に安置したのが始まりと伝わる古寺。三重塔、仁王門とともに県指定建造物で、寛文元年(1661)築の本堂のやや薄暗い欄間には、江戸初期の名工・左甚五郎作「野荒しの虎」が納められている。
八丁(はっちょう)湖公園
バードウオッチングも楽しめる
農業用水確保のため造られた人工池の八丁湖。今では周囲の自然と一体化し、町民憩いの場となっている。平坦な湖畔の周回路のほか、起伏を生かした遊歩道も整備。山側の斜面に広がる「黒岩横穴墓群」は未発掘部分も含め、「吉見百穴」をしのぐ規模とされる貴重な史跡だ。
●埼玉県比企郡吉見町黒岩
ポンポン山
音が聞こえるかは自ら確認を
町北部、和銅3年(710)創建とも伝わる高負(たかお)彦根神社の社殿裏手にあるわずかに盛り上がった小さな岩山。長者がこの地に財宝を隠したとの言い伝えも残り、山頂部手前のわずかに開けた場所で跳びはねると、地面の下が空洞になっているのか、心なしか「ポンポン」と妙な音が鳴るような気がする。
●埼玉県比企郡吉見町田甲1945
旅のワンポイント
願いごとがかなうパワースポットを巡る
仏閣や路傍の地蔵を多く目にする吉見町。岩室観音堂から安楽寺にかけての3.5kmのルートを「願いごとの道」と名付け、普及に努めている。
春には花見客でにぎわうさくら堤公園
「川幅日本一の標柱」が立つ荒川右岸。土手を活用したサイクリングロードが設けられ、一部は「さくら堤公園」として整備されている。
取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2023年2月号より