アクセス
電車:JR・地下鉄東京駅から東北新幹線・JR東北本線で約1時間20分の氏家駅下車。喜連川地区へは関東自動車バスに乗り換え約16分。
車:東北自動車道川口JCTから矢板ICまで約120km。同ICから氏家地区中心部まで約10km、喜連川地区まで約11km。上河内SICも利用可。
喜連川足利氏ゆかりの地
小さな大大名の城下町
江戸時代、喜連川の地を治めた喜連川足利氏。古くは源氏や足利尊氏の流れをくむ家系であることから徳川将軍家に優遇され、領地は5千石ほどであったにもかかわらず、格式10万石の大大名と同等に扱われたと伝わる。現在さくら市役所喜連川支所のある場所はかつての館跡で大手門を復元。周辺には菩提寺である龍光寺をはじめ、御用(ごよう)堀や寒竹(かんちく)囲いの家並みなど、城下町として栄えた名残が見られる。
HAYAKIKAZE cafe
モルタル造形を生かした古民家カフェ
明治後期築の建物を活用したカフェで、ドリンク、スイーツのほか軽食にサンドイッチを提供。喜連川サンドは地元で養殖したプレミアムヤシオマスをスモークし、ナスの漬物、オニオンスライス、アボカド、サニーレタスとともにトーストに挟んだもの。和風ポン酢ソースとの相性も抜群だ。
お丸山公園
喜連川エリアを一望できる
喜連川地区中心部のこんもり盛り上がった台地を整備した公園。中世、この地を治めたとされる喜連川塩谷氏の大蔵ヶ先城址を利用したもので、堀切や平場の跡が残り、散策路も延びている。ひときわ目立つ頂上部の喜連川スカイタワーは残念ながら立ち入りできない。
●栃木県さくら市喜連川5481-1
道の駅きつれがわ
足湯脇に温泉たまご蒸し器を発見!
湧出時の泉温が70度を超える喜連川温泉。『道の駅きつれがわ』内の足湯施設内にあるのが温泉たまご蒸し器で、直売所で購入したネット入り生たまごを湯で温める仕組みだ。ほどよく固まる目安は約30分。源泉かけ流しが自慢の足湯につかりながら、出来上がりをのんびり待ちたい。
●利用無料。11:00~15:30、月休(祝の場合は営業)。栃木県さくら市喜連川4145-10
☎028-686-8180
喜連川水産
身の締まった鮎を養殖・加工・販売
清らかで温かい地下水に恵まれた喜連川地区。この環境を生かした鮎養殖が盛んで生産量は東日本最大。独自に配合した餌で育てられた鮎は身が締まり、クセもなく食べやすい。炭火でじっくり焼いた甘露煮など定番商品のほか、全国的にも稀少な淡水魚の魚醤・あゆっ醤も製造・販売。鮎のコンフィー3尾入り756円も気になる。
●8:00~17:00、無休。栃木県さくら市葛城1923
☎028-686-5159
温泉パン 工場直営店
ひと際目を引く黄色い看板が目印
昭和16年(1941)創業のパン屋「あさひ堂」がルーツで、喜連川温泉の湧出を機に考案したのが現在の社名でもある温泉パン。原料に温泉は使用していないが、生地が詰まったパンはもっちりとした食感で、ほのかな甘さを感じる。売り切れ必至の生クリームあんぱん200円も要チェックだ。
ちょこれーと此(こ)の花や
日本酒入りの生チョコに注目!
店舗併設の自社工房を持ち、地域に密着した商品開発にも積極的なチョコレート専門店。生ちょこ和酒は市内の人気蔵元・せんきんの日本酒と豆乳を練り込んだもので、まろやかな口どけでやさしい味わい。濃厚な食感の落花生が入った榊さん家のピーちょこは例年12~4月の数量限定販売。
喜連川丘陵の里 杉インテリア木工館
里山の廃校舎を活用した総合木工施設
従来は家具づくりに不適とされた国産の杉と檜に着目し、接合部を工夫して強度を増すことで弱点を克服。柔らかく温もりある家具は椅子1万円~、テーブル2万円台~などを製造・販売。フォトフレームなどの小物から丸スツールまで木工制作も事前予約なしで気軽に体験できる(有料、所要30分~2時間)。
喜連川早乙女(そうとめ)温泉
ひなびた風情も味わい深い名湯
独自源泉を持つ日帰り温泉。硫黄臭漂う高温の湯は塩分が強く石油臭もほんのり。湯温調整のため加水しているが濃度は十分で、浴室が半露天なのは硫化水素が充満するのを避けるためだ。空気に触れることで色が変化するかけ流しの湯を心ゆくまで堪能したい。
瀧澤家住宅
明治期の旧家の面影を今に伝える
明治~大正期に活躍した実業家・瀧澤喜平治の邸宅跡。長屋門を抜けると、左手に洋風望楼(ぼうろう)を戴(いただ)いた蔵座敷、正面奥には客殿の鐵竹(てっちく)堂が保存公開されている。
氏家バル AORY(アオリー)
アイデアあふれる創作料理にも注目
昼はランチ中心、夜は居酒屋メニューが揃う気さくな飲食店。こちらで提供される氏家うどんは全粒粉(ぜんりゅうふん)ならではの茶色がかった太めの生麺でコシも強い。一般的な麺つゆに加え、特製のカルボナーラつゆも付くのがユニークで、意外なほどよく合う。
勝山公園・勝山城跡
時代の波に翻弄された城跡を整備
鎌倉末期頃に氏家氏が築き、慶長2年(1597)の廃城まで約300年もの歴史をもつ崖端(がいたん)城の勝山城。戦後昭和期のリゾート開発により本丸跡など遺構の多くが破壊されたが、その後大手口や土塁を復旧。一角には桜見本園も整備され、現在は勝山公園として市民に広く親しまれている。
●栃木県さくら市氏家1321
さくら市ミュージアム─荒井寛方(かんぽう)記念館─
地域の自然・歴史・文化を後世に伝える
メイン展示は市内氏家地区出身の仏画家・荒井寛方(1878~1945)の作品をじっくり鑑賞できる「荒井寛方記念室」。同じく氏家地区の鋸(のこぎり)鍛冶屋に生まれた吉川金次(1912~97)の鋸コレクションや市内で出土した数々の土器など、コンパクトな施設ながら見どころも多い。
旅のワンポイント
旧奥州街道の痕跡が市内に点在
五街道の一つ・奥州街道の宿場町であった氏家宿と喜連川宿。市内に残る道標や一里塚、薄暗い古道などにかつての街道風情が感じられる。
鬼怒川越しに日光連山などを見通す
勝山公園とは勝山パークブリッジで結ばれた鬼怒川河川敷に広がる「氏家ゆうゆうパーク」。水辺の風景を愛でながらの散策が心地よい。
取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2023年1月号より