東京カテドラル聖マリア大聖堂( カトリック関口教会 ) 【モダニズム建築】

“世界のタンゲ”が設計した巨大でモダンな「十字架」

日本に16あるカトリック教会教区のうち、東京教区の司教座聖堂(カテドラル)。建築家・丹下健三の設計で建てられた。天井のスリット窓から自然光が差し込む荘厳な空間は、8面のHPシェル(双曲放物面)をほぼ垂直に立てた構造で、ねじれたような不思議なラインが特徴。上空から見ると聖堂全体で大きな十字架が形作られている。1964年献堂。

『東京カテドラル聖マリア大聖堂( カトリック関口教会 )』詳細

カトリック赤羽教会 【ゴシック様式】

アーケード商店街の脇に立つ、心象風景に残る聖堂の姿

駅東口を出ると程なく見える十字架の尖塔(せんとう)。頭頂部が尖ったアーチが窓や梁(はり)にも用いられ、ゴシック様式の特徴が見て取れる。ポーランド人修道士が祖国の聖堂をイメージして建てたもので、祭壇には教会の守護聖人「被昇天の聖母」が描かれた小祭壇が収まる。1960年代の教会改革後は少なくなったスタイルで、現在ではとても貴重。1951年造。

『カトリック赤羽教会』詳細

カトリック麹町聖イグナチオ教会 【メガ・チャーチ】

信徒と共にミサを行う大規模空間に施された仕掛け

固定席700席を誇る大規模空間。命と復活の象徴である卵と同じ楕円形の空間は、イエス・キリストの復活を表現しているという。すり鉢状で一番低い位置に祭壇が置かれた設計。信徒席がぐるりと祭壇を囲むため、神父と信徒がともにミサや典礼を作り上げていく感覚を促している。見上げれば花模様のドームから柔らかな陽光が降り注ぐ。1999年造。

『カトリック麹町聖イグナチオ教会』詳細

住所:東京都千代田区麹町6-5-1/営業時間:見学については要問合せ/アクセス:JR・地下鉄四ツ谷駅から徒歩2分

東京女子大学チャペル 【ステンドグラス】

極彩色の光が届く、柔らかく華やかな空間

建築家A.レーモンドが手がけた大学のシンボル。パリ郊外ランシーにある「ノートルダム教会」をモデルにしたといわれている。戦時中、校舎の一部が飛行機工場に転用されたことから、外壁をコールタールで迷彩にしたという歴史も。42色の光の源・ステンドグラスに目を凝らせば、丸や菱形、十字架がかたどられ、その造形もおもしろい。昭和13年(1938)造。

『東京女子大学チャペル』詳細

住所:東京都杉並区善福寺2-6-1/営業時間:見学については要問合せ/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩12分

日本基督教団 根津教会 【木造建築】

100年以上、街を見続けてきた 谷根千のかわいらしい洋館

根津駅近くの住宅地に入ると見えてくるブルーグレーの下見板張り壁と赤いとんがり屋根。華やかなりし大正ロマンの雰囲気を今に伝えている。ゆるやかに曲線を描く折上げ天井の堂内は、北東角に聖壇が設けられ、信徒は扇型に座る配置となっている。天井から吊り下がるライトも大正時代のものといわれ、花形の装飾が愛らしい。大正8年(1919)造。

『日本基督教団 根津教会』詳細

住所:東京都文京区根津1-19-6/営業時間:見学については要問合せ/アクセス:地下鉄千代田線根津駅から徒歩5分

カトリック碑文谷教会(目黒サレジオ教会) 【ロマネスク様式】

見上げることに喜びを感じる、壮麗圧巻の美しさ

イタリア・サレジオ会の働きにより献堂。随所にイタリア産の大理石が使われ、現地の聖堂を彷彿(ほうふつ)とさせる。圧巻の天井画は、当時着任していたフェラーリ修道士が自ら足場を組み、足掛け7年の年月をかけて1人で描いたもの。十字架などを象徴的に組み合わせた文様が細やか。外壁のピンク色の差し色といい、全体的に華やかで美しい。1954年造。

『カトリック碑文谷教会(目黒サレジオ教会)』詳細

カトリック片瀬教会 【和風意匠】

周辺住人に配慮して建てられた、しとやかで厳かな和の聖堂

江の島の近く、境川沿いに立つ。日中戦争の戦時下、周辺住人の外国文化への抵抗感に配慮し、寺院のような和風の姿で建てられた。瓦屋根の軒下に白い十字架、そして1950年以降に施された天草四郎の陣中旗の図案を真似たと見られる天使像が漆喰(しっくい)壁にレリーフとして描かれている。堂内にはフレスコ画家・長谷川路可の描いた聖画も多数。昭和14年(1939)造。

『カトリック片瀬教会』詳細

住所:神奈川県藤沢市片瀬海岸2-2-35/営業時間:見学については要問合せ/アクセス:小田急電鉄江ノ島線片瀬江ノ島駅から徒歩5分

取材・文=別役ちひろ 撮影=鈴木賢一
『散歩の達人』2022年9月号より