奥多摩駅から徒歩10分の駅チカ温泉

奥多摩といえば、登山をはじめ、ハイキングやカヌー、サイクリング、魚釣りなど、自然体験を楽しむ観光・レジャーが多い。いっぱい遊んで、いっぱい汗をかいたあとは、さっぱり汗を流してから帰途に就きたいが、そんな希望をかなえてくれるのが『奥多摩温泉 もえぎの湯』だ。

『奥多摩温泉 もえぎの湯』があるのは、奥多摩観光の拠点となる奥多摩駅から徒歩10分の多摩川沿い。青梅街道を青梅方面に歩き、新氷川トンネルの手前で側道に入ると案内が出ている。この先、氷川隧道(ずいどう)をくぐればやがて駐車場が見えてくる。

駐車場の一画に足湯の小屋がある。登山やハイキングなどで疲れた足を癒やすには恰好の施設だ。ここで少し休んでから風呂に入るのもいい。『奥多摩温泉 もえぎの湯』は、週末の午後には混雑で入場制限になることもあるが、そんな時の入場待ちに利用することもできる。『奥多摩温泉 もえぎの湯』の利用者は無料で利用できるが、足湯のみ利用の場合は1回100円かかるのでご注意を。

受付すると入館時間が書かれた紙と脱衣所のロッカーキーが手渡される。登山帰りの客も多いので脱衣所の隅にリュック置き場があるのは便利だ。入浴は3時間制(850円)なので、時間超過している場合は帰るときに追加料金を払う。超過1時間200円。

足湯も温泉を使用。周辺の山々を眺めながら入浴すれば森林浴気分。
足湯も温泉を使用。周辺の山々を眺めながら入浴すれば森林浴気分。

多摩川の清流と四季を映す山々を望む風呂

露天風呂には日除けの屋根はあるが余計な目隠しなどがないので目の前の氷川渓谷もよく見える。
露天風呂には日除けの屋根はあるが余計な目隠しなどがないので目の前の氷川渓谷もよく見える。

『奥多摩温泉 もえぎの湯』の最大の売りは、日本列島最古の地層といわれる地下600mにある古生層より湧き出る温泉を、多摩川の清流と山々の景色を眺めながら楽しめること。

浴室は上流風呂と下流風呂があるが、風呂の造りはほとんど同じで、男女月替わりで使用する。男女ともに内湯と露天に湯船が各1つずつというシンプルな造りだが、いずれも温泉が注がれる。

中でも内湯は加水なしの源泉100%を加温して注ぐ。温泉にはメタホウ酸が含まれているため湯触りは少しぬるっとした感じがあり、入浴後は肌をすべすべにしてくれる。内湯は20人ほどが入れる広さがあり、大きな窓ガラスの向こうに奥多摩の自然が広がり、自然光が差し込む明るい空間で気持ちよく入浴できる。

浴室のガラス窓には緑が映り森林浴気分で入浴できる。
浴室のガラス窓には緑が映り森林浴気分で入浴できる。

奥多摩の自然とともに温泉を楽しんで……

日差しが差し込む明るい食事処。土産売店が隣接する。
日差しが差し込む明るい食事処。土産売店が隣接する。

大きなお休み処やごろ寝ができるところがないのが少し残念だが、脱衣所を出たところにベンチや電動マッサージチェア、飲料の自動販売機を設置した休憩処がある。軽くひと休みするならここへ。脱衣所の前なのでカップルで来たときの待ち合わせにも利用できる。

食事処は上の階へ。ここも大きな窓ガラスから日の光が差し込む明るい空間で、42畳のお座敷広間と3席のテーブル席を備えている。メニューは多く、湯上がりの一杯から食事までバラエティ豊かなメニューがそろう。

湯上がりの一杯ならビールセット(生ビール中ジョッキ・枝豆・イカ・チキンハム付き)850円を。奥多摩の味覚を楽しむなら川魚の塩焼き定食(ヤマメの塩焼き・雑穀ご飯・お新香・小鉢・こんにゃく・お味噌汁付き)1250円もおすすめだ。がっつりお腹を満たしたい方にはボリューム満点の豚の角煮丼(お新香・ミニサラダ・お味噌汁付き)950円というのもある。

写真左から奥多摩ヤマメのお造り700円、ビールセット850円、奥多摩川魚の塩焼き(ヤマメ)780円。
写真左から奥多摩ヤマメのお造り700円、ビールセット850円、奥多摩川魚の塩焼き(ヤマメ)780円。

支配人の伊藤裕三さんは、「都心からも比較的近い、奥多摩駅から徒歩10分の“駅チカ”にあります。周辺には登山・ハイキング・釣り・キャンプなどアウトドアが満喫できるところがたくさんあり、お帰りに立ち寄られる方が多くいらっしゃいます。食事処では、多摩川のきれいな源流で育ったヤマメのお造りがご賞味いただけます」と奥多摩の自然を楽しんだあとに温泉を楽しんでほしいと話される。

豊かな自然に包まれた『奥多摩温泉 もえぎの湯』。アクセスの良さとロケーション、そして良泉に恵まれているため人気の日帰り温泉になっている。新宿からJR中央線・青梅線で2時間ほどなので、奥多摩の自然を感じることができる風呂に入るだけでも小旅行気分を楽しめる。

しかし、施設自体が全体的にコンパクトな造りで、浴室もそれほど大きくはないので、週末や休日の午後には混雑することが多い。特に登山シーズンや紅葉シーズンには1~2時間待ちということもある。目の前まで行って入れないなんてことがないよう、利用の際には事前確認をおすすめする。

マッサージチェアにもたれ、周囲の自然を眺めるのは至福のひと時。
マッサージチェアにもたれ、周囲の自然を眺めるのは至福のひと時。

取材・文=塙 広明 写真=奥多摩温泉 もえぎの湯