アクセス
電車:JR東京駅から京葉線・外房線で約1時間20分の茂原駅下車。
車:首都高速湾岸線川崎浮島JCTから東京湾アクアライン・圏央道を利用し、茂原長南ICまで約52㎞。茂原長南ICから茂原市中心部まで約7㎞。
ガス燈&ガスタンク
国内屈指の天然ガス採取量を誇る
大量のメタンを含んだ良質な天然ガスが約600年分埋蔵する南関東ガス田。茂原市はこのガス田上に位置し、地下500〜2000mから採取されたガスは、工業用のほか、家庭用・商業用として供給されている。JR茂原駅前ではレトロなガス燈が暗くなると点灯。同駅南東側にあるガスタンク(正式名はガスホルダー)は茂原の象徴として広く親しまれている。
茂原公園
市の中心部に広がる憩いの場
藻原寺に隣接する、起伏を生かした自然公園。弁天湖を囲むように遊歩道が整備され、時間帯を問わず散策する市民の姿が絶えない。郷土の偉人を讃(たた)える碑も多く立つ。園内の一角に入館無料の茂原市立美術館・郷土資料館(☎0475-26-2131)もある。
●散策自由。千葉県茂原市高師1325-1ほか
藻原(そうげん)寺
鎌倉中期開山の日蓮宗名刹
遠くからでも目を引く白い山門が印象深い古刹で開山は建治2年(1276)。日蓮大聖人の教えを受けた領主・斉藤兼綱を開祖とし、長く妙光寺と称してきたが、明治2年(1869)、地名にちなみ今の名に改称した。第1・4土曜は大駐車場で骨董市を開催(雨天中止)。
素掘りトンネル
通り抜けるとワープした感覚に
里山の残る茂原市では、明治から昭和にかけ、農業用や生活用の短縮路として人力で小さなトンネルが多く掘られてきた。その後、切り通しに改修されたものもあるが、地域住民が往来する近道として、時代を超えて今もひっそり利用されている。(写真は戸田谷(へたやつ)トンネル)。
●千葉県茂原市押日ほか市内各所
コーヒーくろねこ舎(しゃ)
日本家屋を改装したブックカフェ
里山に囲まれた建物内に一歩入ると、控えめな照明の居心地よい空間が広がっている。気になる本を手にくつろいだり、明るい庭をぼんやり眺めながら自家焙煎コーヒーを味わうなど、思い思いにゆったり過ごすのが似合いそう。季節の食材がたっぷりの本日のランチは1000円。
創作スイーツ&フレンチ レーヴ
夜は完全予約制でフレンチを提供
近隣の食材を生かしたケーキ、プリン、焼き菓子を販売。茂原樟陽(しょうよう)高校食品科学科で生産したジャムを用い、オーナーシェフの川﨑佐知子さんが考案した樟(くすのき)ツツトッツォ(写真上・同校生徒が命名)は2022年3月まで販売予定。クリームとブリオッシュの相性もいい。
掩体壕(えんたいごう)
戦争の傷跡を伝える遺構
太平洋戦争開戦直前、住民らを強制移転して建設された茂原海軍航空基地。敵の攻撃から戦闘機を守るため、基地の北側に造られた頑丈な格納庫跡で、主翼や尾翼の形状が見て取れる。市が管理するものを含め、周辺には10基の掩体壕が現存。
●私有地を除き見学自由。千葉県茂原市本小轡1108-2ほか
WOOD STUDIO KUZE’S(クゼーズ)
ウォルナットやチェリー、クルミなど無垢材の注文家具制作を手がける久世智也さんが、端材を活用した小物を工房隣接のショールームで販売。温もりある食器、カトラリーからブローチ、時計まで揃う。かたわらでは妻の久世礼さん(Rachel Omelet(レイチェル オムレット)名で活動)がユニークな世界観の九谷焼作品を制作中だ。
茂原の“散歩の達人”に遭遇!
「茂原に散歩の達人がいる」との噂を聞き、お目にかかったのは高久重剛(たかくしげたけ)さん。大手電機メーカーを62歳で退職したのを機に近所の散策から始め、気になることがあれば資料や聞き取りを通じて市内を徹底的に調査。自ら歩いて集めた情報は小冊子や手描き地図などを通じ、惜しげもなく提供する徹底ぶりだ。御年82ながら、達人だけあり歩くスピードも驚くほど速い。
らぁ麺三軒屋
モリモリバラ肉「もばらーめん」発祥の店
オーナーの大口竜二さんが考案したのが、臭みを抑えた豚バラ肉たっぷりのもばらーめん730円。ご当地グルメとして定着し、今では市内の学校給食にも出るほどとか。価格は豚バラ肉の量により異なる。
本納(ほんのう)城址
中世山城の特徴をとどめる好展望地
室町時代末期、享禄2年(1529)に構築されたと伝わる武将・黒熊大膳(くろくまだいぜん)の居城跡。蓮福(れんぷく)寺境内に設置された案内板に従い、切り通しを上り詰めると、地形を生かした山城の頂上部(主郭(しゅかく)跡)に出る。途中、足場の悪い箇所があり、降雨後は滑りやすいので注意を。
●散策自由。千葉県茂原市本納3106(蓮福寺)
橘樹(たちばな)神社
日本武尊(やまとたけるのみこと)ゆかりの上総(かずさ)国二之宮
日本武尊の東夷征伐中、身を投げて荒れる海を鎮めた后(きさき)の弟橘媛(おとたちばなひめ)。漂着した媛の櫛(くし)を日本武尊が祀り、橘の樹2株を植えたのが始まりと伝わる。境内の形を舟に見立て帆丘(ほのおか)の神社と呼び親しまれたのが、現地名・本納の由来ともされる。
大沢の大椎(おおじい)
三またに分かれたシイの巨樹
樹齢約500年と推定されるスダジイ(ブナ科シイ属)の古木。根回り12m、目通り7m、高さは12mあり、根元近くには大人が5、6人も入れそうな大きな空間(うろ)がある。個人宅の長屋門の前にあり、以前は左右2株が並び立っていたという(1株は昭和初期の台風被害で折損)。
●見学自由。千葉県茂原市大沢746
旅のワンポイント
江戸時代から約400年続く六斎(ろくさい)市
昌平町通りで毎月4と9の付く日の日中に開かれる露天市で、農産物やハンドメイド雑貨などを扱う店が15店舗前後並ぶ。1月4日は休。
映画やドラマのロケ現場に出くわすかも
アクセスの良さを生かし官民一体の撮影支援体制が整う茂原市。ロケ地の榎町商店街や旧西陵中学校では、聖地巡礼に訪れるファンの姿も。
取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2022年1月号より