摺り、保存状態が良好なコレクションが一堂に

葛飾北斎「凱風快晴」(色変わり版、通称“青富士”)。
葛飾北斎「凱風快晴」(色変わり版、通称“青富士”)。

葛飾北斎の代表作である『冨嶽三十六景』シリーズ全46図が一挙に公開される本展。中でも注目すべきは、特に高い人気を誇る「神奈川沖浪裏」と「凱風快晴」だ。「神奈川沖浪裏」は、現存する中でも類を見ないほど摺り・保存状態に優れた1枚が加わる。また“赤富士”として知られる「凱風快晴」は、極めて希少な色変わり版、通称“青富士”が特別に展示される。

広報担当者は「2024年に井内コレクションより当館に寄託された、北斎の『冨嶽三十六景』(1830~33年頃)を初披露する展覧会です。『神奈川沖浪裏』と『凱風快晴』については、それぞれ異なる摺りをもう1点ずつ併せてご紹介。さらに本展覧会の開幕直前、井内コレクションに『神奈川沖浪裏』の3枚目が新たに加わり、4月21日より追加で展示されます」と見どころを語る。

モネをはじめとする西洋美術コレクションを誇る『西洋美術館』で、西洋美術にも大きなインパクトを与えた北斎の浮世絵版画の真髄に、改めて触れられる機会となりそうだ。

葛飾北斎「五百らかん寺さゞゐどう」。
葛飾北斎「五百らかん寺さゞゐどう」。

表裏両面から見ることができる展示も登場

葛飾北斎「江都駿河町三井見世略図」。
葛飾北斎「江都駿河町三井見世略図」。

井内コレクションの『冨嶽三十六景』の特徴は、全般に摺られた時期が早いことにあるという。浮世絵版画は摺りが数多く重ねられると、版木が摩滅したり、欠損したりしてしまう。しかし井内コレクションには、細い線がシャープであるものが多く含まれており、それは版木が摩滅していないフレッシュな状態で摺られたことを示しているという。

また、浮世絵版画は、補強のために背面に裏打ち紙が貼られることが少なくないが、井内コレクションの多くは裏打ちが施されていないという。そのため、背面からも絵具の色の鮮やかさが確認でき、摺師が力を込めたバレンの跡まで見て取れる。

本展では、何点かの作品で表裏両面から見ることのできる展示方法が採られているのも見どころ。江戸時代の人々が浮世絵版画を手に取って、表や裏を返しながら鑑賞した気分を味わうことができる。

葛飾北斎「甲州三坂水面」。
葛飾北斎「甲州三坂水面」。

※作品はすべて、天保1~4年(1830~33)頃、横大判錦絵、井内コレクション(国立西洋美術館に寄託)。

開催概要

「北斎 冨嶽三十六景 井内コレクションより」

開催期間:2026年3月28日(土)~6月14日(日)
開催時間:9:30~17:30(金・土は~20:00。入館は閉館30分前まで)
休館日:月(ただし5月4日は開館)、5月7日(木)
会場:国立西洋美術館 企画展示室B3F(東京都台東区上野公園7-7)
アクセス:JR上野駅(公園口出口)から徒歩1分、京成電鉄京成上野駅から徒歩7分、地下鉄銀座線・日比谷線上野駅から徒歩8分
観覧料:一般2200円、大学生1300円、高校生1000円、小・中学生無料
※障害者手帳をお持ちの人とその介護者1名は無料。

【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
展示会特設サイト https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2026hokusai.html

 

取材・文=前田真紀 ※画像提供は主催者