【店主のこだわりが光るおしゃれなカフェ】
赤羽の外れにあるアートに囲まれたカフェ『豆電COFFEE』
レトロなマンションの一角にある隠れ家のようなカフェ。店内には、店主が創作した絵画やオブジェなどのアート作品が飾られ、まるで絵本の世界のような賑やかさ。名物の豆電プリンは、店主がコーヒーに合うスイーツを追求して作り上げた逸品。濃厚で甘さ控えめ、ほろ苦いカラメルソースとのバランスも絶妙だ。味もさることながら、山盛りのクリームと金属製の器に乗ったフォルムも美しく、SNSで多くの写真が掲載されている。
気持ちをリセットしたい時に行きたい『anzu to momo』
「ぜひ、ひとりで来てください」と店主の上條杏子さん。「ひとりでおいしいコーヒーを飲みながら、気持ちをリセットして欲しい」と客席は背中合わせに2席ずつの4席のみ。駅からすぐの場所にありながら、とても静かで、心地よい風が吹いているよう。フランスの片田舎のような内装も素敵で、遠方から訪れるカフェマニアもいる。定番のスイーツは季節のフルーツを使ったチーズケーキと、生クリームをたっぷり使ったミルクプリンのブランマンジェ。
ベビーカーで入店OKのゆったりカフェ『cafe milk』
バス通りに面した一軒家カフェ。店主の落合恵さんは赤羽が地元。カフェの専門学校を卒業した後、パスタ店勤務などを経て理想のお店をオープンさせた。木目を生かした白壁に、大きめのソファが置かれ、天井も高いので開放感もたっぷり。ガトーショコラやシフォンなどのスイーツは全て店内の厨房で手作りしている。多い時には7種類がショーケースに並ぶそう。入り口には段差がなく、間口も広いのでベビーカーや車椅子でも入店できる。
バーっぽさに心が鎮まる大人カフェ『CAFE B-3』
昼下がりのアルコール、真夜中の一杯立てのコーヒー。バーテンダーの柴田秀行さんとカフェで働いていた踊子さんが築いた、バーとカフェ、どっちの気分にも応えてくれる空間だ。空腹でもオーライ。17時までのレイトランチや、夜ごはんが充実。バターチキンをイメージした、白ワインに合うカレーには、秘かにファンも。赤羽でも日本でもなく、遠い旅先の街角に居る心地になるのは、記憶を揺さぶるレコードの音色のせいかも。
『CAFE B-3』店舗詳細
【赤羽で長く愛される名物喫茶店】
赤羽には、長く愛される名物喫茶店も数多い。ナポリタンやトースト、オムライスといった、喫茶店ならではの軽食とおいしいコーヒー、そして何より「喫茶店」という空間を楽しめる店を一挙紹介しよう。
毎日通える「いつもの喫茶店」『昔ながらの喫茶店 友路有 赤羽本店』
「喫茶店は日本の文化」をコンセプトに、コーヒーから定食まで多種多様なメニューが揃う。早朝5時30分から22時までという長い営業時間内、客足が絶えることがない“いつもの”店だ。こだわりのブレンドコーヒーは、友路有専用に焙煎しているオリジナル。すっきりとした苦味で飲みやすいが、この店に来たなら、トーストやナポリタン、定食を楽しみたい。
真っ赤な色のナポリタンが喫茶店らしい。ケチャップでの味付けかと思ったら、自家製のピザソースを使っているという。具はベーコン、玉ねぎ、ピーマンと、エビが入っているのがちょっと贅沢な感じだ。自家製のソースはコクがあり、なかなか食べごたえのある味。玉ねぎの甘味とピーマンがいいアクセントだ。サラダとスープが付くのでバランスもいい。
幅広いメニューの定食で人気なのは、その日によって変わる焼き魚定食。きちんとした栄養バランスのメニューを提供し、毎日来てもらいたいという店のこだわりが感じられる。徹底的に「いつもの喫茶店」を貫く店だ。
『昔ながらの喫茶店 友路有 赤羽本店』店舗詳細
赤羽の歴史とともに進化を続ける老舗喫茶『梅の木 新館』
初代と家族で営んでいたのが、創業約75年の『梅の木本館』。1985年に『梅の木新館』が開店した。本館と新館は、初代の息子二人がそれぞれ営み、お互いが自由に作り上げてきた。
新館は2階にあり、窓が大きいため、シックなアンティーク調だが明るさも十分。天井が高く広々としていて、ゆったりと寛げる雰囲気だ。お代わり半額サービスなど、喫茶店らしいサービスも。コロンビア、ブラジル、マンデリン、モカ、インドネシアロブの5種を配合したブレンドが自慢。1階の焙煎機で生豆から自家焙煎し、すぐに冷凍して保管するので鮮度が保たれる。
泡が立った名物のアイスコーヒーは、ブレンドよりもインドネシアロブを深く焙煎していて、より深いコクが味わえる。ガムシロップを入れてシェイカーで混ぜてあるので、深く濃い味わいの中、ほんのりとしたやさしい甘みが特徴だ。
最近は小倉トーストがメニューに加えられ、とても人気だという。バターを塗ったトーストの上にあんこがたっぷり。甘さとしょっぱさが絶妙で、和風なのにコーヒーとの相性もいい。玉子と小倉トーストと飲み物がセットになった小倉モーニングとしても人気だという。
『梅の木 新館』店舗詳細
赤羽で約40年。変わらぬ味と雰囲気を楽しめる純喫茶『純喫茶 デア』
往年の映画音楽をBGMに深煎りのコーヒーの香りが漂う、1983年創業の歴史ある純喫茶。オープン数年後に変えた壁紙以外はすべてそのままというインテリアには、なぜか懐かしさを感じずにはいられない。
朝は豆を粗く碾くところから始まる。かなり濃い味のブレンドは、キリマンジャロ、ブラジル、モカ、ブルーマウンテン、マンダリンを配合。味は長年変わらないという。
軽食で人気なのはやっぱりオムライス。定番のケチャップ味は、鶏肉、玉ねぎ、ピーマンのケチャップライスが入っている。しっとりちょっと濃いめの味が喫茶店らしい。ケチャップ味の他、カレーピラフの入るカレー味と、塩コショウで味付けたピラフの入るマイルド味が選べる。どちらも玉子の上にはパセリのみなので、ケチャップが苦手な人に人気があるそう。ゆったりと静かな時間を楽しみたい店だ。
『純喫茶 デア』店舗詳細
手作り好きな店主と家族が織りなす、あったかムードの喫茶店『エリーズ カフェ』
昭和58年(1983)、洋品店としてオープン。店内でときどき行っていたライブでお茶を出していたことから、自然にカフェができあがってしまったそうで、雑貨・洋品スペースとカフェスペースの2つの顔を持つ。共通するのは「できる限り手作りのものを提供したい」という思いだ。
カフェで人気の焼きチーズナポリタンのトマトソースも、その日使う分を毎朝作るという。生のトマトで作るため、フレッシュでさわやかな酸味があり、中太のパスタによく絡み、たっぷりとかかったチーズとの相性もぴったり。すりおろしたニンジンの甘さがたまらないドレッシングや、デザートもすべて自家製で、ほっこりとやさしい味だ。
店長自らが制作・販売している「エリーちゃん人形」や雑貨類、バラの苗など、店長の好きなものにあふれた空間は、不思議とあたたかく居心地がいい。
『エリーズ カフェ』店舗詳細
心もからだも潤う旬のフルーツ三昧『フルーツパーラー プチモンド』
「父が駅近くで戦前から果物店をやっていて」と、店主の関元修さん。リンゴ箱の中で育てられ、気が付いたら果物博士になっていた。もっと気軽に果物を食べてほしいと願い、果物店にフルーツパーラーを併設し、30年以上になる。名物は、ふわっと軽いフルーツサンド。ホイップしたての生クリームと細かく切った果物を、1日寝かした食パンで挟む。「7種類の宝石が口の中で弾(はじ)けます」。宝石との表現に、果物への愛がうかがえる。
『フルーツパーラー プチモンド』店舗詳細
取材・文=ミヤウチマサコ、新井鏡子、松井一恵(teamまめ) 撮影=新井鏡子、鈴木愛子、ミヤウチマサコ