新店にして名酒場の呼び声高い『かど鈴』 の短冊メニューを眺める。白・黒・赤のホッピー3種から、今や希少種のホイスまで、東京のローカル酒が目白押しじゃないか。「ここで大衆酒場独自の酒や用語を知ってもらい、素晴らしい老舗酒場にも足を運んでほしいんです」と代表の村田良介さん。
例えば、戦後生まれた下町ハイボール(『かど鈴』では 「キイロ」)やホイス。ともにウイスキーのハイボールが高級で飲めない庶民に向け、安価な焼酎を炭酸飲料プラス、独自の割り材で割ったもの。ホッピーも、ビールが高級品だった戦後、代替品として大ウケした。今や代替品ではなく、下町酒場の王道となった東京発の各お酒。何より飴色のカウンターや仕事後の疲れた体には、琥珀色のローカル酒がよく似合う。
① ホイス
白金生まれの炭酸入り割り材は、薬草のようなほのかな苦みが癖になる。
② 下町ハイボール
東京の老舗は焼酎割りが基本。天羽の梅など専用エキスを加える店も多い。
③ バイス
大田区大森のコダマ飲料が製造元。シソの爽やかな風味が暑気払いに最高。
④ ホッピー
ビアテイストの炭酸飲料で 焼酎甲類を割るのが定番。生ホッピーも存在!
⑤ 梅割
焼酎のストレートを少しの梅エキスで割ったもの。少量で酔える濃厚酒。
『かど鈴』店舗詳細
豊富な東京ローカル酒や絶品煮 込み330円、コの字カウンターを 2つ並べたような座席など、2018年開店ながら老舗大衆酒場の風格。紅しょうがのかきあげ330円も人気。
ハイサワー
目黒に本社を置く博水社の焼酎割り飲料。爽やかなレモン風味が人気。
『牛太郎』店舗詳細
コの字カウンターが15時には常連で埋まる老舗。朝5時から仕込むもつ焼き110円、ハイサワー、ハイッピー各400円、と毎日通える安さが魅力。
牛乳ハイ
板橋周辺で広まったご当地酒。牛乳割り、農協サワーなど名称はさまざま。
『北海 三四郎』店舗詳細
店主は元寿司職人。刺身三点盛合せ1188円など豊洲直送の鮮魚を使った料理が自慢。牛乳ハイ462円は約30年前から提供し「割る牛乳は、普段飲んでて旨いと思ったカルパワーへ8年前に変えた」そう。
文・撮影(牛太郎)=鈴木健太 撮影=本野克佳(かど鈴)、加藤昌人(北海 三四郎)
『散歩の達人』2020年7月号より