初期衝動を大切に串を打つ職人肌。『やきとん 赤尾』[板橋]

「お客さんが目の届く範囲で串を焼きたい」と赤尾さん。
「お客さんが目の届く範囲で串を焼きたい」と赤尾さん。

赤尾一樹さんはもつやきの名店、野方の『秋元屋』で修業後、店を開いた。「秋元屋のちれ(脾臓)を食べ、強烈な衝撃を受けたんです」。赤尾さんもまた、酔客にあの衝撃を伝えたいと日々奮闘。朝つぶしたてのちれ132円は弾力がありつつもっちり、辛味噌と抜群に合う。強炭酸の焼酎ハイボールで口を洗い、今度はそり(鶏ももの付け根)220円をかじればあふれる肉汁に恍惚。「毎日、串打ちが楽しくて。ずっとやきとん屋の大将でいたいです」。

手前から大動脈154円、きくあぶら132円など希少部位も。牛テールスープ赤528円。特製焼酎ハイボール385 円。
手前から大動脈154円、きくあぶら132円など希少部位も。牛テールスープ赤528円。特製焼酎ハイボール385 円。

『やきとん 赤尾』店舗詳細

住所:東京都北区滝野川7-1-7 大沢ハイM 1F/営業時間:17:00~22:30焼き物LO/定休日:月/アクセス:JR埼京線板橋駅から徒歩1分

ぶち上がる煙と炎は脂たっぷりホルモンの証し。『山源』[板橋]

奥がホルモン638円。手前はホーデン(豚の睾丸)473円 、左はコメカミ495円。
奥がホルモン638円。手前はホーデン(豚の睾丸)473円 、左はコメカミ495円。

38年ほど前、現店主・山口潤一さんのお父さんがホルモン焼き屋を開店。「炭火で焼くのも甘さ控えめのタレも、先代の時から変えてません」と山口さん。名物の塩ホルモン(シマチョウとコプチャン各2切れ)は網上でへなっとせず立つことから、脂の付き具合が想像できる。味はタレ・塩から選ぶことができ、注文は1人計2人前まで。熱々を頬張れば脂のジュースがあふれ、ビールが加速! 満席率の高い人気店だが、チエ子婆ちゃんが愛想よく話しかけてくれるなど家族経営の温かさは健在。

ホルモンにはやはり生ビール中638円。瓶ビールは赤星で660円
ホルモンにはやはり生ビール中638円。瓶ビールは赤星で660円
チエ子さんと店主、妹さん。
チエ子さんと店主、妹さん。

『山源』店舗詳細

住所:東京都板橋区板橋1-22-10/営業時間:17:00~23:00ごろ(ホルモンなくなり次第終了)/定休日:月/アクセス:板橋駅から徒歩2 分

牛乳割りを知ってるか?老舗のこだわりは瓶牛乳。『北海 三四郎』[板橋]

牛乳ハイ420円。
牛乳ハイ420円。

創業50年以上を誇る老舗酒場だ。家族経営による温かい雰囲気が居心地抜群。旬の新鮮魚介を中心に、盛りのよい手作り料理が幅広く揃う。店名に付く「三四郎」は、大将が明治時代の柔道家「姿三四郎」こと西郷四郎氏の子孫であることから。この店の牛乳割りについて伺うと、「はっきりとは覚えてないけど、20~30年前から出してると思うよ」とのことで、板橋の牛乳割りの中でもかなり長い歴史を誇ることは間違いない。

女将さんのオリジナル、サッポロバター500円は、ベーコンの塩気とバターの香りが絶妙。牛乳割りに合わないはずがない!
女将さんのオリジナル、サッポロバター500円は、ベーコンの塩気とバターの香りが絶妙。牛乳割りに合わないはずがない!
外観から漂う名酒場オーラ。
外観から漂う名酒場オーラ。

『北海 三四郎』店舗詳細

町中華のお手本のような店。「農協サワー」も。『平家』[板橋]

名物の焼豚700円と農協サワー450円。
名物の焼豚700円と農協サワー450円。

初代と2代目の家族3人を中心に営む、うまくて安くてボリューム満点、町中華のお手本のような店。常連客でいつも大にぎわいだ。食事、つまみ、酒、すべてメニュー豊富で、初代が沖縄出身のため、沖縄料理がちらほらと混ざるのもおもしろい。農協サワー450円には、濃厚でボリューミーな名物の焼豚700円が合う。

『平家』店舗詳細

住所:東京都板橋区板橋1-16-5 角一ビル1F/営業時間:17:30~24:30(日・祝は17:30~22:30)/定休日:不定/アクセス:JR埼京線板橋駅から徒歩1分

気鋭の新店にもあるのは、板橋ならでは。『おいで家』[板橋]

牛乳割り440円、串揚げ5本660円。
牛乳割り440円、串揚げ5本660円。

寿司屋で和食の腕を磨いた若き店主による大衆酒場。抜群の目利きで仕入れる日替わりの魚介類は新鮮そのもので刺し身は特におすすめだ。他にも串焼きが100円~、一品料理が200円~とリーズナブル。さらに例えば「もろキュウ」を頼むと、目を奪われる飾り切りが入っていたりと、レベルの高さに何度も驚かされる。地酒もこだわりのものを取り扱っており、牛乳割り以外も楽しめる。平日はランチも営業しており650円~の提供。

『おいで家』店舗詳細

住所:東京都北区滝野川7-8/営業時間:11:30~14:00・17:00~22:00/定休日:ランチのみ土日休/アクセス:板橋駅から徒歩1分

ノリよし、盛りよし、 鮮度よし!『仲宿酒蔵』[板橋区役所前]

全36席が老若男女で大盛況。
全36席が老若男女で大盛況。

2代目の石井祥一さんが毎日豊洲から仕入れる魚介の酒肴は、どれも安く驚きの量。例えば、白えびのかき揚げ700円の大きさはフリスビーのごとく。「安く多く提供することでその日の食材を使いきる。だから毎日新鮮なものをお出しできるんです」と2代目。さらに、刺し身は養殖・冷凍物を使わないのだからうまいのは当然で、つい日本酒がほしくなる。明るい女将・洋子さんに一杯頼むと、なんと“こぼし分”は升プラス別の小鉢に。サービス精神に乾杯!

当日の刺身3点盛り900円はバチマグロの中トロやシメサバなど、ねぎまぐろ串焼き2本500円。作(ざく)純米700円。日本酒は約30種。
当日の刺身3点盛り900円はバチマグロの中トロやシメサバなど、ねぎまぐろ串焼き2本500円。作(ざく)純米700円。日本酒は約30種。
初代夫婦が1971年に創業。洋子さんほかスタッフの元気な接客が心地いい。左が2代目。
初代夫婦が1971年に創業。洋子さんほかスタッフの元気な接客が心地いい。左が2代目。

『仲宿酒蔵』店舗詳細

住所:東京都板橋区仲宿62-1板橋ハイタウン104/営業時間:17:00~22:30LO/定休日:日、第2・4土、祝/アクセス:地下鉄三田線板橋区役所前駅から徒歩1分

朗らか女子手製の おばんざいで温ぬくまる。『うっちゃり』[大山]

女性スタッフが中心。「常連さんが飽きないよう日々品書きを変えてます」と店主(左)。
女性スタッフが中心。「常連さんが飽きないよう日々品書きを変えてます」と店主(左)。

カウンターには旬の恵みを使った大皿料理がずらり。「このおばんざいや、日替わり7品から選べるあての3点盛りを頼む方が多いですね」と店主の関谷良恵さん。早速、菜花や栗きんとんを使ったあて3点を選ぶと、なぜか4点盛りで登場。「1品はサービスです。1人客が多いので各料理なるべくハーフサイズも対応してます」と女性らしい気配りを見せつつ、注文が入った際は威勢のいい掛け声。絶妙な“甘辛ミックス”が居心地よさの秘密か。

あての3点盛り930円。当日は生赤えびの切込など。赤味噌の豚角煮630円、日本酒710円~。
あての3点盛り930円。当日は生赤えびの切込など。赤味噌の豚角煮630円、日本酒710円~。
渋い外観。
渋い外観。

『うっちゃり』店舗詳細

住所:東京都板橋区大山金井町52-12 1F/営業時間:17:00~23:00/定休日:月/アクセス:東武東上線大山駅から徒歩2分

洋食メニューもワインも充実のやきとん屋。『やきとんひなた 上板橋店』[上板橋]

やきとんは一串100円。カマンベール串280円も人気。
やきとんは一串100円。カマンベール串280円も人気。

やきとん以外の料理の充実ぶりもおいしさもすさまじい板橋発のチェーン店。「イタリアンや割烹の系列店で働いていたスタッフが新メニューを始めることも多い」という自由な空気が楽しく、若い女性客が多いのも頷ける。お酒も時期により銘柄が変わり、キンミヤ焼酎を凍らせて梅酒で割るシャリ金が隠れ名物。こんな店、近所にほしい!

代表の辻さん(右端)と上板橋店スタッフのみなさん。
代表の辻さん(右端)と上板橋店スタッフのみなさん。
雰囲気は大衆酒場。開店直後から席が埋まる。
雰囲気は大衆酒場。開店直後から席が埋まる。

『やきとんひなた 上板橋店』店舗詳細

住所:東京都板橋区常盤台4-25-1/営業時間:16:00~23:00(土・日・祝は14:00~)/定休日:月/アクセス:東武東上線上板橋駅から徒歩2分

構成=フラップネクスト 取材・文=鈴木健太、パリッコ 撮影=加藤昌人、本野克佳、パリッコ