羅生門
五感で味わうノスタルジックな一杯
当初はおでん屋としてスタートし、以後70年近くにわたって愛され続ける憩いの場。カウンター奧の大鍋で香り立つ伝統の「煮込み」は、おかわりする人もいるほどのおいしさだ。評判の「しのえ焼」は手羽先の骨を抜いて肉と野菜をつめたオリジナルの一品。酢醤油でさっぱりといただこう。清酒は煮込みの鍋の上、巨大徳利からたっぷりこぼしながら注がれる、目にも楽しい一献だ。
『羅生門』店舗詳細
鳥よし
質と安さにこだわった焼き鳥
当初は歌舞伎俳優・市川雷蔵の義理の父が始めたというこの店。鶏肉専門店を営んでいたオーナーが質のよい鶏肉を厳選。串に打たれた生肉はガラスケース越しにも新鮮で、ぷりぷりした鳥刺しも注文の多い一品だ。「サラリーマンも大変な時期。そんなにお金をもらってもね」といって笑う店長は安さにもこだわる。透き通るような煮凝りも、灰汁と脂を丁寧に抜き続けたシンプルながら手のかかる名物。
『鳥よし』店舗詳細
登運とん
店を長年守り抜く、こだわりの串
1953年創業、「ガード下のもつ焼き屋」といえば真っ先に名が挙がる老舗だ。名物の串焼きは開店前にその日提供する分だけ串打ちし、備長炭で焼き上げるこだわりよう。「冷凍ものなんて使ってたら何十年も店持たないよ」と店長の眞田さんは笑う。月替わりのおすすめ焼酎と日本酒は店長自ら厳選し、ワンコインで販売。変わらぬ安さと旨さに引かれ、最近は女性のひとり客も増えているとか。
『登運とん』店舗詳細
老酒舗
北京の庶民の味を堪能できる
昔ながらの北京の大衆酒場のツマミを気取らず味わえるこの店。炒飯や土鍋、酸菜(さんさい)と呼ばれる白菜の漬物を使った餃子が人気で、素朴で懐かしい味わいは中国出身のお客さんからも人気が高い。朝飲みも可能で、モーニングも用意。現地をイメージした内装と相まって、ひと味違ったディープな中華探訪ができるだろう。焼酎と割り材を組み合わせて自分好みのサワーを作れるのも楽しいところ。
『老酒舗』店舗詳細
新日の基
有楽町で新鮮な魚を味わうならここ
復員兵の宿舎を改装した歴史ある居酒屋。店内には何本もの梁がアーチを描き、隠れ家のような趣だ。外国人のお客さんも多く、ガード下らしい風情と多国籍の雰囲気が絶妙にミックスした味わい深い空間となっている。店の目玉は新鮮な海鮮料理で、3代目店主のアンディさんが毎朝豊洲市場で仕入れる魚が日替わりのメニューに上る。旬の魚を手軽に食べられるとあって、足しげく通う常連も多い。
『新日の基』店舗詳細
取材・文=いつか床子 撮影=加藤熊三 オカダタカオ 本野克佳
『散歩の達人』2020年4月号より