間借りカレー待望の実店舗。『ダバ☆クニタチ』(国立)
カフェを間借りして不定期で出していた人気カレーが、2017年にファン待望の実店舗として開店。店主の須田竜さんは、南インド料理の名だたる巨匠たちのもとで修業した人物だ。約20種類のカレーと7、8種類のライスを別々にオーダーするスタイルで、好みの組み合わせを探すのも楽しい。「1000円前後のライスもありますが、高級なインド米を使っているため値段を上げざるを得ないんです」と須田さん。米にも手を抜かない本気度を堪能せよ。
『ダバ☆クニタチ』店舗詳細
本場アメリカンスタイルバーガー。『Delicier's』(立川)
立川の米軍ハウスで幼少期を過ごした店主の坂口将人さんは「本場アメリカンスタイルのバーガーで勝負したい!」と10年以上前に開業した。イチオシのナチョバーガーにかぶりつくと、食感にこだわり特注したもっちりバンズの弾力にまず驚く。厳選したオージービーフの赤身を粗挽きにしたパティは、炭火でミディアムレアに焼き上げる。混ぜられた和牛の脂が噛むたびに染み出てたまらない。さらにスパイシーなチリコンカンの辛さが後を引く。
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たっぷり野菜の味が引き立つ定食を。『ごはんと雑貨 mokuji』(国立)
「定食には動物性の食材を使っていないので、出汁やタレなどを工夫して味に抑揚をつけています」とは、店主の大月勇人さん。定番メニューの車麩のフライは、外カリ中フワで、麩に染み込ませた出汁がジュワリと口中に広がる。すり鉢で潰したゴマと麦味噌を合わせたタレとの相性が良く、固めの五分搗きごはんが進む。また、味噌汁は野菜の甘みが凝縮され、シイタケと昆布の出汁の香りがふわり。優しい味わいに、疲れた体が喜んでいるようだ。
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優しい味わいの中華。『ゆるり 中華食堂 癒食同源』(国立)
店主の安藤重雄さんは「年配のお客様でも胃もたれしないよう、油を極力使わないようにしています」と、語る。特にファンが多い五目あんかけ焼きそばは、随所にこだわりと技が光る。チンゲン菜や白菜などの野菜はヘタらないようにボイルしてから炒め、蒸し焼きにして油を落とす。野菜のシャキシャキ、麺のもちもち、さらに絡みつくあんかけから鶏ガラとオイスターソース、中国醤油の香りがふわり。全ての食材が調和した味わいに感動。
『ゆるり 中華食堂 癒食同源』店舗詳細
本場ロシアの家庭料理。『スメターナ』(国立)
「本場のスタイルを守りつつ、味は日本人の好みに合うように工夫しています」と、店主の星野行由さん。ロシア料理の老舗有名店修業後に開業した。人気メニューはサフランライスに分厚いラム肉がのったロシア版丼のプロフ・シャシリク。肉汁と赤ワインのソースがガツンと濃厚な味わいだが、ロシアの香草ディルウィードの爽やかな香りが鼻の奥を通り抜け、後味はすっきり。これが食欲を誘い、次から次へと口に運んでしまう。
『スメターナ』店舗詳細
酒もつまみも激ウマな飲み屋のシメ飯。『くうふく』(国分寺)
メニュー表には和食とエスニック料理が並び、酒は日替わりの日本酒やワインなどが楽しめる。店主の村田大輔さんは「僕と妻の得意な料理や好きな酒を集めたら、こうなりました」と笑う。ここで常連衆が好んで食べるシメ飯が、明太子大葉巻天とごはんのセットだ。薄く軽い衣と大葉がパリッと心地よい歯ごたえで、包まれた明太子の中心部が生のままで絶妙な揚げ具合。さらに、大根おろしで味に変化をつけたならもう、ごはんが何杯でもイケる。
『くうふく』店舗詳細
ロードサイドのオアシス。『ふじみ食堂』(立川)
暖簾には創業50年の文字。1963年当初はドライブインで「前の道はオリンピックの自転車レース道になって、ダンプがすごかったんだ」と2代目店主の芝田淳さん。やがて、客のリクエストに応えるため、料理ができない初代が広東料理のコックさんを呼んだという。鶏ガラと豚骨からスープをとるラーメンは、すっきりまろやか。その実直な味を芝田さんが引き継ぎ、洋食や丼も充実させていった。「この辺はクルマ屋さんやタクシー会社があって、みんな寄ってくれるんです。あとは年配のご夫婦」今では酒のアテもあり、昼からビール瓶を空ける常連がいるほど。席に着けば、壁に飾られた漫画に目が吸い寄せられる。「それね、漫画家が田舎に帰るから記念にって描いてくれたの。住所も名前もわかんないけど」読んでほっこり。食べてにんまり。街道の食堂は、今日も暖簾をはためかせている。
『ふじみ食堂』店舗詳細
丁寧な仕事が光る町場の老舗。『招福そば 奈美喜庵』(立川)
昭和14年(1939)の創業以来、ずっとこの地にある老舗。数種類の返しやつけ汁の湯煎など、代々受け継がれてきた教えを守る。その返しを使ったかつ丼や焼き鳥など町場のそば屋らしいメニューはもちろん、チーズ玉子とじ、納豆ヨーグルト冷やつけ汁といった斬新な品々も楽しめる。腕を振るうのは3代目と、15歳でこの店に入って30数年という職人の猫崎浩さん。予約でそば会席などもあり、きっちりとした仕事がお客に伝わってくる。
『招福そば 奈美喜庵』店舗詳細
酒飲みにうれしい多彩なメニュー。『きょうや』(谷保)
手間隙かけて地味にコツコツと、がモットーの店主・中村直樹さん。35歳で脱サラして開業、今年で18年目という。そばは福井や茨城産の丸抜きを石臼で碾く。丹精な細切りは、自ら削る本枯れ節で出汁をとった香り高いつゆとよく合う。曜日によって変わるおまかせコースは1650円~とお値打ち。工夫を凝らした変わりそばも楽しい。日本酒や酒肴が多彩だから夜もおすすめだ。奥様の丁寧かつ温かいもてなしが心地よくさせてくれる。
『きょうや』店舗詳細
伝説の「オリムピック」カレー!『シギリヤ』(立川)
「セイロン風と謳(うた)っていますが、スリランカにこんなカレーはないんですよ」と笑うのは店主の竹内康雄さん。かつて、大阪・北新地にあった伝説のステーキハウス「オリムピック」では、取引先のスリランカ人から提供されたスパイスで開発したオリジナルカレーが大評判に。そのレシピを忠実に踏襲したのがこのカレーだ。ブイヨンを使った独特なルーはスパイシーながらも優しい味で、薬味セットに入っている塩辛も「オリムピック」仕込み。ライスはうどんに変更できる。
『シギリヤ』店舗詳細
オタクが作る究極の“俺カレー”!『chichica』(立川)
自らを「カレーオタク」と称するのは店主の藤本貴則さん。胃腸が弱い自分でも毎日食べられるカレーを追求してたどり着いた味がこれだという。彼は「本場の味を日本人のアイデンティティに落とし込みたいという野望もありました」とも語る。こうして完成したカレーは、3週間毎日訪れた常連客がいるほどの人気ぶり。黒ゴマの芳醇な香りが鼻腔(びこう)を刺激し、スパイスによる心地よい痺(しび)れが舌を包む究極の“俺カレー”。ぜひ、一度食べてみてほしい。
『chichica』店舗詳細
構成=株式会社エスティフ 取材・文=佐藤さゆり・高橋健太(teamまめ)、工藤博康、石原たきび 撮影=木村心保、原幹和、小野広幸、本野克佳