コーヒーの香りが染み込んだ空間『カフェ ビィオット』
銀の鋲がクールな板張りに、天井近くでアールを描く漆喰の壁など、シックな空間に、界隈の人々がひっきりなし。お目当ては自家焙煎のコーヒーだ。光沢を放つコーヒー豆を注文ごとに挽き、ネルドリップで抽出。深いコクと甘い後味に、誰もが満足げに頷く。お供にサンドイッチも人気。「パン自体がおいしいんです」と2代目店主の正能(しょうのう)真介さんは笑うが、トースト具合、具のバランスが絶妙だ。
『カフェ ビィオット』店舗詳細
ショパンの音色が心地いい戦前喫茶『珈琲ショパン』
名曲喫茶として昭和8年(1933)に創業。戦禍を免れ、34年前から店名と同じ、ショパンだけを奏でるように。暖炉風家具、ステンドグラス、ベルベットの籐椅子、彫刻家手製の木彫り灰皿など、色香が満載。コーヒーが人気だが、粒餡と氷、ミルクをミキサーにかけたアンオーレは、男性も惚れるさらりとした甘さ。そして、バターをパンの耳まで重ね塗りしたアンプレスの甘じょっぱい味に恍惚となる。
『珈琲ショパン』店舗詳細
植栽の隙間からもれる灯りが目印『高山珈琲』
古い建物を隠すように緑が茂るなか、扉を開ければ、柔らかな灯りに、リノベした木造りの空間が浮かぶ。店主の高山正秀さんはコーヒーメーカー勤務の経験を元に、2~3年乾燥熟成させたオールドビーンズの焙煎豆を特注。ブレンドのみ、ネルドリップでまとめて淹れるのは、「一杯ずつだと、配合の味わいが表われにくいんです」。味を落ち着かせたコーヒーは、自家製ケーキとともに、ゆったり味わいたい。こっくりとした苦味のあと、甘みがゆっくり花開く。
『高山珈琲』店舗詳細
構成=株式会社エスティフ 取材・文=佐藤さゆり(teamまめ)、佐久間春奈・加藤桐子(風来堂)、野田りえ 撮影=オカダタカオ、中込涼