代々木で落ち着いて飲める、奇跡の一軒『よよぎあん』[代々木]
本当に目立たない、うっかり通り過ぎてしまいそうな場所に店はある。それでも店内はいつも満員御礼。老紳士から若者まで、日本酒を片手に和やかに飲む酔客でいっぱいだ。約7時間かけてコトコト煮込んだ鰤(ぶり)大根や白菜が入ったピリ辛のもつ煮など、つまみは旬を感じる料理が多数。何を頼んでも日本酒が欲しくなってしまうのだから、う~ん、悩ましい。学生が多い喧噪(けんそう)の代々木のなかで、大人が落ち着いて飲める奇跡の一軒である。
『よよぎあん』店舗詳細
日本酒のためにあるような肴と日本酒がずらり『こころむすび』[新宿御苑前]
日本酒のためにあるような肴が豊富で、胸はときめきっぱなし。店主が築地で目利きし、食べごろを見極めて出す鮮魚のいい刺し身や炭火でじっくり焼く天然穴子の一夜干しなどは……まいった、酒が進みすぎる! 日本酒の銘柄はスッキリ系からお燗で旨い濃醇タイプまで約40種類。ずらりと銘柄が並ぶ品書きを目の前にすると片っ端から飲みたくなってしまう。あぁ、飲み過ぎ確定である。
『こころむすび』店舗詳細
日本酒初心者も安心!な気楽な店『まつん処』[新宿三丁目]
「日本酒の好みは色々あっていいんですよ。お好きなように楽しく飲んでほしい」とは店主の林原正明さん。ここではウンチクは不要。日本酒になじみのない初心者でも、安心して飲めるのがうれしい。銘柄は「洌(れつ)」や「鍋島」など、主人が自信を持っておすすめするお酒が常時8種類ほど。常連客が必ず注文する自家製の塩辛や鮮魚の刺し身、煮付けなどの肴は酒が止まらなくなること間違いなし。理屈抜きで日本酒に酔えるって、気持ちいいですよ。
『まつん処』店舗詳細
魚屋ならではの目利き&太っ腹に感謝『タカマル鮮魚店 1号店』[新宿西口]
母体は鮮魚卸会社。目利きのプロが選りすぐった魚介はポテンシャルがハンパじゃない。その底力を存分に味わうには、タカマル定食がおすすめだ。刺し身は器に収まり切らず、エビがひょいっと顔を出す。マグロの分厚いひと切れを頬張ると、脂の甘みが口中に充満し夢見心地。ハリがあり、それでいて歯がスッと入る柔らかさも魅力だ。白飯をかき込めば、絡み合って味わい深い。あら汁を啜り、胃袋の隅まで旨味を染み渡らせるべし。
『タカマル鮮魚店 1号店』店舗詳細
熟練の焼き技が魚の持ち味を増幅『原始焼 二代目 魚々子』[西新宿]
仕入れの際は産地にこだわらず、時季によって品質のいいものを選ぶ。「刺し身で食べておいしい魚は焼いても旨いんです」と店長の加藤貴則さん。ていねいに焼き加減を確認し、遠火、近火を使い分ける姿は、まるで魚と対話しているよう。炭火に炙(あぶ)られ、表面にぷくぷくと脂がふくれているのを見ると、つい酒が進む。写真のカサゴは、あんぐり口を開け、胸ビレを広げる様子が迫力大。そんな見た目のわりに、ほわっと甘い癒やし系の味だ。
『原始焼 二代目 魚々子』店舗詳細
寡黙な店主が生み出す多彩な魚料理『淡水研究室』[代々木]
「産卵に向けて餌をたっぷり取ったカワハギは、肝臓が大きく発達しています」と、店主の保科芳行さん。生の状態を裏漉(うらご)しして肝ダレを作り、お造りに添える。身を噛むと旨味がにじみ、肝のコクがふんわり。飲み込んだ後も香りが鼻腔(びこう)を漂い、幸福感は続く。強火でレアに焼いた真タラの白子は舌の上でプルンと揺れ、甘みを放つ。保科さんにとって食材のよさを引き出すことが第一義。そのために刺し身、焼き、鍋など演出法は多岐に渡る。
『淡水研究室』店舗詳細
鮮度にこだわった肉と充実の野菜焼き『三代目ウエゾノヤ』[新宿御苑前]
古民家を改装し御苑脇に出店。新旧のよさが同居する落ち着いた佇まいに、老若男女が集う。まずは、お通しのさっぱり茶わん蒸し、口直しのキャベツが供され「銘柄を限定せず、その日に鮮度のよい鶏を仕入れている」という焼き鳥は、おまかせ6本1188円を注文。串ごとの歯触り、味わい、風味のバリエーションに素材の力が感じられ、深く満足。炭火でまるごと炙(あぶ)った野菜焼き220円~を頼めば、さらに味わいの幅が広がる。
『三代目ウエゾノヤ』店舗詳細
ワサビをのせたつくねでさっぱり『品川亭』[西新宿五丁目]
西新宿のビル群から十二社の住宅地へ。路地裏に昭和がわずかに残る一角がある。その一軒がここ。焼き鳥メニューの人気はつくね550円。常連さんのリクエストから定番メニューとなった珍しいワサビ添えつくねで、さっぱりとした味わいが日本酒との相性よし。網焼きした豚のたん、なんこつ、はつは1人前880円。特にたんは1本を分厚くカットしてボリュームがあり、さっくりとした歯ごたえにビール(大)770円を思わず注文。
『品川亭』店舗詳細
取材・文=山内聖子、信藤舞子(teamまめ)、志田真一朗 撮影=本野克佳、オカダタカオ、高野尚人、丸毛透(青木)