最強の餃子は羽根もツマミに『大連』[大森]
「1985年に開店して以来、毎日食べたくなる味を追求してきました」と、店主の八木龍夫さん。故郷大連の、餡を味わう皮の薄い餃子を基本に、時代の変化に応じて少しずつ進化を重ねてきた。「まずは、餃子とビールね」と、駆け込む常連客に親しまれる定番は、豚バラとロースを合わせてひいて弾力を出し、魚介と丸鶏で取る出汁の煮こごりをつなぎに入れるなど、技が光る。ニンニクなしの穏やかな味に、苦味も度数も控えめな青島(チンタオ)ビールがしっくりくる。
『大連』店舗詳細
餃子と相性抜群ピリ辛味噌だれ『大穀』[渋谷]
「瓶に入ったたれでどうぞ」。店主の渥美修さんがすすめるのは、味噌だれだ。人気の味噌ラーメンで使う赤味噌をベースに、唐辛子やニンニクなど10種類の材料で作る自信作で、ピリ辛で濃厚だが、酢を使うので後味爽快。これが、野菜たっぷりの餃子はもとより、ビールをもそそる。熱々にどばっと付けて頬張ったら、すかさずビールをクピーッ。こっくりした赤味噌と赤星、なるほどお見事。夏は瓶をチルド冷蔵庫で冷やす気配りも。
『大穀』店舗詳細
やみつき必須。 焼き鳥屋の隠れ名物『鳥久』[阿佐ケ谷]
飲み屋ひしめく路地に、客でひしめく名店が構える。丸鶏を捌(さば)き、串打ちした焼き鳥が看板だが、片隅に白絞油(しらしめゆ)がたっぷり波打つ唐揚げ専用大鍋が。唐揚げはムネもあるが、国産生鶏のモモがいい。ひと口サイズをタレで軽くもんでから、上質な片栗粉をまぶし、油の中で約10秒。サクッと軽やかな歯ざわりのあと、振った塩と添えられた辛子がモモの甘みを引き出し、じわじわ旨味が押し寄せてくる。合わせてビールがぐんぐん恋しくなる!
『鳥久』店舗詳細
備長炭で一気に焼き上げる!『焼鳥 はちまん』[早稲田]
まずはキーンと冷えた生ビールを飲んでいると、店主の安井章人さんがリズミカルな所作で素早く焼いた焼き鳥が運ばれてきた。炭の香ばしい匂いがしてくる。噛みしめると旨味がじわりとあふれだした。しっかり味つけされた“塩”や、炭の上で煮詰めていくという“タレ”のどちらも甲乙つけがたく、爽快な味のビールが止まらない。「うちの焼き鳥は紀州の備長炭で、強火で一気に焼き上げて旨味を閉じ込めます」と店主。扱う鳥取の大山鶏や滋賀の淡海地鶏は、一から店でさばき、おいしく焼くためにカットの仕方から串打ちにまでこだわる。あっという間に食べてしまうのが口惜しいくらい、一本一本に魂がこもった焼き鳥である。
『焼鳥 はちまん』店舗詳細
レアなビールとの出合いを楽しむ『焼鳥バル ATELU』[和泉多摩川]
ポップな店内に配された焼き台で腕を振るうのが、店長の岡田充さん。レコード屋で勤務した後に働いた飲食店で焼き鳥に目覚め、2015年8月にオープンした。「焼き鳥は毎回仕上がりが違いますし、炭の扱いが難しいのが面白いんです」と岡田さん。同じくらい興味を持ったのがクラフトビールで、特にアメリカの酒に一目置いている。約13種類揃える銘柄のなかには珍しいものも多く、ビール好きならばぜひお試しを!
『焼鳥バル ATELU』店舗詳細
ポテチといぶりがっこ入りのポテサラ『シャンクス』[参宮橋]
螺旋階段を上った先の扉を開けると、マスターの芳賀雅紀さんと吉良絵里さんが迎えてくれる。「ビーサンで来るぐらいの感覚で日常遣いしてほしい」とマスター。名物は、ヒッコリーで燻(いぶ)したポテチといぶりがっこを注文後に入れるスモーキーポテトサラダ540円だ。ポテチの食感が心地よく、ヒッコリーの苦みのある燻製香が広がる。この香りと志賀高原ビール其の十の白ブドウのようなアロマが、美しき香りの二重螺旋を生み出すのだ。
『シャンクス』店舗詳細
ジューシーすぎるハチノスとほっこりヒヨコ豆『ワイン食堂リコピン』[経堂]
料理を担当する大野ケンジさんが腕を振るうのは、トリッパだ。スモークパプリカと唐がらしの粉で辛味を利かせたトマトソース、牛の一番目の胃袋(ハチノス)とヒヨコ豆が主役だ。ハチノスは煮込みが足りないとゴムのようになるし、煮込みすぎると食感が損なわれるほど煮くずれる。一口頬張る。ほどよい弾力を残したまま、根菜ベースのスープを吸い、トマトソースを全身にまとったハチノスとヒヨコ豆。ソムリエの大林ヤスヲさんにうながされるようにしてコエドビールを飲む。「瑠璃」「伽羅」「漆黒」。豊穣な苦みと、トリッパとの相性に瞠目した。(牛ハチノスとヒヨコ豆のトマト煮は時期により欠品あり)
『ワイン食堂リコピン』店舗詳細
/営業時間:17:30~23:00LO/定休日:月/アクセス:小田急線経堂駅から徒歩1分
柔らか、あっさり!シロのうまさに感動『ホルモン道場 みかさ』[品川]
豚の小腸(シロ)を使った数々の料理でここほど美味い店に出合ったことがない。当然、煮込みもシロが主役なのだが、ぐつぐつと煮込まれたシロが供されるかと思っていると、裏切られる。昆布やスルメイカ、鰹でとった出汁に白味噌を入れた汁を小鍋で煮立たせ、あらかじめボイルして柔らかくなったシロを入れる。そこに、シロと同じぐらいのサイズにカットしたコンニャクと豆腐を投入、サッと煮て、まとめあげる。あっさりとした、かつ滋味深い煮込みはビールを呼ぶ。初代・堀淳さんから出し続けている胡椒(コショウ)がきいた突き出しのポテサラも、ビールをさらに喉に流し込みたくなる。
『ホルモン道場 みかさ』店舗詳細
刺し身もアイスも。めくるめく燻製マジック『Smoke Beer Factory』[要町]
BARを営むオーナー山崎さんが、ビール&スモーク好きが高じ、2015年に開店。「熱燻や温燻、冷燻、桜やブナなど多様なチップの組み合わせで、新たな料理とのマリアージュを生み出せるのが燻製の魅力です」。料理担当の店長・門伝直樹さんは和食の修業経験もあり、例えばタイを昆布〆にして桜で冷燻したり、アユをオーク樽のチップで温燻したりとアイデアは無尽蔵! 合わせるクラフトビールは、レギュラー 3種と日替わり4種を樽生で用意。燻製ビールを頼み“燻々(くんくん)祭り”を楽しむもよし、ビアコーディネイターの資格をもつスタッフへ料理に合う銘柄を尋ねるもよしだ。お通しの燻製スナックからシメのきなこアイスS410円まで、めくるめく煙マジックを堪能あれ。
『Smoke Beer Factory』店舗詳細
驚異の揚げもの8種食べ放題!『昭和酒場 黄金バット』[住吉]
店長の佐藤寛至さんは言う。「雅コースの値段だけ見て頼んじゃって、目の前に来てからどーすんのこれって顔をされる方、いますね」。からあげ、ポテト、トロ玉メンチカツ、あじフライ、揚げたこ焼きほか。総重量3㎏を超える皿は大の男が揃っても食べきることは、ほとんど不可能に思えてしまうほど。さらにそれが食べ放題だという。また、からあげ食べ放題も100円で実施。胃に自信のある方は挑戦してみては?
『昭和酒場 黄金バット』店舗詳細
下町っぽくも上品さを感じる紙カツ『居酒屋かまとと』[青砥]
人情紙のごとく薄きとんかつでは困る、と獅子文六は言った。しかし人情のように薄く儚(はかな)くともうまいのだからしょうがない。特にビールに合わせるなら、断然紙とんかつだ。ごく薄い豚肉にバリッとした衣。汁気がないのでザクザク感は失われず、冷えたら冷えたでまたうまい。ソースや醤油でジャンクに食べるもよし、塩で味と触感を楽しむもよし。軽くまぶされた青のりは、下町っぽくも上品さを感じさせるこの店ならではの特徴だ。
『居酒屋かまとと』店舗詳細
取材・文= teamまめ(佐藤さゆり/松井一恵)、山内聖子、鈴木健太、藤井誠二、かつとんたろう 構成=鈴木さや香 撮影=オカダタカオ、小野広幸、本野克佳、金井塚太郎、三浦孝明