大食漢の胃袋つかむ昭和風味の一皿『ぺろり』
8人で満席のカレースタンド。「スパイスの凝ったカレーより、昭和のカレーが好きで」と店主・秋本宏介さん。店でひいたひき肉と大量のタマネギを炒め、鳥ガラスープで煮込んだカレーは、ドロリとして中毒性が高い。客の9割が男子というのも妙に納得だ。この味、懐かしいけど、なかなか出合えないんだよな。
『ぺろり』店舗詳細
水を飲むのは厳禁『サンライン』
カレーの下に敷かれた“カレーの心得”には「辛さに驚くことなかれ」の文言。身構えつつ口に運んでみれば、じんわりと汗。しかし「水はいっさい出しません」。医食同源に基づき、体の温かさを維持できるようにとの配慮なのだとか。具材を煮込んで裏ごししてあるカレーは、サラサラとして「食べた後におなかがすきますよ」。またこの一皿で最適な量に調整してあるため「シェアは禁止」。旨いと辛いを繰り返す、泣かせる法則だらけの不思議な店だ。
『サンライン』店舗詳細
スパイスの輪郭際立つさらさらカレー『シリ バラジ』
店頭には南インドの神様・シリバラジが。それを横目に、ピンク一色の店内へ。ここのカレーはインド直輸入の生のスパイスを多く使った、油控えめでさらりとした南インド流。マドラスフィッシュカレーは、ココナッツミルクの甘さの後に新鮮なチリホールの辛さやタマリンドの酸味が舌を心地よく刺激! ランチのバイキングも豪華。
『シリ バラジ』店舗詳細
ゆっくり食事を楽しめるとっておきの食堂『こだわりのインド・ネパール食堂 マーダル』
1998年9月オープンの創業24年目を迎えた『こだわりのインド・ネパール食堂 マーダル』は、目黒駅東口を出て徒歩1分ほどの雑居ビル5階にある。ともすると見逃してしまう小さな立て看板のみのため、はじめて訪れる場合はちょっと注意が必要だ。エレベーターを降りると、扉の向こうはインド・ネパール料理のレストランにしてはまずらしく靴を脱いで上がるスタイル。店内に入ると、白壁のシンプルなインテリアでまとめられた癒しの空間が広がる。明るく迎え入れてくれる店主のもてなしと、日本人シェフが厳選した素材で丁寧に作るやさしい味の料理がココロとカラダ、そして胃袋に沁みる。化学調味料などの添加物は一切使わず、1歳の小さな子どもからお年寄りまで食べられると店主。どれを食べても滋味深く、まさに“やさしい”味だ。
『こだわりのインド・ネパール食堂 マーダル』店舗詳細
混ぜれば混ぜるほどおいしくなるスパイスカレー『KERAKU』
2020年6月目黒にオープンしたオリジナルスパイスカレーの店。代々木上原の人気店『ハルダモンカレー』がプロデュースしていることでも注目されている。店名の『KERAKU』とは煩悩から解放されて得られる安楽という意味の仏教用語だ。カレーはすべてグルテンフリーで“健康的なカレー”がこだわり。ライスはGI値の低いバスマティライスとジャポニカ米のミックス、豆や野菜、スパイスがたっぷりで胃にやさしく、代謝アップが期待できるという。メニューは日替わりで、基本のカレーが3種、スペシャルカレーが1種の計4種。単品での注文も、2種または3種の合がけもOK。合がけはそれぞれの味を楽しんだ後で「混ぜる」のが醍醐味だ。混ぜることを前提に味のバランスが考えられていて、混ぜれば混ぜるほどおいしくなる。カレーのお供には、スパイスの刺激が残る口の中にやさしい甘さが広がるチャイがおすすめ。ディナータイムにはお酒と一緒にカレーを楽しむことができる。
『KERAKU』店舗詳細
薬膳のイメージを覆すまろやかな味わい『薬膳スープカレー・シャナイア』
目黒駅と恵比寿駅のちょうど中間あたりの住宅街の入り組んだ路地にある薬膳スープカレーの店。スープはオリジナル、トマトベース、焼きえびベースの3種類、辛さは10段階から選べる。辛さは1辛が市販の家庭用ルーの甘口、2辛が中辛、3辛が辛口ぐらいに調整されているそう。最初は辛さ控えめに注文して、テーブルにあるスパイスで少しずつ辛くするのがおすすめ。一番人気のチキンと野菜のスープカレーは、大きくカットされた野菜が10種類以上。ゆでる、素揚げするなど、一つひとつ丁寧に下ごしらえされて盛り付けられる。秘伝の黒酒で旨みを熟成させた骨付きチキンレッグは、ほろほろとほぐせるやわらか。さらに冷え性に効果がある生薬やスパイスがたっぷり入り、体をポカポカさせる効果抜群だ。“薬膳”でイメージする苦みや食べづらさはまったくなく、バランスのとれたまろやかなスープカレーが楽しめる。
『シャナイア』店舗詳細
【移転】毎日食べても飽きないネパールの家庭の味『ラクシュミー』
目黒駅前の雑居ビルの2階にある、地元で長く愛されるインド・ネパール料理店。店長は料理上手として知られるネパールの少数民族・タカリ族の出身。人気メニューのアマのダルバートは、チキンと豆の2種類のカレーのほか、数種類のおかずがワンプレートに並ぶ。ネパール料理のダルバートは日本でいう“定食”で、各家庭でそれぞれの味があるとのこと。ひとつずつ食べるのではなく、ちょっとずつ混ぜながら一緒に食べるのだそう。全部のバランスを考えて一つひとつ味付けされている。味が濃すぎず、朝晩食べても飽きないのがネパール料理の特徴だ。何種類ものスープから仕込むインド料理も本格的。ナンやチキンは厨房のタンドール窯で炭火で焼かれる。お酒のおつまみになるメニューも品数豊富で、辛さの調整などもしてもらえる。一度来たら次は誰かを連れてきたくなるお店。お客の約8割がリピーターだというのもうなずける。
『ラクシュミー』店舗詳細
研究熱心な店主が作り出す絶品カレー『カレバカ世紀(つぐき)』
目黒駅西口を出て、昭和感あふれる権之助坂商店街を下った雑居ビル4階にある『カレバカ世紀』。子供のころからカレー好きな店主が生み出すユニークなオリジナル週替わりカレー目当てに通うコアなファンを持つ人気店だ。人気のトロリと煮込まれた角煮カレーのほか、豚骨ラーメンをリスペクトしたかのようなとんこつ・豚・ニンニクのカレー、二郎風カレーなるものもあり、味を想像するだけでも楽しい。週替わりカレーは、その人気から夜営業までに売り切れてしまう場合もあるので、狙うならランチの早めの時間がおすすめ。週替わりカレーのメニューは、手書きで店内に毎週月曜に貼り出されるが、インスタグラム(@karebaka6886)でも告知するので、気になる方はぜひチェックしてみてはいかがだろうか。また、夜営業限定のカレーチャーハンも人気で、スパイシーなカレーで炒めたチャーハンに、キーマカレーがたっぷりかかっていて、胃袋大満足の一品だ。
『カレバカ世紀』店舗詳細
知る人ぞ知る地元で愛される目黒カレーの名店『TADA CURRY』
目黒駅西口から歩いて5分ほど、権之助坂の雑居ビル1階に『TADA CURRY』がある。ビル入り口を覗くと、正面奥に店を指さす看板が目に飛び込んでくる。誘われるように奥に進むと、その左のまた奥に扉があり、入ると木で統一された温もりのあるパーッと明るい店内。店主ご夫妻がやさしい心地よい声で迎え入れてくれる。ランチ営業のみのカレー専門店で、メニューはチキンカレー1000円、キーマカレー(3種の豆入り)1000円、タイ風海老のグリーンカレー1100円の3種で、トッピングには、目玉焼き100円、チーズ250円、野菜250円、豆3種類250円、豆1種類100円が用意されている。人気はチキンカレーとのことだが、最近メニューをリニューアルし、2種類がいっぺんに食べられるハーフ&ハーフ、3つ全部食べられるトリプルも。店主ご夫妻が丁寧に仕込むカレーはどれも絶品だが、じっくり炒めて野菜の水分のみで煮込むキーマカレー+半熟加減が絶妙な目玉焼きのトッピングはぜひ味わってほしい一品だ。
『TADA CURRY』店舗詳細
水牛料理も堪能できるネパール家庭料理の店『ネパール料理 バルピパルkitchen』
目黒駅から歩いてすぐ、飲食店が多く入る雑居ビル2階にある『ネパール料理 バルピパルkitchen』は、ネパール人シェフが作る本場の味が堪能できる人気店だ。テーブルや装飾品など、ほとんどをネパールから取り寄せたという店内は、まるでネパールを旅してるような気分になる。日本の大学に留学中、ネパール料理が食べたくても当時は専門店がなかったというオーナーが、ネパールのお母さんの味をもとに自分でお店を開いたという。ネパールの伝統的な美しい真鍮の鍋で注文を受けてから炊くバスマティライス450円や、山羊肉のスープカレー、水牛肉のチョエラ、水牛肉のモモなど、ネパール人シェフの手で丁寧に作られた料理はどれも絶品。しっかりとしたスパイスの効いた味ながら、どれもやさしい味がする。国は違えどおふくろの味は万国共通。どこか郷愁を呼び覚ます『ネパール料理 バルピパルkitchen』の料理。ぜひ、足を運んでみてはいかがだろうか。
『ネパール料理 バルピパルkitchen』店舗詳細
取材=京澤洋子、丸山美紀(アート・サプライ)、鈴木健太、平澤清司 文=京澤洋子、丸山美紀(アート・サプライ) 撮影=京澤洋子、丸山美紀(アート・サプライ)、井原淳一、寺井広樹、松崎聖子