飯能の酒場文化の生き字引『おらく』
北口の目の前にどーんと構える、創業から70年を超える老舗酒場。もとは現大将の祖母が始めた一杯飲み屋で、つまみは焼き鳥とお新香があるくらいだったそうだが、先代が銀座の寿司屋で修業を積んだ名残か、鮮魚も旨い。ねじりはちまきをピシッと締めると仕事モードになるという祭り好きの大将。飯能の酒場文化の空気が堆積した店内で、その丁寧な手仕事を堪能する時間が贅沢だ。
『おらく』店舗詳細
小さな飲み屋街の老舗焼き鳥屋『鳩家』
駅から歩くこと約15分。街道沿いの横道に、突如一本の小さな飲み屋街が現れる。かつて「航空自衛隊入間基地」の第1ゲートが近かった場所柄だそうで、どこか浮世離れしたその雰囲気にワクワクさせられる。『鳩家』は中でも50年以上の歴史を誇る古株で、2代目と3代目の親子で店を守る焼き鳥屋。名物の焼き鳥はもちろん、初代から受け継がれた野菜の煮込みの素直な味わいが、心に染みる。
『鳩家』店舗詳細
福島出身・真理子ママの独壇場!『範』
『鳩家』と同じ横丁にあるこの店に、ふらりと入ってみて驚いた。「うちはまずお通しが100円でたっぷり出るから、足りなかったら他を注文して」とのこと。実際手作りの小鉢料理が6皿出てきて、ウーロンハイを2杯。お会計をお願いして「800円」と言われたときは、思わず笑ってしまった。お店を1人で切り盛りする、福島出身の真理子ママのキャラクターが良く、また会いに行きたい。
『範』店舗詳細
気鋭の一軒家酒場は日々進化中『緑』
数年前に体調を崩し、それまでの仕事を続けられなくなったご主人が、空き物件だった一軒家を自らリフォーム。2017年にオープンさせた。提灯の点々と灯ともる細い路地の奥にある一軒家酒場という、若干怪しいシチュエーションがたまらない。飲み歩きは好きだったものの、料理はいちから勉強中とのこと。もともとセンスがあるのだろう。何を頼んでも旨く、しかもメニューは日々進化中だ。
『緑』店舗詳細
取材・文=パリッコ 撮影=井原淳一
『散歩の達人』2020年2月号より
当サイトでは、連載「飛びこめ名酒場」を執筆中。