心躍る、本と音楽と、コーヒー『BLACKWELL COFFEE』
店主の甲斐隆史さんは手焼きの焙煎にこだわり、「時間をかけて、1杯のコーヒーができるまで、人間臭く関わりたい」と語る。そして、ユニークなのがブレンド名だ。ロックの名曲をコーヒーの味で表現。甲斐さんは「お客さんの様子を見ながらその人のために」と、淹れ方を調整し、カップに注ぐ。飲み進めるほど広がる余韻。本を読み、ときどき音楽に耳を傾ければ、心が軽くなっている。
『BLACKWELL COFFEE』店舗詳細
扉の先に潜む、ビターなおとぎの国『喫茶といろいろ 六ペンス』
看板を頼りにマンション2階へ。扉を開くと一気に不思議の国のアリス気分だ。「朱(あか)の部屋はおしゃべりする方に、奥の緑の部屋はお一人席になっています」と、店主の光田陽子さん。英国文化を愛し、界隈の商店の焼き菓子や雑貨など、好きなものを集めて2019年に開店。甘さを抑えた空間ゆえか、男性や年配の一人客も多し。『六ペンス』の看板クッキーがのったアイスや紅茶を味わいながら、どっぷり異世界に浸りたい。
『喫茶といろいろ 六ペンス』店舗詳細
外カリッ&中ジュワッの手作りパンプディング。『くぐつ草』
吉祥寺駅ほど近くのアーケード街の地下にある老舗カフェ。380年以上の歴史を持つ江戸糸あやつり人形劇団『結城座』が昭和54年にオープンし、まるで洞窟のような店内は細部にまで劇団のこだわりが詰まっている。
店で長年愛されてきた自家製レアチーズケーキと並んで人気のデザートメニューが、店内のオーブンで焼かれたパンプディング。プリン液をパンにたっぷりと塗りこみ、オーブンでこんがりと焼いた生地は、一口かじるだけで心地よいバターの香りとプリンの優しい甘さがジュワッと染み出す。食べやすい小ぶりのサイズなので、同店の看板メニューであるくぐつ草カレーを味わったあと、食後のデザートとして注文するのもおすすめだ。
『くぐつ草』店舗詳細
甘いオレオ×酸味のあるチーズケーキの相性抜群!『alley cafe(アリーカフェ)』
吉祥寺で9年半ほど営む『alley cafe(アリーカフェ)』は、駅から徒歩3分の雑居ビルの一角にひっそりと構えている。わずか20席ほどのこぢんまりとした店内は心地よいBGMが流れ、本棚にはさまざまなジャンルの本が並べられるなど、つい長居をしたくなる空間だ。
オープンから変わらない看板メニューは、見た目にもおしゃれなオレオのニューヨークチーズケーキ。砕いたオレオをたっぷりと生地に練りこみ、その上にオレオをぎゅうっと敷き詰めオーブンで焼きあげている。甘いオレオと酸味のあるチーズケーキの味わいと食感の対比が楽しめる。夜にはオリジナルカクテルなども提供するため、一人で訪れてゆっくりと1日を締める人も多い。
『alley cafe(アリーカフェ)』店舗詳細
※緊急事態宣言中はフード19:00LO、ケーキ&ドリンク19:30LO/定休日:火/アクセス:JR中央線吉祥寺駅から徒歩3分
旬のフルーツが盛りだくさんの自家製パフェ。『コマグラカフェ』
およそ20年にもわたり地元で愛され続けたダイニングバー「こまぐら」の名を受け継いだカフェ。ダイニングバーで使っていたテーブルや椅子をそのまま使用しながら、新しいものも取り入れた“ごちゃまぜ”の空間をコンセプトとしている。
旬の果物を使った自家製パフェは、スイーツの中でも特に人気が高いメニューだ。グラスにごろっと盛り付けられた旬の果物は、フレッシュで頬がほころぶほど甘い。果物のほかにも、クランブルやゼリー、アイス、メレンゲなどさまざまな素材を使っているので、最後の一口まで味わいや食感のちがいを楽しめる。パフェの内容は果物の仕入れによって変化するため、変わるたびに訪れるファンも多い。店のインスタグラムでは随時パフェの情報を更新しているため、狙って食べに来たいパフェがあるときは、そちらをチェックしてから訪れるのがベストだろう。
『コマグラカフェ』店舗詳細
猫の形がユニークなふんわり絶品フレンチトースト。『TEA HOUSE はっぱ』
「とびらを開けば絵本の世界」をコンセプトとする、吉祥寺のテーマーパーク『吉祥寺プティット村』内にあるティーハウス。森の中に迷い込んだかのような木のぬくもり溢れる空間で、種類豊富な紅茶やスイーツなどをゆっくりと味わえる。
一番の人気メニューは、猫型がかわいらしいフレンチトースト。国産小麦を使った生地は、一つひとつ店内で丁寧に焼き上げられている。ふわっとジューシーに焼き上げられた生地は、シロップと生クリームをたっぷりつけて味わいたい。小川のせせらぎを聞きながらくつろげるテラス席
『TEA HOUSE はっぱ』店舗詳細
クラシックなタルトは紅茶とぴったり。『coromo-cya-ya(コロモチャヤ)』
ガラスで仕切られた空間に、紅茶がメインのカフェとシャツブランドのショップが隣接。カフェ店主でありデザイナーでもある中臣さんが丁寧に作りあげたもの、シンプルにおいしいと思ったものだけを提供している。
カフェでは、普段紅茶を飲まない人でもカジュアルに楽しめるよう、季節や注文したスイーツなどに合わせておすすめの紅茶を提案してくれる。種類豊富なタルトメニューは、フランス伝統のタルトのように固めの生地が特徴。その中でもりんごのタルトは、同店で一番初めに作られた王道のタルト。バターやきび砂糖、白ワインでソテーしたりんごをタルト生地に並べてオーブンで焼き上げた生地はサクッとした食感で、芳醇なりんごの甘さがマッチし素朴ながらも深みを感じる味わいだ。
『coromo-cya-ya(コロモチャヤ)』店舗詳細
真四角のチーズプリンで夢見心地。『ヒトクサ/くろもじ珈琲』
吉祥寺駅から徒歩で約6分の路地に佇む、花屋内にあるカフェ。西荻窪にある本店でも提供される、真四角の形が印象的なチーズプリンが看板スイーツ。生地にクリームチーズを入れた甘さ控えめのプリンは、チーズの酸味とほろ苦いカラメルが相性バツグン。なめらかな舌触りで、最後の一口まで夢中になって食べ進めてしまう。また、ハーブティーのような華やかな香りがするくろもじ茶も、一度出会ってしまうと忘れられそうにない印象的な味わい。カフェインレスなのも魅力的だ。
また、オーナーが庭師をしていることもあって、花屋には山野草を中心とした植木や鉢で育てる植物が豊富に揃う。カフェで一息ついたあとは、ぜひ植物にも注目してほしい。
『ヒトクサ/くろもじ珈琲』店舗詳細
手間暇かけた焼きリンゴは歴史を感じる味わい。『茶房 武蔵野文庫』
1985年(昭和60年)創業の老舗喫茶。店名はかつて早稲田大学の近くにあった、井伏鱒二や五木寛之ら稲門文士たちの集いの場となっていた喫茶店「早稲田文庫」から受け継いだ。店内には「早稲田文庫」から引き継いだ蔵書や工芸品が数多く残されている。
そんな同店の創業から変わらない冬の定番デザートが焼きリンゴ。昔ながらの調理方法で手間暇かけて作られている焼きリンゴは、りんごのほど良い酸味とシナモンの香り、豊かなラム酒とレーズンの風味が重なり、シンプルな見た目からは想像もできないほど複雑な味わいだ。同じく定番のドリンクであるクリームソーダは、目が覚めるほどの鮮やかなイエローが個性的。創業から変わらないメニューを味わいながら、歴史に思いを馳せたい。
『茶房 武蔵野文庫』店舗詳細
季節ごとに変化する、まろやかな甘さのあんみつ。『八十八夜』
「からだにやさしいごはんとおのみもの」というコンセプトで、料理やスイーツ、ドリンクに至るまで素材を生かした調理を心掛けている。日本人の食生活に深く根付く雑節「八十八夜」をテーマに、有機栽培のお茶や季節感を大切にしたメニューが揃う。
クリームあんみつは、季節ごとに変わる旬のフルーツに、寒天やわらび餅、黒糖の濃い風味を感じられるさとうきびアイスを味わえる一品。さとうきびアイスは黒糖のまろやかな甘さをふんわりと感じられ、あんこの風味が黒ゴマやレモンなど季節ごとに変化するのも面白い。自家製スパイスジンジャーは、『築地御厨(みくりや)』から仕入れた生姜と天然甘味料「アガベ」、数種類のスパイスをブレンドして作った自家製シロップを加えた体に優しい特製ドリンク。また、夜になるとカフェから本格派の和食ダイニングへと表情を変えるので、時間によってさまざまに楽しめる。
『八十八夜』店舗詳細
異国情緒あふれるこの店もおすすめ!
随所から温かみを感じるフレンチカフェ『Cafe MIMI』
フレンチポップが流れる中、蚤の市で見つけたモビールや鳥かごが天井下で揺れ、チビTが万国旗のよう。大島紳之さんと妻のナタリーさんが飾り付けた店では、大半の客が大ぶりのカフェオレボウルを両手で包み、目を細める姿が印象的。ランチにはクスクスを。骨付きチキンがほろほろだ。また、第2土曜はジプシースウィングバンドの投げ銭ライブも開催。会話と共に仏流エスプリを楽しみたい。
『Cafe MIMI』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ)、稲垣恵美 撮影=オカダタカオ、稲垣恵美