和菓子をキャッチーな存在にする『いちや/いちやのどら』
『いちや』は大福専門店。素焼大福や杏(あんず)、黒ごま、旬の果実を使ったものなどがずらりと並び、近くの高校に通う学生にも普段のおやつとして愛される。定番のいちやの大福は「滋賀羽二重糯」で作ったぷにっとして口溶けのいい羽二重餅と、ふわっとみずみずしいつぶあんが調和し、北海道産小豆「豊祝」の穏やかな香りがふんわり。2019年2月、店から徒歩1分のところに開店した姉妹店、どら焼き専門の『いちやのどら』にもぜひ立ち寄って。
『いちや』『いちやのどら』店舗詳細
素材の風味が複雑に絡み合う『HIGASHIYA man 丸の内』
目を引くのは、モダンと伝統が同居する和菓子の数々。なかでも「紫根(しこん)」「柑子(こうじ)」など、日本の伝統色の名で呼ばれているのは、さまざまな変わりあんで相性のいい素材を包んだ「ひと口果子」だ。例えば、酸味をはらんだクリームチーズをカボチャあんで包む「柑子」は、素材本来の味を生かしたほくほくした甘みが豊か。ブランデーや焼酎が鼻先を舞う大人の味もあり、モチーフになる素材とあんこのマリアージュにうっとりして身悶え。
『HIGASHIYA man 丸の内』店舗詳細
職人のあふれる遊び心にときめく『nanarica ~七里香~』
その見た目からてっきりシュークリームかと思いきや、なんと最中。一般的に最中種はもち米でできているが、こちらは上新粉と豆乳を使ったオリジナルレシピで、ソフトな食感と卵の風味がバターを混ぜたコクのあるあんこと呼応する。白あんで甘さを調えたカボチャあんや求肥をつぶあんにトッピングし、老若男女を魅了。売り場には花を象った正統派の練り切りもあり、小遣いを握りしめてやって来るちびっこファンもいるのだとか。
『nanarica ~七里香~』店舗詳細
好奇心を忘れず挑戦し続ける名店『うさぎやCAFÉ』
あんこが自慢の名店『うさぎや』の4代目・谷口拓也さんがオープン。「いろんなあんこを食べてもらいたい」との願いから、練り上げる際、鍋を火にかける時間を変えて異なる固さのあんこを作り、メニューごとに使い分ける。とろりとしたうさ志る古フロマージュは「ブラジルで出会った日系人の方から、羊羹とチーズを一緒に食べる話を聞き、思いつきました」。絡み合うあんこと塩気のあるチーズを香ばしい最中種にのせてどうぞ。
『うさぎやCAFÉ』店舗詳細
取材・文=信藤舞子 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2019年12月号より