胸を打つ一生モノを探しに『goodbuy』
“大人”な古着を買おう
2026年3月にオープンした古着屋にはリーバイス、ラルフ・ローレンなど定番ブランドが並ぶ。店主のミゾベリョウさんが「一生モノの一着を手に入れたいという方も多い」と話すように、1950年代のジージャンなどビンテージも充実。バンド「odol」でも活躍する…ミゾベさんにとって、古着も音楽同様“やりたいこと”の一つだ。服のセレクトにも余念はない。
肩の力が抜けるファニーな雑貨たち『雑貨!未完成』
脱力系チープ雑貨に癒やされる
商品は10円〜。小学生も立ち寄れる雑貨屋には、アジア各国で買い付けた雑貨や布、オリジナルの腕時計などほかでは買えない珍品が並び、今日も店主の北浦楓子さんと娘の小風ちゃん、スタッフ迫田咲良さんの笑顔が弾ける。「訳の分かんない店であり続けたいです」と北浦さんが言うように、これぞ高円寺なファニーでゆるい店。のぞくだけでも楽しい。
高円寺で昼呑み? いえいえ朝から!『朝から居酒屋 陽のうえ』
朝7時オープンも居酒屋で「朝呑み」
高円寺の人気酒場『小粋』の姉妹店で、その名のとおり朝7時から営業と、朝・昼飲みに特化。17時には店仕舞いする潔さもすてきだ。老舗ラーメン店『太陽』のビルの3階という駅近の店で、本格的な料理が酒好きを誘う。店長の有田なおみさんいわく「料理がたくさんありすぎて、数が分からない」ほどの充実度。昼飲み店が多い高円寺だが、朝飲みできるのは貴重!
科学はエンタメだ、楽しんだもの勝ちだ『IMAGINAS(イマジナス)』
ふらっと科学の不思議を体験
旧杉並第四小学校跡地を活用した新しい“科学体験”施設。予約不要で利用できるワークショップなどを通し、科学の面白さを体感。子供だけでなく大人も楽しめる施設だ。特に「ゆかいな公開実験室」のサイエンスショー(大人1000円、子供700円。土・日・月・祝開催)は必見。科学はこんな楽しいんだ!という驚きに満ちている。
大好きなものや人に囲まれる空間『黒猫堂』
カフェで休憩しながらレコード探索
レコード店に勤めていた大島靖広さん、雅子さん夫妻の店は、“好き”であふれている。靖広さんがレコードをセレクトし、雅子さんがスイーツやドリンクを手作り。高円寺に長く住んでいるお二人は高円寺愛も見事で、開店から1年弱ながら口コミで常連客が増殖中だ。レコードをディグるだけの来店もOK。
アングラな夜会を毎晩開催中『U.F.O.CLUB』
全身で爆音を浴びて踊ろう
「アンダーグランド・ロックの総本山」と呼ばれ、音楽好きやミュージシャンが集う、今年(2026年)で30周年を迎えた東高円寺のライブハウス。音のシャワーを全身で浴び、ビートに身をゆだねるひとときは、まさに非日常だ。若手からベテランまで、ジャンルも音楽性もさまざま。でも、みんなかっこいい。これこそ「U.F.O.」ならではのサウンドなのだ。
人と人の関係も燻(いぶ)される優しい空間『Bar Hibi』
隠れ家的バーで締めの一杯
2025年11月、高円寺の人気店『YonchõMe Cafe』や西荻窪のスナックで長く働いていた安孫子永子さんがオープンした燻製&山形料理の店。多彩な燻製を肴にいただく一杯は、高円寺さんぽの締めにもってこいだ。安孫子さんのファンも多いが、客層は幅広く、「最近は海外旅行客もよく来ます」とにっこり。一見さんにも優しい店でゆったりすれば、自然と肩の力が抜ける。
人の営みを感じまくれる街
「若い頃よく高円寺に行った」。高円寺の話をすると、そんな声を耳にする。そのたびにこう思う。昔の高円寺を知る人こそ、今の高円寺も見てほしい。街の趣は変わっても、この街の本質は変わらない。人も街も元気でサブカルオーラ全開、そしてカオス! エナジーが今も変わらずあふれているのだ。
2026年の春に誕生した『goodbuy』は音楽と古着、高円寺らしい二つの仕事を両立させた、ミュージシャン&古着バイヤーのミゾベリョウさんの店。大人使いができるシックなアイテムが並ぶ中、かわいいキャップを発見。「これは90年代の品で、デッドストックを独自ルートで入手しているんです」とミゾベさん。新鋭古着店で高円寺らしい装備をゲットし、いざ、高円寺さんぽへ繰り出す。
平日の昼間でも駅北ロータリーでは誰かが歌っていて、ギターをかき鳴らす若者の姿はおなじみだが、「音楽の街」というイメージは強く、東高円寺にある『U.F.O.CLUB』のような爆音に浸れる場所も多い。実はこのハコ、2026年で30周年。オーナーの北田智裕さんは「平均年齢23歳のスタッフで立ち上げた店。30年もできたのはお客さんとミュージシャンのおかげです」と話す。
サブカルでカオス“未完成”であり続ける
誕生したばかりの音楽スポットも注目だ。『黒猫堂』は20年以上続いたレコード店「円盤」跡地にできたカフェ・バーで2025年にオープン。店には中古レコードが並び、カフェタイム中にレコード探索という新しい音楽の楽しみ方ができる。「高円寺はコミュニティーが多く、みんな仲がいいんです」と話す、大島夫妻の店には高円寺で働く人もたくさんやって来るそう。
駅近の住宅地に巨大な科学博物館が突如現れる、カオスっぷりも高円寺らしい。小学校跡地を利用した『IMAGINAS』は、ショーやワークショップが充実。家族連れに人気で大人も満喫できる。
また、街の元気さを象徴するのが飲み屋の多さ。昼から飲んでいる人の多さは日本トップクラスだが、朝7時オープンの『朝から居酒屋 陽のうえ』が誕生していた。ついに“朝”飲み文化も定着?
2025年にオープンした『Bar Hibi』も高円寺らしいバー。「高円寺にずっと住んでいますが、ついに昨年、この街で店を開けました」と店主・安孫子永子さんの笑顔がまぶしい。
高円寺らしさを堪能するためには、商店街散策もおすすめ。大小合わせて10以上ある商店街のなかにも「純情商店街」など歴史ある商店街が多い。
一方で、2023年には高架下に「高円寺マシタ」という新たな通りが誕生するなど、街の様相はここ数年で変わっている。『雑貨! 未完成』の店主・北浦楓子さんは「街が変化する中でも、昔ながらのものを残していきたい。高円寺は人の営みを感じまくれる街です」と軽やかに笑う。この雑貨店の店名のように、高円寺ってずっと未完成なのでは? 完成しない街だからこそ、時代が変わっても老若男女に愛され続けている。
取材・文=半澤則吉 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2026年8月号より







