オオタカが生息している『市野谷の森』
流山市の中央に位置する、約25haの雑木林。数多くの野鳥や動物が暮らしている。現在は公園として整備されている最中。
5月13日(水) 晴れ
風の噂じゃ、オオタカは『市野谷の森』にいるらしい。大安吉日。お日柄も良い。だが、『市野谷の森東近隣公園』に飛び込み、後悔する。無数の木々に生い茂らん新緑で、奥が見えない。肉眼でオオタカを捉えるのは無理。しくじったか。雀の涙も情報なしじゃ記事にならん。
5月14日(木) 晴れ
本当にオオタカはいるのか。俺は流山市役所の環境政策課に連絡した。「流山は、県内で初めてオオタカの繁殖が確認された場所です」。これもあり、オオタカは市の鳥として制定されたらしい。「オオタカの生息は特定非営利活動法人NPOさとやまに調査を依頼しています。より詳しく教えてくれると思いますよ」。
5月15日(金) 曇りのち晴れ
「TX開通に伴う周辺開発が公になった翌年の1992年に、市野谷の森でオオタカの繁殖が確認されました」とは、NPOさとやま理事長の岡田啓治さん。「さらに翌年、種の保存法が施行され、オオタカも希少動植物種に指定されます。市野谷の森が残ったのもその影響が大きかった」。この話からすると、オオタカは、今も? 「いるはずですよ」。
5月20日(水) 晴れ
今日の俺はひと味違う。望遠レンズで遠くから捉える作戦だ。あ、鳥だ、でかいぞ。パシャリ! しかし「カア、カア」と鳴き声が。パシャリ……サギだ。パシャリ……カモだ。パシャリ……キジだ。珍しいけど記事にならんのよ。パシャリ……ん? このシルエット。猛禽類(もうきんるい)っぽい!
5月21日(木) 晴れ
「これはノスリです。トビもハイタカもいるし、オオタカを捉えるのは至難の業かも……」。
岡田さんの返事を見て、編集のナカシマに電話をかけた。「サギにサギられ、カモにカモられ、もう詰みだ」。「弱音を吐くな、鷹光健太郎!」「!?」「タカ、見つけんだろう?」。ドヤ顔が浮かび、豆鉄砲を食った鳩の如(ごと)く、俺は立ち尽くす。
5月26日(火) 晴れ
取材最終日。ナカシマが大袈裟(おおげさ)な荷物をしょってきた。「私が来たからには、撮り逃しませんから」。すげえ、高をくくってやがる。ふと、森に目をやると、木の先に何か止まっている。肉眼でも見える、猛禽類だ。あ、飛んだ。格好いい! パシャパシャ……。岡田さんに報告だ!「ノスリですね」。すぐ、返事がきた。そんな気はしていた。「ウソだ……」。ナカシマはがっくり肩を落とす。「オオタカ見つかりませんじゃ、記事になりませんよ」「逆に考えるんだ。俺たちはノスリを探しに来た」「話のすり替えしないでください」「ノスリなだけにね」「雑な締め!」俺たちのオオタカ探しは、これからだ!
この日記には「タカ」以外も、あちこちに鳥の名前を忍ばせました。あなたは何種見つけられたかな?
流山市でオオタカを見かけた方は、読者通信にお寄せください。
取材・文・撮影=鷹光健太郎(どてらい堂)
『散歩の達人』2026年7月号より







