美祢の新しい観光のかたち「美祢ぐるっと号」でいざ出発

美祢駅。晴れ間が見えるときもあったが、およそ一日このような状態だった。
美祢駅。晴れ間が見えるときもあったが、およそ一日このような状態だった。

美祢駅前に現れたのは、一般的な観光バスとはひと味違う車両。トヨタ自動車が開発した次世代モビリティ「e-Palette」だ。観光周遊ツアーでは、この車両で市内の観光地をめぐる。

「e-Palette」はコンパクトな車体だが、定員である7人全員がゆったりと座れるようになっている。また開放感あふれる大型のガラス窓を備えており、移動中も車窓から流れゆく景色を楽しむことができる。

全長約5mで思ったよりも小さく感じた。
全長約5mで思ったよりも小さく感じた。
ステップが低く、車イスの方も乗りやすいようになっている。
ステップが低く、車イスの方も乗りやすいようになっている。
窓が大きいため車内に閉塞感はほとんどなく、景色がよく見える。
窓が大きいため車内に閉塞感はほとんどなく、景色がよく見える。

車内にはモニターも付いており、これから回る各観光スポットの案内や、各所での所要時間や注意事項などが流れるようになっている。

これから向かうスポットの簡単な紹介や集合時間について、モニターで案内される。
これから向かうスポットの簡単な紹介や集合時間について、モニターで案内される。

かわいらしく独特なシルエットだからか、各スポットに着くたび、多くの人たちが車体にカメラを向けていた。

美祢ぐるっと号 ~次世代モビリティ e-Palette で快適周遊!心洗われる美祢満喫日帰りツアー~
行程:美祢グランドホテル→美祢市役所→美祢駅 →道の駅おふく→別府弁天池→秋吉台観光交流センター→各自昼食・秋芳洞(自由散策)→秋吉台(Mine 秋吉台ジオパークセンターカルスター) →大嶺酒造 →道の駅おふく→美祢駅 →美祢市役所 →美祢グランドホテル
※行程は変更になる可能性があります。
※秋吉台展望台は工事中のため、実証期間中は利用できない。
運行日:2026年10月3日~12月27日の土・日・祝
料金:乗車券のみ  3,000 円、秋芳洞入洞券付き 4,200 円(要予約)
○詳しくはこちら
https://yamaguchi-tourism.jp/event/detail_19994.html

「これが本当に池?」別府弁天池の青に驚く

美祢駅を出発して最初の目的地は別府弁天池。名水百選になっている湧水池で、地域の飲み水など、生活水にも使われている。

高い透明度と太陽光の加減によって、青やエメラルドグリーンに見える神秘的な水面が美しく、実際に訪れると、写真で見る以上の透明度に驚かされた。

水がきれいだからなのか実感は湧かなかったが、水深は約5mと意外と深い。
水がきれいだからなのか実感は湧かなかったが、水深は約5mと意外と深い。

絶え間なく水が湧き続けており、入口付近にある給水所では池の水を飲むことができる。実際に飲んでみたが、ひんやりとした水の気持ちよさと、ミネラルを含んだ水のおいしさを感じられた。

給水所。近隣に住んでいると思われる人が、水を汲みに来る姿も見られた。
給水所。近隣に住んでいると思われる人が、水を汲みに来る姿も見られた。

併設されている釣り堀ではこの水で育ったニジマス釣りを楽しむこともできるとのこと。

なお、先述したように地域の生活水にも使用されているため、直接手や足を池の水に浸けることは禁止されている。

池のそばにある大きな杉の樹。根元の穴には弁天様が祀られている。
池のそばにある大きな杉の樹。根元の穴には弁天様が祀られている。

別府弁天池
☎0837-62-0115 (美祢市観光協会)
見学自由
山口県美祢市秋芳町別府

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秋芳洞と秋吉台を歩く。膨大な年月によってつくられる鍾乳洞へ

秋芳洞商店街。通りにはさまざまな店が並んでいる。
秋芳洞商店街。通りにはさまざまな店が並んでいる。
山口県の観光キャッチフレーズ「おいでませ ふくの国、山口」のシンボルキャラクター「ふくだるま」の商品も。
山口県の観光キャッチフレーズ「おいでませ ふくの国、山口」のシンボルキャラクター「ふくだるま」の商品も。

続いて向かったのは『秋吉台観光交流センター』。ここから秋芳洞へ向かう道中には、土産物店や飲食店が並ぶ「秋芳洞商店街」がある。

そのうちの1軒『観光会館 安富屋』で昼食タイム。メニューは美祢市のご当地グルメ「ごぼう麺」。

美祢市の特産「美東(みとう)ごぼう」をうどんに練り込み、さらにごぼうのから揚げがトッピングされている、ごぼうづくしの一品。コシが強く、ごぼうの風味を存分に楽しめる一品だった。

ごぼうを練り込んでいるからか、少し時間が経っても麺がやわらかくならないのは、かための麺好きとしてはうれしいポイントだ。

ごぼう麺。トッピングのごぼうのから揚げもパリパリ。
ごぼう麺。トッピングのごぼうのから揚げもパリパリ。
ごぼうが練り込んであるため、麺の色も少し黒っぽい。
ごぼうが練り込んであるため、麺の色も少し黒っぽい。

観光会館 安富屋
☎0837-62-0234
レストランは11:00~14:30LO(当面の間)
売店は8:30~17:00(12~2月は~16:30)
無休
山口県美祢市秋芳町秋吉3442

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鍾乳洞内部。下には水が流れ、上にはたくさんのつらら状の石が垂れ下がっていた。
鍾乳洞内部。下には水が流れ、上にはたくさんのつらら状の石が垂れ下がっていた。

昼食のあとはいよいよ「秋芳洞」へ。特別天然記念物にも指定されている、国内最大級の鍾乳洞である。

洞内は年間を通じて気温が約17度で一定しており、中の空気はひんやりとして心地いい。鍾乳石は1cm伸びるのに約100年かかるといわれており、洞内にある鍾乳石や柱状になった石柱の数々が、時の流れを感じさせる。

また、同じく果てしない年月をかけて石灰分を含んだ水が作り出した、棚田状に広がる「百枚皿」も自然の造形の不思議さと壮大さを実感させる圧巻の光景だった。

全体のマップ。各所の見どころなどが書かれている。
全体のマップ。各所の見どころなどが書かれている。
「百枚皿」。長い年月をかけて自然にできた形というから驚きである。
「百枚皿」。長い年月をかけて自然にできた形というから驚きである。
日本最大級といわれる石柱「黄金柱」。表面に刻まれたひだのような模様が美しかった。
日本最大級といわれる石柱「黄金柱」。表面に刻まれたひだのような模様が美しかった。

秋芳洞の中にあるエレベーターに乗って上へ行き、そこからもう少し登ると見えるのは日本最大のカルスト台地、秋吉台の絶景。見渡す限りの草原の中に、白い石灰岩が点在するカルスト台地はまさに壮観だった。

残念ながら展望台は改修工事中で、上から台地を見ることは叶わなかったが、展望台からでなくともその光景は息を呑むほど美しい。

ちなみに毎年2月頃には草原の景観維持のため、大規模な山焼きが行われる。焼かれた直後は、焼け跡の黒と石灰岩の白の対比がまた美しいとのことで、それくらいの時期に行くのもいいかもしれない。

地表に見える石灰岩。
地表に見える石灰岩。
この草原を保つため、毎年山焼きを実施している。
この草原を保つため、毎年山焼きを実施している。

秋芳洞
☎0837-62-0115 (美祢市観光協会)
9:00~16:30(繁忙期〈7月1日~9月30日〉は~17:30、GWやお盆は8:30~17:30)
※黒谷入口 ・エレベーター入口からの入洞は~16:30
無休
1600円(繁忙期や閑散期などで変動あり)
山口県美祢市秋芳町秋吉

秋吉台
☎0837-62-0115 (美祢市観光協会)
見学自由(ジオガイドによるガイドサービスは有料)
山口県美祢市秋芳町秋吉秋吉台山

 

酒造併設の施設『Uvale!』でお買い物タイム

現代的な外観が目を引く『大嶺酒造』併設の施設『Uvale!』(写真提供=大嶺酒造)。
現代的な外観が目を引く『大嶺酒造』併設の施設『Uvale!』(写真提供=大嶺酒造)。

秋吉台の次は『大嶺酒造』へ。田園風景の中に白と黒のコントラストが映えるこの酒造には、ショップ、レストラン、カフェが一体化した『Uvale!(ウバーレ)』が併設されている。

日本酒だけでなく、食器や衣類なども並ぶショップスペースのほか、カフェではお酒が飲めない人も楽しめるソフトドリンクも用意。さらに、ショップの中からは窓越しに日本酒の製造工程の一部をのぞくこともできる。

シャツやキャップなど、お酒以外にもさまざまな商品が。
シャツやキャップなど、お酒以外にもさまざまな商品が。
「大嶺3粒 西都の雫」720ml。
「大嶺3粒 西都の雫」720ml。

Uvale!
☎0837-64-0700
10:00~18:00、水休
山口県美祢市秋芳町別府2585

『道の駅おふく』で地元の味を探す

「美祢ぐるっと号」が最後に立ち寄るのは、『道の駅おふく』。地元の特産品や農産物が並び、美祢ならではのお土産を持ち帰ることができる。

ここにはかけ流しの『於福(おふく)温泉』も併設。「美祢ぐるっと号」の行程上は温泉に入る時間はないが、ここで途中下車(解散)も可能とのことなので、一日の疲れを温泉で癒やして帰るのもあり!

美祢市ブランド「ミネコレクション」に選ばれた特産品。
美祢市ブランド「ミネコレクション」に選ばれた特産品。

道の駅おふく
☎0837-56-5005
直売所・レストランは9:00~18:00
於福温泉は11:00~19:30受付、700円
泉質/アルカリ性単純温泉
第2水休
山口県美祢市於福町上4383-1

 

運休中の美祢線を走る。レールサイクルで感じる鉄道の新しい可能性

レールサイクルの車両。自転車部分と、後ろのイス部分で最大4人まで乗車可能。
レールサイクルの車両。自転車部分と、後ろのイス部分で最大4人まで乗車可能。

「美祢ぐるっと号」とあわせて今回体験したのが、長門湯本駅発着で実施されるレールアクティビティ「Rail Run!(レイルラン)」だ。豪雨災害の影響で運休中となっている美祢線の線路を活用した取り組みで、レールサイクルに乗って線路上を走行できる。

体験前に簡単な注意事項の説明を受け、いざ乗車。レールサイクルは電動アシスト付きなので、思ったよりも軽い力でペダルを漕ぐことができ、レール上を進むためのハンドル操作も不要なので、周りの景色を存分に堪能できた。

列車に乗るよりも視線がぐんと低くなり、普段と異なる目線で線路沿いの風景を眺めながら進む時間は新鮮そのもの。また線路の継ぎ目を通るときの「ガタンゴトン」の衝撃が、サドルをとおしてお尻に直接伝わるのも楽しい。

距離は往復約2.4kmで、長門湯本駅から板持(いたもち)駅方面の一部区間を走る。

乗車前に注意事項などの説明を受ける。
乗車前に注意事項などの説明を受ける。

ほかに、実際の線路保守にも使用されている軌道カートに乗って同じコースを走るコースもあり、こちらは係員が運転する。

軌道カートでは、レールサイクルよりもさらに低い目線で線路を進むため、こちらも非常に貴重な体験ができた。

なお、日によってレールサイクルと軌道カートの運転日が異なるので、予約の際は事前に確認を。加えて、145cm未満の人(サドルからペダルに足が届かない人)はレールサイクルの運転ができず、3歳未満の子どもは保護者同伴でも乗車できない。

軌道カート。実際の保守作業にも使われている。
軌道カート。実際の保守作業にも使われている。

Rail Run!
乗り場:長門湯本駅
[シンプルプラン]3600 円/台(当日は4000円 /台)、所要約30分
[線路ガイドツアー付きプラン]5600円/台(当日は6000円/台)、所要約50分
○詳しくはこちら
https://www.westjr-temite.jp/railrun/

美祢の各所をめぐってみて——

今回「e-Palette」という新しい移動手段で美祢をめぐったわけだが、大きな窓から見える車窓風景が素晴らしかったのはもちろん、移動中はエンジン音も静かで揺れも少なく、ステップが低いため乗り降りの負担もなく快適だった。

秋吉台や秋芳洞といった観光地を回る間も、e-Paletteの大きな窓から見える景色も十分楽しめた。

さらに、運休中の鉄道路線を活用するレールサイクルについても、普段は立ち入ることのできない線路上に入り、風を感じながら走り、列車の窓越しではなく、自分の目線で沿線の風景を眺められる体験は格別。

この「美祢ぐるっと号」のツアーは各所に訪れたあと、「今度はこの場所をじっくりと観光しに行きたい」と、また美祢へと行きたくなるきっかけをくれる。ぜひ次はじっくりと秋芳洞に行きたいと強く思う、そんな1日だった。

改修工事中だった秋吉台の展望台。工事が終わったら山焼き後の風景も見に行きたい。
改修工事中だった秋吉台の展望台。工事が終わったら山焼き後の風景も見に行きたい。

山口デスティネーションキャンペーン(山口DC)開催中!

山口県では、2026年12月31日まで「山口デスティネーションキャンペーン『万福の旅』おいでませ ふくの国、山口」を開催中。期間中、訪れる人が心身ともに「万福」に満たされるような、特別なコンテンツや企画が盛りだくさん。この機会にぜひ、山口の魅力を五感で体験しに行こう!
https://yamaguchi-tourism.jp/dc-yamaguchi/index.html

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取材・文・撮影=白濵真之

栃木との県境近くにあり、面積の約80%が国有林の福島県天栄村。鳳坂(ほうさか)峠より東の地域にはおいしいお米や野菜の育つ田園が広がり、峠から西は良質な温泉が豊富に湧く。村を旅すれば、これぞ日本の田舎!という宝のような風景が待っていた。
龍野藩の城下町として栄え、江戸時代から昭和初期の町家や蔵が残る、龍野の重要伝統的建造物群保存地区。その東に流れる揖保川(いぼがわ)の恩恵を受け、うすくち醤油が生まれ、手延べそうめんの一大生産地となった。目と口で涼を求めて、白壁の連なる町へ。
2時間も歩けば、9つの商店街すべてを回れるほどコンパクトな群馬県前橋の街なか。シャッター街に活気をもたらす若手の出店や老舗ホテルの再生で、中心街がいま熱い。と思いきや、赤城山周辺にも新施設が続々と生まれ、地域全体の旅先の魅力が急上昇!
『アドベンチャーワールド』の人気者・パンダが返還されちゃった……南紀白浜。が、町長が原点回帰を謳い、温泉やビーチといったもともとある魅力を改めて磨き上げ。一方で、新たな施設やお店を展開する老舗も。海開きの初夏を迎える白浜が、いまおもしろい!
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東海道五十三次の42番目の宿場として栄え、いまもおおよそ1㎞四方のめぐりやすい範囲に史跡が点在する桑名。ハマグリをはじめ、名産品も多い美(うま)し国・三重の玄関口で“新旧のいいもん”を訪ねた。