アクセス

鉄道:JR・地下鉄東京駅から東北新幹線・JR水戸線・真岡鐵道で約3時間の茂木駅下車。

車:東北自動車道川口JCTから東北自動車道・北関東自動車道を利用し、真岡ICまで約101km。同ICから茂木町中心部まで約27km。常磐自動車道・北関東自動車道経由で友部ICも利用可。

茂木城本丸跡から見通せる景色

町の中心部を貫くメインストリートの先に、こんもりとした高台が見えている。一帯は城山公園として整備され、サクラの開花期は花見客でにぎわうらしい。聞けば茂木氏の祖・茂木知基(とももと)が建久3年(1192)に茂木城を築き、以後400年以上にわたり居城とした地とのこと。本丸跡からは、町並みの先に連なる里山の風景や、幻の長倉線の痕跡とおぼしき空間が見通せる。

眼下に横たわる建物が気になり足を運んだところ、江戸期創業の酒蔵跡に立つ『ふみの森もてぎ』と判明。開放的な空間と木の温もりに圧倒されていると、「町内外の方にご利用いただき、交流の場になればとの思いで運営しています」と職員の斎藤哲郎さんに声をかけられた。単なるハコモノの公共施設にはない、地域の魅力発信への熱い思いや気配りが隨所に感じられ、県内の公共図書館では初の「日本図書館協会建築賞」を受賞したのもうなずける。

幻の長倉線

先人に思いをはせ、未成線の痕跡を訪ね歩く

下野中川停車場跡には幻の駅舎がお目見え!
下野中川停車場跡には幻の駅舎がお目見え!
大峯山トンネル内は通行不可で迂回路がある。
大峯山トンネル内は通行不可で迂回路がある。

未成線とは鉄道敷設工事が進められながら、完成に至らなかった路線のこと。旧国鉄真岡線茂木駅と長倉村(現茨城県常陸大宮市)を結ぶ長倉線もその一つで、太平洋戦争の戦況悪化で放棄された。線路が敷かれることのなかった築堤跡は散策路として整備され、ベンチやキロポストを設置。アーチ橋やトンネルなどの鉄道遺構も間近にできる。

ふみの森もてぎ

町有林をふんだんに活用した複合文化交流施設

連接サスペンアーチ構造の天井が目を引く図書館。テーマごとに分類され、目的の本を探しやすい。
連接サスペンアーチ構造の天井が目を引く図書館。テーマごとに分類され、目的の本を探しやすい。

町の中心部に位置し、約8万冊の蔵書を有する図書館をはじめ、歴史資料展示室(2024年4月7日までテーマ展「茂木の近代建造物」を開催中)、交流広場、カフェ、かつての酒蔵を活用したギャラリーから構成される。町内散策前に地域の歴史を調べたり、休憩がてら立ち寄ったりと、気軽に利用したい。

住所:栃木県茂木町茂木1720-1/営業時間:9:00~19:00(土・日・祝は~18:00)/定休日:月(祝の場合は翌火休)

ゆず加工品

価格も手頃な茂木みやげの最有力候補

道の駅内「おみやげ けやき(欅)」で販売。
道の駅内「おみやげ けやき(欅)」で販売。
町のマスコット「ゆずも」のグッズも揃う。
町のマスコット「ゆずも」のグッズも揃う。

香り高く、町を代表する特産品ゆず。町産農作物の活用に取り組む『道の駅もてぎ』では、オリジナルブランド「もてぎ手づくり工房」を立ち上げ、塩ゆず560円、柚子シロップ470円、柚子酢460円、柚子ポン酢500円、柚子ドレッシング540円など多くの加工品を製造・販売している。

●栃木県茂木町茂木1090-1 ☎0285-63-5671(道の駅もてぎ)

美土里(みどり)農園

町内唯一の観光いちご園

土耕栽培により味に深みとコクが増したいちごが食べ放題だ。
土耕栽培により味に深みとコクが増したいちごが食べ放題だ。

土壌や寒暖差などがいちご栽培に適した環境の茂木町。11軒の生産者のうち、いちご狩りが楽しめるのはここだけだ。とちおとめととちあいか(=酸味控えめで甘さが際立つ新品種)の2種が食べ放題で、2024年シーズンの開園は5月末まで。

住所:栃木県茂木町深沢3200/営業時間:9:00~16:00(予約優先)/定休日:期間中無休

大兼(おおがね)製麺

地元で長く愛される明治5年創業の製麺工場

篠にかけ段々干しで乾燥中の麺と大兼宥二社長。
篠にかけ段々干しで乾燥中の麺と大兼宥二社長。
自慢の麺は『道の駅もてぎ』で食べられる。
自慢の麺は『道の駅もてぎ』で食べられる。

工場隣接の直売所にはツルツル食感のうどん「百騎(ひゃっき)麺」1把(わ)240円や看板商品の島田うどん同230円など乾麺がずらり。ソース焼きそば3食入り290円や原料に粘りの強い県産もち麦を用いたつけ汁うどん2食入り600円、ゆず塩らぁめん2食入り430円など生麺も根強い人気がある。

●8:00~12:00・13:00~17:00、日休。栃木県茂木町茂木1324 ☎0285-63-0051

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木造校舎に足を踏み入れ、タイムスリップ気分

続いて、店名に惹かれて『cafe鎮守』へ。「近くに神社があるので」と由来を教わったが、その一方で心が鎮まる場所でありたいとの思いも込めたとか。不揃いのテーブルや椅子はどれもお気に入りのアンティークで、風通しのよい空間は、人だけでなく古き物たちも居心地がよさそうだ。

近くにある旧木幡(きばた)小学校は『cafe鎮守』の横堀さんの母校で、今は廃校跡を『昭和ふるさと村』として活用している。「昭和ふるさと館」と銘打った木造校舎に足を踏み入れ、教室や廊下を目にした途端、タイムスリップしたかのような錯覚に陥った。自分が学んだ木造校舎はとっくに姿を消しているだけに、こうしたかたちで母校が残されているのがうらやましい。

cafe 鎮守(チンジュ)

初めてなのにホッとする居心地のよさも魅力

いちごのプリンアラモード(左)は期間限定で提供。
いちごのプリンアラモード(左)は期間限定で提供。
共同経営のアンドウハルミさんと横堀一樹さん。
共同経営のアンドウハルミさんと横堀一樹さん。

田園風景のなかにポツンと立つ平屋の民家が、2022年に居心地のよいカフェに変身。ドリンク500円~や素材を生かしたスイーツを注文し、穏やかに過ごすのが似合う。数量限定のランチセット1500~2000円は公式LINEまたは電話での原則予約制。

住所:栃木県茂木町飯1070/営業時間:11:30~16:00LO(金・土は~15:00LO)/定休日:月・火(不定休あり)

昭和ふるさと館

郷愁を覚える昭和初期築の木造校舎

昭和のサロン、教室、民家などに分かれた館内。校舎入り口部分のモダンな造りも印象深い。
昭和のサロン、教室、民家などに分かれた館内。校舎入り口部分のモダンな造りも印象深い。

2006年に幕を閉じた旧木幡小学校。高台の廃校跡を宿泊棟・オートキャンプ場・グランピング施設・カフェとして活用する『昭和ふるさと村』内にあり、風雪に耐えてきた昭和9年(1934)築の木造校舎(国登録有形文化財)を「昭和ふるさと館」として開放。

住所:栃木県茂木町木幡252/営業時間:9:00~17:00/定休日:火・水(祝の場合は開館)
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心の奥底に潜む感情が、旅先で不意に湧き上がる

町内屈指の知名度を誇り、敷地の広さにも驚かされた『ツインリンクもてぎ』改め『モビリティリゾートもてぎ』からの帰り道、塩田交差点にある「→日本の棚田百選」の小さな看板が目に留まった。導かれるように立ち寄った「石畑(いしばたけ)の棚田」に人影はなく、農閑期ゆえ田に水は張られていない。しかし、心の中の原風景とでも言うのだろうか。この場に立ち、吹き抜ける冷たい風を頬に受けていると、なぜか落ち着いた心持ちになるから不思議なものだ。

棚田での感慨を胸に、静かに旅を締めくくるつもりだったが、町なかで見かけた中古レコード店がどうしても気になる。「ちょっと覗(のぞ)いてみるだけでもいいですか」と声をかけたところ、『groovin(グルーヴィン)』の福田さんは「全然気にしないで」と笑顔だ。束の間のつもりが、レコードどっぷり世代の端くれだけに、聴き覚えのある曲が流れるたび話が尽きず、結局長居してしまった。一度は手放したプレーヤーを再び買い直そうか。今、真剣に思い悩んでいる。

モビリティリゾートもてぎ

子供から大人まで楽しめる里山の行楽スポット

グランピング用テントは全5タイプ(写真はロータステントワイド)。
グランピング用テントは全5タイプ(写真はロータステントワイド)。
カートの運転には一定の条件が設けられ、事前予約も必要だ。
カートの運転には一定の条件が設けられ、事前予約も必要だ。

2022年、モータースポーツファンになじみ深い『ツインリンクもてぎ』から現施設名に改称。国際規格のサーキットを取り囲むように、アスレチックや乗り物系アトラクション、ハローウッズでの自然体験など気になるスポットが揃う。ホテルのほかグランピング、ログキャビンなど宿泊施設も充実し、ファミリーや気の合う仲間が泊まりがけで楽しめる。2024年3月には歴代の名車やホンダジェットを展示する「ホンダコレクションホール」がリニューアルオープンし、空のアスレチックひろば「KONOMI」が新アトラクションとして加わる。

●料金・施設利用時間・休園日などはHP参照。栃木県茂木町桧山120-1 ☎0285-64-0001

石畑の棚田

のどかな原風景が目の前に広がる

農閑期の棚田ならではの哀愁も味わい深い。
農閑期の棚田ならではの哀愁も味わい深い。

1999年に農林水産省が認定した「日本の棚田百選」の一つ。自然豊かな里山の風景が広がる入郷(いりごう)集落にあり、狭い山あいの傾斜地に、弧を描くように細長く続く水田は180枚ほどにも及ぶ。かたわらの道路は「関東ふれあいの道:棚田めぐりのみち」のコースに選定。農作業の妨げにならないよう、マナーを守って訪ねたい。

●栃木県茂木町入郷石畑

groovin

アナログ盤ならではの魅力に引き込まれる

「音楽好きが交流できる場に」と福田さん。
「音楽好きが交流できる場に」と福田さん。
店名の由来であるヤング・ラスカルズの名盤。
店名の由来であるヤング・ラスカルズの名盤。

茂木駅近くの空き店舗を活用し、2023年に移転開業した中古レコード店。ブリティッシュ・ロックを筆頭に名盤からコレクター垂涎(すいぜん)のレア盤まで、店主・福田龍也さん厳選のLP盤やドーナツ盤が並ぶ。自慢のオーディオでの試聴は至福のひとときだ。

住所:栃木県茂木町茂木1607/営業時間:15:00~19:00(土・日・祝は12:00~)/定休日:水(祝の場合は営業)
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【耳よりTOPIC】「妖精の森」と称されるミツマタ群生地

幻想的な光景だ。(写真提供=茂木町商工観光課)
幻想的な光景だ。(写真提供=茂木町商工観光課)

枝先が3本に分かれることが樹木名の由来のミツマタ。町の南部・焼森山近くにあるミツマタ群生地では例年3月上旬~下旬に黄色いミツマタの花が見頃を迎え、春を待ちわびる散策客でにぎわいを見せる。期間中のアクセス方法については事前に確認を。

●栃木県茂木町飯 焼森山付近 ☎0285-63-5644(茂木町商工観光課)

取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2024年3月号より