キツネではなく!?猫が祀られる不思議な稲荷神社【赤坂】

稲荷神社といえば狐だが……。
稲荷神社といえば狐だが……。

神社と一口に言っても天満宮や八幡宮など様々。その中で稲荷神社は全国に3万社以上を数え、広く信仰されてきました。

稲荷神社といえばキツネがおなじみですが、赤坂にある美喜井稲荷神社に祀られているのは猫!

背筋を伸ばしたなんとも凛々しい姿をした猫が、ふたつの祠の真ん中に鎮座しているのです。

なぜ稲荷神社に猫がいるのでしょう。

利発そうな姿をした猫の「美喜井」。
利発そうな姿をした猫の「美喜井」。

昔、ある家で火事が発生。「美喜井」という名の猫が、火事に気付かずに眠っている飼い主を起こして助けました。おかげで飼い主の命は助かったものの、美喜井は焼け死んでしまいました。

その飼い主が、命を張って自分を守ってくれた猫を悼み尊敬し、神社を建てたいと考えたのです。そのことを知った有名なお坊さんが「美喜井は比叡山の位の高い神様だ」として、ここに祀りました。

小さな境内だが、猫の意匠が点在。
小さな境内だが、猫の意匠が点在。

そのため、神社ではありますが境内にはお寺にあるような香炉が見られるなど、独特な空間になっています。

徳川家由来!タヌキが祀られる不思議な神社【秋葉原】

表情も愛らしいタヌキ。
表情も愛らしいタヌキ。

秋葉原駅の南側に位置する柳森神社。江戸城を建てた太田道灌が鬼門除けとして、京都の伏見稲荷から神様を勧請して立てたのが始まりとされる、れっきとした稲荷神社です。

しかし、ここにいるのは狐ではなく「たぬき」。たぬきのシンボルである大きなアレも、はっきりと表現されていますね。

実は徳川家にゆかりが深い存在だった。
実は徳川家にゆかりが深い存在だった。

ここにたぬきが祀られるのは、桂昌院という徳川3代将軍家光の側室であり5代将軍綱吉の母に当たる女性に由来します。

彼女はもともと、身分の低い八百屋の娘でしたが、将軍の側室にもなったということで、大奥の女性たちからの憧れの眼差しを向けられていました。低い身分から側室にまでなった桂昌院が「他を抜いて」出世いしたことから「たぬき」が祀られるようになったのです。

そのため、出世のご利益があるとされて、多くの人が参拝に訪れます。また、たぬきのシンボルである大きなアレから、安産祈願や子宝成就を願う参拝客もいるそう。

柳森神社の境内全景。
柳森神社の境内全景。

柳森神社の中に福寿神をまつる祠がありますが、こちらを建てたのが桂昌院なので、気になる方はお参りに出かけてみては?

鳥居に巨大な鯛!絶景神社【銚子】

圧倒的なパンチ力を誇る外観。
圧倒的なパンチ力を誇る外観。

文章で表現するまでもなく、見た目のインパクトが痛烈なのが、

千葉県の東端、銚子市は犬吠埼のそばにある長九郎(ちょぼくろ)稲荷神社です。

赤い鳥居の上には強大な鯛!さらによく見ると、手前の鳥居にもサンマとイワシがデザインが施されています。

本殿にはなぜかバスケットゴール
本殿にはなぜかバスケットゴール

他では絶対に見ることのできないこの神社の創建は約350年前の江戸時代初期。今の和歌山県から漁にきた長九郎という漁師が、魚が大量に取れるこの地の海の豊かさにいたく感動し惚れ込みました。

そして、自身の子孫もこの地に住まわせることに決めて移住し、未来永劫に大漁の続く海であってほしいと願い建てられたのが始まりです。

離島や山頂を除き、日本で一番早い日の出が見られる
離島や山頂を除き、日本で一番早い日の出が見られる

漁師でない私達にとっては、海の恩恵を絶景で享受することができます。

水平線まで見渡せる眺望で、広大な太平洋はパノラマで水平線まで見え、地球が丸いことを感じさせてくれる場所です。

珍スポットのような感じもする場所ですが、祀られているのは、京都の伏見稲荷大社から勧請された「宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)」。

長九郎の願いが通じたのか、銚子の海は今日も美しく輝いています。

 

今回ご紹介したのは、どこも参拝客の多くない神社なので落ち着いてお参りできるのも魅力。

さらには、珍しい神社であるということは、ハマる人にはベストマッチするという意味でもあります。

当たり前の旅やお散歩に飽きたら、こうした神社を訪れてみてはいかがでしょう。

写真・文=Mr.tsubaking