【コースガイド】

市内の桐製品が一堂に会する

結城駅北口すぐの結城市観光物産センター(☎︎0296-48-8155)では、たんすや下駄、茶筒のほか、ペン立てやうちわなどの桐小物も販売している。

「桐箱朝市」はコロナ禍での開催を模索中

『喫茶カヂノキ』を主会場に、農産物やパン、雑貨などを桐箱に入れて販売。今後の予定は桐箱朝市実行委員会のインスタグラムで確認を。

アクセス

電車:JR・私鉄・地下鉄上野駅から東北新幹線・JR水戸線で約1時間の結城駅下車。

車:東北自動車道川口JCTから東北自動車道・圏央道を利用し、五霞ICまで約37㎞。五霞ICから結城市中心部まで約30㎞。

見世蔵(みせぐら)の町並み

31もの国登録有形文化財が集まる

見世蔵と看板建築の店舗が隣り合う姿に時代の変遷がうかがえる。
近寄ると、格子戸の横のガラス戸に本場結城紬産地元請けのユニークな屋号を発見!

見世蔵とは店舗と住居を兼ねた土蔵のこと。
結城駅北口一帯には明治初期から大正期にかけて建てられた蔵や店舗が現存し、往時の面影を偲(しの)ぶことができる。国の登録有形文化財に指定された老舗商店のみならず、飲食店や市の観光施設、休憩所などに改修された見世蔵は、結城の新たな顔として注目されている。

●茨城県結城市結城ほか

キヌヤ薬舗店舗(右)と奥順見世蔵・店舗が並ぶ問屋街の様子。
重厚な観音開き扉や漆喰(しっくい)塗りの白壁にも目を奪われる。

喫茶カヂノキ

見世蔵をレトロな空間に見事再生

カウンター周辺には押し入れだったことを物語る柱が。

大同2年(807)成立の『古語拾遺(しゅうい)』によると、殻木(かぢのき)とは結城の名の由来とか。歴史にも造詣の深い店主・阿部貴仁さんがネルドリップで淹れた、ブレンドコーヒー400円や、アイスクリン400円ほか店の雰囲気に合わせ手作りしたデザートなど、個々のメニューにこだわりが詰まっている。

門を開放し、ギャラリーや「桐箱朝市」会場としても利用。
住所:茨城県結城市結城397/営業時間:11:00〜18:00(土・日・祝は9:00から。営業時間短縮の場合あり)/定休日:月・第1火(祝の場合は翌日)

本場結城紬(ゆうきつむぎ)

ユネスコ無形文化遺産に登録

繭を広げて真綿を作り、手で紡いだ手紬糸を最高級の絹織物に仕上げるまでの全工程が手作業で行われる伝統工芸。長きにわたり培われてきた品質の良さと高い技術は、着物から小物に至るまで、今なお脈々と受け継がれている。
写真は結城市伝統工芸館(☎︎0296-32-1108)での地機(じばた)織り実演。

つむぎの館

結城紬の歴史から体験・小物販売まで

本場結城紬のがまぐち(右)3300円〜。名刺入れ5500円〜。

結城紬製造卸問屋『奥順』の敷地内にある結城紬の総合施設。資料館の「手緒里(ており)」、織体験ができる「織場館」(有料・要予約・対応日限定)、結城紬の展示場「陳列館」、ショール1万9800円をはじめ紬小物を販売する「結(ゆい)の見世(みせ)」が、庭を囲んで立ち並んでいる。

青空に映える白壁の建物は資料館「手緒里」。入館料200円。
住所:茨城県結城市結城12-2/営業時間:10:00〜15:30最終入館(土・日・祝は16:30まで)/定休日:火・水(祝の場合は営業)

古寺巡り・歴史散策

市内に残る歴史の面影を訪ね歩く

結城家18代の秀康が建立したと伝わる弘経寺(ぐぎょうじ)。
称名寺境内には結城家初代・朝光の墓がある。

鎌倉時代に始まる結城家を皮切りに、江戸幕府そして水野家により治められてきた結城の地には、時代の変遷を物語る古寺や由緒ある墓などが市内各所に多く残る。東結城駅を起点に、結城家御廟(ごびょう)や結城城跡を経て結城駅へと向かえば、途中で見世蔵に立ち寄りながらの古寺巡りも楽しめる。

●茨城県結城市結城ほか

周囲に堀を巡らせた盛土の上に20基もの五輪塔が整然と並ぶ結城家御廟。
結城城跡(城跡歴史公園)内には江戸時代の俳人・画家であり、当地にもゆかりの深い与謝蕪村の句碑が立つ。

三日月橋

結城家埋蔵金伝説の痕跡を訪ねる

公園として整備された結城城跡の一角に架かる「三日月橋」。
橋の下をのぞいても川や池はなく、土地が深く掘り下げてあるだけだ。この窪みは結城家初代・朝光が源頼朝から授かった褒賞が受け継がれ、埋蔵されているとの伝説に基づき、徳川家康以降大正期まで発掘が繰り返された名残だとか。真偽のほどはさておき、時代を超えたロマンを今に伝える痕跡といえよう。

桐製品

伝統を支える職人の底力を実感

桐たんす店が手がけた桐茶筒は各1万2100円。一生ものの価値あり。

結城領内では河川舟運の発達前から、欅(けやき)に代わり防湿や防火に優れた桐の植樹が進められ、結城家が桐製品を奨励していたとされる。その歴史が引き継がれ、本場結城紬と並ぶ伝統工芸として今に伝わる。桐たんすは全国8大生産地に数えられるほど。桐下駄は軽くて履きやすいと評判だ。

鼻緒の違いや表面の細工で表情が異なる桐下駄は4000円〜1万円台。『結城市観光物産センター』で購入可。

秋葉糀味噌醸造

添加物なし、昔ながらの味噌造り

高さ約2mの杉樽が並ぶ味噌蔵と店を切り盛りする秋葉貞子さん。タイミングが合えば蔵見学もOKだ。

創業は天保3年(1832)。5代目の秋葉節夫さんは「気候により出来が左右される味噌醸造では、栄養素を分解する酵素をいかに作るのかが我々の最も大事な仕事」と語る。粗切りの大豆が入った看板商品のつむぎみそは、3年物「粋(すい)」と1年物「純米」がともに500g 540円〜。なす入りで甘辛の「繁盛なす」250g 430円〜はご飯のおかずにピッタリだ。

昭和初期の道路拡張により見世蔵前面が切り取られた風変わりな外観が目を引く。
住所:茨城県結城市結城174/営業時間:8:30〜19:00/定休日:日

KURA SAUNA

1回3時間、定員10名の完全予約制

土蔵内は1階が脱衣スペース、2階が薪ストーブによる高温サウナの造りだ。

ガレージの扉の奥に、元呉服屋の土蔵をサウナに改造したくつろぎ空間が広がる。平日は相席、土・日・祝は2名以上の貸し切り制で、利用時は水着持参・着用が条件。ソフトドリンク飲み放題1000円など。

●利用料2000円(タオル・敷マットレンタル代含む/土・日・祝は1名8000円で食事付き)

水風呂は秋葉糀味噌醸造から譲り受けた杉樽を再利用。
住所:茨城県結城市結城183/営業時間:10:00〜、13:30〜、17:00〜の3部制(1回3時間、定員10名の完全予約制)/定休日:月・火(祝の場合は営業)

ぱんやムムス

明治築の米穀店跡がパン屋さんに

風変わりな店名はスウェーデン語のおいしい(mums)に由来。

店主の北村史絵さんはじめ、女性スタッフの気さくな対応が好印象。もっちりとした食感で、ほどよい甘みを感じる角食パン280円は売り切れ必至の人気商品だ。フルーツのカンパーニュ500円、クロワッサン195円、クリームパン175円などのほか、季節を感じる材料にこだわったパンも手頃な価格で提供している。

左からフルーツのカンパーニュ、角食パン、クロワッサン、クリームパン。
住所:茨城県結城市結城1319/営業時間:11:00〜18:00/定休日:日・月・木

+cafeうぐいす

路地奥の隠れ家的スペース&カフェ

スコーン、スイーツ盛り合わせにドリンクが付くアフタヌーンティーセット 2035円。

店名の「+」は「飲食だけでなく、ゆっくりくつろげる場を提供したい」との店主・須賀優子さんの思いから。一般住宅を古民家風に改装した店内にはアクセサリーや雑貨が置かれ、各種紅茶770円〜(ポットで提供)のほか、甘さ控えめな手作りスイーツも揃う。おまかせランチ1815円は前日までの予約制。ワークショップやイベントも不定期で催している。

住宅地の路地奥にあるので、小さな看板を見逃さないように注意を。
住所:茨城県結城市結城2271-3/営業時間:12:00〜16:00LO/定休日:月・火・水

日本花の会 結城農場

場内散策だけでも清々しい気分に

多種多様な桜の木が林立する場内は約8万3000㎡もの広さがある。

各地へ配布する桜苗木の圃場(ほじょう)と桜見本園があり、350種もの桜が系統ごとに植えられた場内は散策も可能。春に咲く品種が中心だが、二季性のアーコレードなど秋に開花する希少種も数種あるので、運がよければ束の間の花見も楽しめる。

●入場無料、10:00〜15:00、土・日・祝休。茨城県結城市田間2217  ☎︎非公開

鎌倉街道

幻の古道の存在をほのかに感じる

代官屋敷跡と推定される稲荷塚古墳周辺の薄暗い三差路。

結城郡を南北に貫いた幹線道路とされるが、痕跡に乏しく、伝承レベルの古道とされていた。近年、県教育委員会による調査が進められ、その実像が徐々に明らかに。変哲のない生活道路ながら、不自然に曲がる道の様子などに、かつての往来を思い巡らすのも楽しい。

●茨城県結城市北南茂呂ほか

要所には地元有志による道標が。

水野越前守(えちぜんのかみ)忠邦の墓

山川水野家11代の墓が集まる

県指定史跡でもある水野忠邦の墓側面には辞世の和歌が刻まれている。

江戸幕府の財政難解消と権力強化を目的とする天保の改革を主導した老中・水野忠邦。性急な改革は2年余で頓挫し、失脚した忠邦は嘉永4年(1851)に没した。周辺は山川水野家発祥の地とされ、11代忠邦の墓まで順に、初代忠元から10代忠光まで葬られている。

●見学自由。茨城県結城市山川新宿1653-1

取材・文・撮影=横井広海
『散歩の達人』2021年10月号より