薄緑色したそばのみずみずしさ『大川や』【市ケ谷】
「たまたま22歳のときにいいそばに出合って」と大川英児さん。それを機にそばの道へ。栃木や群馬など、農家や製粉所から仕入れた実は、喉越しをよくするため、細かめに石臼で碾き、毎朝手打ちする。そば汁は、出汁とかえしを合わせて1日寝かせ、湯煎にかけてまろみを出す。まろやかな汁が、そばの色艶と喉越しを引き立て、みずみずしい香りが鼻腔(びこう)を抜けていく。豊洲仕入れの魚や野菜で仕込む酒肴でまずは一献も、至福だ。
『大川や』店舗詳細
肉の個性を引き出す炭火パワー『グリルダイニング エラバ』【四ツ谷】
「食材の持ち味を引き出すには、炭火はとても効果的なんです」と店長の川部正宏さん。二枚看板の三元豚、大山鶏は元来味わい深いが、炭火によってさらに魅力を倍増させる作戦だ。味付けはシンプルに塩、こしょうのみ。決め手は焼き方で、弟の貴宏さんが担当する。大山鶏は時間をかけて、皮目はパリッ、中はプリッと。三元豚は火を通しすぎないように、表面はこんがり、中はふんわり仕上げる。ああ、肉汁がじんわり口中であふれる!
『グリルダイニング エラバ』店舗詳細
昇天必至の柔らか熟成豚ロース『かつれつ 四谷 たけだ』【四ツ谷】
長年、「洋食 エリーゼ」として愛されていたが、平成23年にカツレツ専門店に変身。店主の竹田雅之さんは、メニューを絞った理由を「料理にもっとこだわりたくて」と語る。材料はもちろん、仕込み法も一新。特別なオイルに肉を一晩漬け込むことで、繊維をほぐし、しっとりした肉質に変化させる。完成品は、力を入れずとも歯がスッと入る柔らかさ! 豚の甘みがすっきりした口当たりのデミソースと絡み、香り高く舞う。
『かつれつ 四谷 たけだ』店舗詳細
食欲そそるガッツリ炭火魚ランチ『炭火魚 旬菜料理 坂本』【四ツ谷】
魚の仕入れは店主である坂本健一さんの務め。毎朝豊洲に足を運び、自ら目利きする。肉厚なサバをジューシーに仕上げるには、串に刺し、炭火で短時間のうちに焼き上げることが肝心。皮目に輝く脂はたいそう艶やかで、その香りに誘われて頬張ると、豊満な身からこぼれた旨味が勢いよく膨らむ。「魚と米が旨ければ、万事オッケー!」と坂本さんは笑うが、確かに。箸が止まらず、ボリューミーな定食もぺろっと平らげてしまう。
『炭火魚 旬菜料理 坂本』店舗詳細
天婦羅鍋を囲む連携プレーが華麗『天婦羅 もゝ瀬』【市ケ谷】
素材に衣をつけ、スーッと油に投入する店主の津田広敏さんと、火の通り具合を見極めながら揚げる妻の彩子さん。息ぴったりの仕事ぶりに、見惚(ほ)れてしまう。ゴマとコーンを合わせた油でサックリ揚げる海老かき揚げには、秋口からはシラウオも入る。大判だが、大根おろしをたっぷり絡めると後味も軽い。新婚ほやほやで開店し、40年以上。「生涯現役!」と、朝食は彩子さん特製スムージーを飲み、二人で健康に気遣う。
『天婦羅 もゝ瀬』店舗詳細
季節の野菜とまろやか豆乳が絶妙タッグ『spice&smile』【四ツ谷】
「札幌に住んでいた頃、スープカレーが好きで90軒ほど巡りました」とオーナーの黒川真緖さん。研究を重ね自らこの店をオープン。スープはトリガラと豚骨、野菜でじっくりととり、まろやかな豆乳味、さっぱりしているトマト味、クリーミー、スタンダードの4種類を用意。スパイスは12種ほど使用し、辛さの調節もしてくれる。さっと素揚げした季節の野菜は、歯ごたえと甘みがあり、ターメリックバターライスが風味を添えている。
『spice&smile』店舗詳細
取材・文=teamまめ(佐藤さゆり、松井一恵、信藤舞子) 撮影=高野尚人、阿部栄一郎、オカダタカオ、井上洋平