NORIZ COFFEE [武蔵境]
芳しく、かつ豊かな余韻もじっくり堪能
しっとりした生地にうっとりさせられるロールケーキには、断面に生クリームでNORIZ(ノリズ)の「の」。ホワイトチョコを混ぜたコクのある甘みが、エスプレッソキャラメルソースと対比を成し、印象を引き締める。また、卵の風味が際立つプリンは一拍置いてラム酒が舞い、しばらくいい香り。ねっとりした舌触りで甘みが程よく口の中にとどまり、ロールケーキに劣らずコーヒーと相性がいい。一つを選ぶのが難しく、両方食べたくなる。
『NORIZ COFFEE』店舗詳細
ocio Healingspace&Cafe [東小金井]
素材の持ち味を生かし、癒やし効果を引き出す
一色淳さん、真未さん夫妻のカフェにはヒーリングスペースもある。だから、お菓子も癒やし効果が大きい。白みそゴマクッキーは温め直して出すことでほろり、柔らかくなり、ホッと和ませてくれ、酒蔵から仕入れた玄米酒粕のクラッカーはほのかな甘みと塩味が食欲を呼び、ザクザクした歯応えが気分を上げてくれる。淳さんが焙煎した明るい味わいのコーヒーが全体の甘みを押し広げ、さらにホッ。
『ocio Healingspace&Cafe』店舗詳細
Rose & M [三鷹]
この味わい深さは、うんと手間をかけた証し
タルトタタンは一日に数回、数を分けて焼くので、時間が合えば出来たてを食べられる。色濃くしっかりキャラメリゼされ、口の中を漂う甘み、酸味をサクサクのパイ生地、生クリームが増幅する。レモンケーキは国産レモンを手搾りし、果汁をたっぷり使用。爽やかな香りが鼻腔(びこう)を通り、目の前がパッと明るくなるよう。ショーケースには『佐藤洋菓子店』が間借り。「若い才能も応援したい」と店主の江口睦子さん。
『Rose & M』店舗詳細
WISE MAN COFFEE [武蔵小金井]
最後、溶けた状態を飲み干すのも美味
自家焙煎したコーヒーが評判の店で、お目当てはアフォガート。濃厚かつすっきりした苦味の深煎り、ブレンドNo.3を使ってエスプレッソを抽出し、グラスに移してアイスクリームを重ねてある。口に入れると、まぁ不思議。豆の成分が冷え、ミルクと合わさることでアプリコットに似た風味がふわり。中深煎りのブレンドNo.2をハンドドリップで淹れてもらい、交互に味わうと、次第に甘みがまろやかになるのもまたいいのだ。
『WISE MAN COFFEE』店舗詳細
すうぷ屋 でみCafé [武蔵小金井]
大豆の旨味を味わえ、おやつにもつまみにも
名物は見た目以上にボリューミーで小腹を満たしてくれるおからドーナツ。密度がぎゅっと高くなるよう、店主の嶋岡秀美さんが一つずつあえて手で成形している。国分寺の老舗『星野豆腐店』で仕入れたおからは大豆の旨味が濃く、プレーンドーナツはジュースやビール、何にでも合う。チョコ、ラベンダーなどのフレーバーも日替わりで登場するので、一つはその場で、一つは持ち帰りもありだ。
『すうぷ屋 でみ Café』店舗詳細
cafe koti [新小金井]
あふれる滋味に体と心がすこぶる喜ぶ
「試作しては、おいしいね、と褒め合います」と笑う店主の草野晃子さんと土屋真美子さん。二人が手掛けるのは、動物性食材を使わないオリジナルレシピの滋味あふれる焼き菓子だ。洋梨のマフィンはコンポートを生地に練り込み、刻んできび砂糖で煮込んだものをトッピング。柿がまばゆい色を放つタルトは、土台のクッキーが甘さ控えめで熟した柿の甘みが映える。主役の野菜や果物は日によって異なるので、一期一会の楽しみも。
『cafe koti』店舗詳細
取材・文=信藤舞子 撮影=佐藤侑治
『散歩の達人』2021年1月号より