コーヒーハンターが厳選した珠玉の一杯を気軽に体験『ミカフェート アトレ吉祥寺店』【吉祥寺】

駅ビル内の便利な立地で高品質のおいしいコーヒーが味わえるのがうれしい。
駅ビル内の便利な立地で高品質のおいしいコーヒーが味わえるのがうれしい。

日本のコーヒー界の第一人者で「コーヒーハンター」の異名を取るJosé.(ホセ) 川島良彰さん率いる『ミカフェート』の実店舗のひとつ。吉祥寺の駅ビル1階東側、北口バスターミナルが目の前で家電量販店も目と鼻の先。

この店限定の吉祥寺ブレンド620円。チーズケーキとのセットは1300円。
この店限定の吉祥寺ブレンド620円。チーズケーキとのセットは1300円。

『ミカフェート』では焙煎豆の大半を、鮮度を保つ、特殊なハイバリアペットボトルやシャンパンボトルに封入している。農家との関係を築き、技術指導などをして完熟豆だけを丁寧に収穫して作った一品を、吉祥寺店では気軽に選べる。店内ではもちろん、熟練のスタッフによる抽出でおいしいコーヒーが味わえる。

喫茶にも焙煎豆の購入にも便利な一軒。
喫茶にも焙煎豆の購入にも便利な一軒。

店長の山口京子さん曰く、「周辺は住宅地で朝は年配の方、夕方は会社帰りの方など、常連さんが多くいらっしゃいます」。業界内では高品質で有名な『ミカフェート』だが、それを知らずに来る人もいて「こんなにおいしいコーヒーが!」と驚かれることもあるそうだ。筋金入りの農業技術指導者が世界の農家と作る「本当においしいコーヒー」。それを身近なものにする、貴重な一軒だ。

特殊なハイバリアペットボトルに封入された「コーヒーハンターズ」の焙煎豆各種。
特殊なハイバリアペットボトルに封入された「コーヒーハンターズ」の焙煎豆各種。
店内にはJosé. 川島さんが訪ねた産地の写真も。
店内にはJosé. 川島さんが訪ねた産地の写真も。
カリタのウェーブドリッパーで丁寧に抽出。
カリタのウェーブドリッパーで丁寧に抽出。

『ミカフェート アトレ吉祥寺店』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市吉祥寺南町1-1-24 アトレ吉祥寺1F/営業時間:10:00~21:00/定休日:無(アトレ吉祥寺店に準ずる)/アクセス:JR中央線・京王電鉄井の頭線吉祥寺駅すぐ

のんびり過ごしながらフレーバーの変化を楽しみたい『LIGHT UP COFFEE 吉祥寺店』【吉祥寺】

ガラスポットとカップで供されるハンドドリップコーヒーは600円、カヌレは400円。コーヒーはマグでの提供も可。
ガラスポットとカップで供されるハンドドリップコーヒーは600円、カヌレは400円。コーヒーはマグでの提供も可。

吉祥寺西公園の緑を前に扉が開け放たれて開放的。焙煎所を備えた三鷹店が2023年に開店したが、こぢんまりした吉祥寺店こそが1号店。常時5〜8種のシングルオリジンを置き、毎月数種、新豆に入れ替え。産地や品種ごとに異なる個性を引き出し、「日常になじむ明るい味を」と、マネージャーの後藤純菜さん。

緑を目に憩える。奥には通りから死角になったおこもり席もあり。
緑を目に憩える。奥には通りから死角になったおこもり席もあり。

浅煎りを基本に年間60〜90種を扱い、クリスマスにはベリーのような華やかさ、夏はフレッシュ感など、折々の味を求める人も少なくない。「最初は華やかな果実の香りで、冷めていくと甘さが出ます」とすすめられ、ハンドドリップコーヒーをのんびり味わうと、フレーバーがゆっくり表情を変える。

テイクアウト客も多い。
テイクアウト客も多い。

カウンターに並ぶ季節のスイーツも出番を待つ。なかでもカヌレは通年ある「吉祥寺店の定番」で、表面カリッ、中はしっとりもちもち。やさしい甘みが、浅煎りの軽やかなコーヒーとお互いの風味を引き立て合うよう。しかも、相乗効果でコーヒーの果実感がくっきり立ってくるから不思議だ。ゆるり、長居したくなる。

飲み比べ3種や2杯目100円オフのサービスもあり、お代わりを重ねたい。
飲み比べ3種や2杯目100円オフのサービスもあり、お代わりを重ねたい。
犬の散歩の途中に立ち寄る人も多い。
犬の散歩の途中に立ち寄る人も多い。
ところどころに用いられたライトブルーが印象的。2022年リニューアル。
ところどころに用いられたライトブルーが印象的。2022年リニューアル。
パッケージはそれぞれの味をイメージしたオリジナルデザイン。
パッケージはそれぞれの味をイメージしたオリジナルデザイン。

『LIGHT UP COFFEE 吉祥寺店』店舗詳細

住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町4-13-15/営業時間:10:00~19:00/定休日:無/アクセス:JR中央線・京王電鉄井の頭線吉祥寺駅から徒歩7分

毎日でも飲み飽きないすっきりした後味の一杯を『NORIZ COFFEE』【武蔵境】

「遅過ぎず速過ぎず、重たくなり過ぎず」湯を細く回し入れる。
「遅過ぎず速過ぎず、重たくなり過ぎず」湯を細く回し入れる。

カウンターに並ぶのはシングルオリジン5種に、ブレンド2種。「いつ来ても変わらず同じ味がある、安心感のある喫茶にしたくて」と、シンプルに揃えるのは店主の田中宣彦さんだ。

ドリップコーヒ-530円とエスプレッソキャラメルロールケーキ490円の黄金コンビ。カフェラテ570円や自家製プリンホイップクリームのせ550円と合わせて注文する客も多い。
ドリップコーヒ-530円とエスプレッソキャラメルロールケーキ490円の黄金コンビ。カフェラテ570円や自家製プリンホイップクリームのせ550円と合わせて注文する客も多い。

定休日に焙煎する豆は、開店当初こそ浅・中煎りだったが、「お客さんの要望で」中・深煎りのブレンドを用意したら、たちまち店の顔に。豆の量を多めに用いてハンドドリップした味は、甘みと深みがじんわり染み入るよう。だが、意外にも後味はすっきり。

席が8つの小さな空間だが、ほっこり和む居心地のよさがある。
席が8つの小さな空間だが、ほっこり和む居心地のよさがある。

この味に欠かせないのが、妻の遥さんが作るスイーツだ。エスプレッソキャラメルロールケーキは、たらりとかかるキャラメルシロップに加えたエチオピアとグアテマラの浅煎りエスプレッソが名脇役。「苦い後味が得意じゃなくて」と笑うが、きめ細かな舌触りとシンプルな甘みに、ほろ苦さがいいアクセント。「プリンと並ぶ2トップです」。また、エスプレッソ自体、砂糖なしで飲んでも苦味柔らかく、ラテにすればまろやかさに心とろける。遠方からこの店を目指す人がいるというのも納得だ。

地元で開店した田中さん。
地元で開店した田中さん。
嵐や雪の日も店を開け、「雪の日に飲むあったかいコーヒーもいいものです」と遥さん。
嵐や雪の日も店を開け、「雪の日に飲むあったかいコーヒーもいいものです」と遥さん。
フジローヤル製、1㎏の焙煎機。
フジローヤル製、1㎏の焙煎機。
フィナンシェやバナナブレッドなどの焼き菓子は手みやげとしても人気だ。
フィナンシェやバナナブレッドなどの焼き菓子は手みやげとしても人気だ。

『NORIZ COFFEE』店舗詳細

巨大な70kg釜を借景にした人気の猿田彦珈琲の焙煎拠点『猿田彦珈琲 調布焙煎ホール』【調布】

焙煎室のスケールに圧倒される。これを日常の風景として過ごす来店客がうらやましい。
焙煎室のスケールに圧倒される。これを日常の風景として過ごす来店客がうらやましい。

恵比寿の小さな本店で代表取締役の大塚朝之さんが始めた『猿田彦珈琲』。サードウェーブの流行を牽引し、名前はあっという間に全国に知れ渡った。その焙煎拠点兼カフェが、この調布焙煎ホール。

スタッフの背丈をはるかに超えるローリング70㎏釜で焙煎中。
スタッフの背丈をはるかに超えるローリング70㎏釜で焙煎中。

全国の店舗や取引先に送る豆を一手に焙煎するだけに、何より印象的なのはガラスの向こうの焙煎機。ローリング70kg釜を筆頭に大小4台を置く。スタッフの背丈をはるかに超える巨大な機械が動いているのに、来店客が気にも留めずに談笑しているのも面白い。こんな風景が日常だとは、何と贅沢なことか。巨大さゆえの苦労を聞くと、「大型車を慎重に運転している気分ですね。たくさん焼く分だけ、責任も大きくて」とのこと。

調布駅すぐの便利なカフェ。席数も多く、日中は常ににぎわっている。
調布駅すぐの便利なカフェ。席数も多く、日中は常ににぎわっている。

取材時に味わったのは、定番の猿田彦フレンチ。スペシャルティコーヒーの専門店で浅煎りかと思いきや、意外にも深め。広報の平岡佐智男さん曰く、「スペシャルティだからこそ出せる深煎りの味」を突き詰めたそう。幅広い客層に支持される店ゆえの、飽きのこない一杯だ。

写真の猿田彦フレンチはしっかり苦め、1杯560円の良心価格。
写真の猿田彦フレンチはしっかり苦め、1杯560円の良心価格。
店舗スタッフが同社オリジナルのドリッパーで抽出。
店舗スタッフが同社オリジナルのドリッパーで抽出。
トリエ京王調布C館1階の最奥にある。
トリエ京王調布C館1階の最奥にある。
入り口脇のショーケースには販売用の焙煎豆が並ぶ。
入り口脇のショーケースには販売用の焙煎豆が並ぶ。

『猿田彦珈琲 調布焙煎ホール』店舗詳細

住所:東京都調布市小島町2-61-1 トリエ京王調布C館1F/営業時間:8:00~21:00(フードは20:00LO)/定休日:不定/アクセス:京王電鉄京王線調布駅から徒歩2分

コーヒーの未来も担うレジェンドの一翼『堀口珈琲 狛江店』【狛江】

「味の芯を作るように序盤はじっくり淹れます」と佐藤さん。月イチで抽出体験も開催。
「味の芯を作るように序盤はじっくり淹れます」と佐藤さん。月イチで抽出体験も開催。

店に入ると約20種の焙煎豆が出迎える。2週間ごとに3、4種入れ替わるシングルオリジンも充実するが、まず試したいのが1〜9までナンバリングされたブレンドだ。人気は7番。飲めば深煎りらしいコクと苦味、後から甘みが広がる。

生産者から入荷したばかりのシングルオリジンが並ぶ。
生産者から入荷したばかりのシングルオリジンが並ぶ。

「一年を通してブレンドの風味を維持するために、年間100種以上の豆を用いています」と、店長の佐藤雄太さん。『堀口珈琲』といえば、1990年代より生豆の産地や品質を重視し、コーヒー界を牽引してきたレジェンドのひとつ。狛江店は千歳船橋の世田谷店に次いで99年に開店、その後、生豆が到着する横浜港近くにロースタリーを移転させてリニューアル。2023年、“Comae Coffee Civic Center”をコンセプトに掲げ、コーヒーを学ぶ場にもなった。

塗料には抽出かすを使用。
塗料には抽出かすを使用。

また、抽出後に廃棄される粉や規格外の豆が内装に取り入れられた店内は丸みを帯び、日本空間デザイン賞「サステナブル空間賞」も受賞。奥に仙川の人気ベーカリー『AOSAN』も入居し、買ったパンをコーヒーとともに味わえるのもうれしい。

窓から光差すコーヒー色の店。落ち着く。
窓から光差すコーヒー色の店。落ち着く。
ブレンドのデザインが格好いい。
ブレンドのデザインが格好いい。
ホットコーヒー660円、16時までの『AOSAN』の角食トースト2ピース430円は売り切れ次第終了。
ホットコーヒー660円、16時までの『AOSAN』の角食トースト2ピース430円は売り切れ次第終了。
内装はどこも抑えた色調。トイレのサインボードには規格外の豆を圧縮した素材を用いる。
内装はどこも抑えた色調。トイレのサインボードには規格外の豆を圧縮した素材を用いる。

『堀口珈琲 狛江店』店舗詳細

住所:東京都狛江市和泉本町1-1-30/営業時間:10:00~19:00(喫茶~18:00、テイクアウト~18:30)/定休日:月(祝の場合は翌火)/アクセス:小田急電鉄小田原線狛江駅から徒歩3分

古刹の隣の穏やかなカフェで親しみやすいスペシャルティを『CONZEN COFFEE(コンゼン コーヒー)』【町田】

白壁と木の温もり、植物のグリーンが織りなすナチュラルな空間。
白壁と木の温もり、植物のグリーンが織りなすナチュラルな空間。

意外な場所のスペシャルティコーヒー店は?と聞かれたら、緑豊かな丘陵地にあるここは筆頭。高台の森を背にした地域の名刹・簗田寺(りょうでんじ)に隣接し、ほぼ一体となって木々に囲まれている。

地域の名刹に隣接する、ちょっと意外なスペシャルティコーヒー店。
地域の名刹に隣接する、ちょっと意外なスペシャルティコーヒー店。

穏やかな笑みを浮かべてコーヒーを淹れるのは店主の小井土雄太さん。スペシャルティの名店や保育園での仕事を経たあとに、縁あってここにカフェを開いた。

「もとは副住職が地域に開かれたスペースとして作った部屋で、内装もカウンターもそのままです」

半プライベート空間だった場所だけに、寛ぎ感が素晴らしい。取材で来たのに早々に常連客との雑談に花が咲き、肝心な話はどこへやら……。そんな間も、小井土さんは静かに手を動かしてコーヒーを淹れている。

取材時はなじみ客が話に花を咲かせていた。通いのお坊さんがカフェにいるのもここならでは。
取材時はなじみ客が話に花を咲かせていた。通いのお坊さんがカフェにいるのもここならでは。

焙煎豆は親しみやすさ優先で、今はエチオピア、エルサルバドル、グアテマラの定番3種。「数年内に徐々に増やして、スペシャルティの魅力をいっそう地域の人に知ってもらいたい」とのこと。誰もがリラックスして楽しめる雰囲気抜群の郊外店だ。

初心者にも分かりやすく、あえて種類は抑えめに。
初心者にも分かりやすく、あえて種類は抑えめに。
居合わせた皆が時を忘れて話す間にも、小井土さんは丁寧にドリップ。
居合わせた皆が時を忘れて話す間にも、小井土さんは丁寧にドリップ。
HARUSUKEは1杯530円。木の椅子は間伐されたお寺のヒノキ。
HARUSUKEは1杯530円。木の椅子は間伐されたお寺のヒノキ。

『CONZEN COFFEE』店舗詳細

住所:東京都町田市忠生2-5-90/営業時間:10:00~19:00(月は12:00~、日は~17:00)/定休日:火・水/アクセス:JR横浜線町田駅から徒歩1分・小田急電鉄小田原線町田駅から徒歩3分の町田バスセンタ�

文=高橋敦史、林さゆり 撮影=高橋敦史、元家健吾

MOOK『散歩の達人 東京スペシャルティ珈琲時間』より