岩森書店

荻窪駅の発車ベルが聞こえてくる、駅近の古本屋

店頭には、100円文庫コーナーを設置。

線路脇に店舗を構えて70年以上という古書店。L字形の店内には、天井ぎりぎりまで書棚が配され、蔵書が隙間なく並ぶ。並ぶほとんどの本に、保護のためのグラシン紙がかかり、このお店のていねいさを実感する。本の読み方も時代によって変化するとのことで、今は軽く楽しめるものと専門性の強いもの、両極端な本がよく出るのだそうだ。そんな要望に応えるため、蔵書のジャンルは多岐にわたる。ネット通販も行っているので、事前にチェックしておくのもいいかもしれない。

生まれも育ちも荻窪という2代目店主の岩森さん。
管理され、きれいな古本に驚く。

『岩森書店』店舗詳細

住所:東京都杉並区荻窪5-30-12/営業時間:11:00〜20:00/定休日:火/アクセス:JR中央線・地下鉄丸の内線荻窪駅から徒歩1分

文禄堂 荻窪店

荻窪で長く愛される“街の本屋さん”

より多くの人が入りやすい店を追究した結果、大きな開口部をもつ本屋となった。

「あゆみブックス荻窪店」が新ブランドとしてリニューアルし、2015年にオープン。お店の横幅と同じ広い入口と、店頭に並べられたしゃれた雑貨コーナーが目を引く。レジの脇には、文芸から実用書、子供向けの本までさまざまなジャンルの本を紹介する「AYUMI BOOKS SELECT」を設置。「限られたスペースの中、大人にも子供にも本の楽しさに出合ってほしい」という気持ちが感じられるコーナーは、本選びの参考にしたい。24時までの営業というのもうれしいポイント。

月ごとの企画で商品が入れ替わる雑貨コーナー。
前身の店舗名が入った「AYUMI BOOKS SELECT」コーナー。

『文禄堂 荻窪店』店舗詳細

住所:東京都杉並区荻窪5-30-6 福村産業ビル1F/営業時間:9:00〜24:00(日・祝は10:00〜21:00)/定休日:無/アクセス:JR荻窪駅から徒歩2分

かつら文庫

石井桃子ファン必見! 自宅を改装した“子ども図書館”

子供時代の阿川佐和子氏も通ったという。

児童文学作家であり翻訳家として活躍した石井桃子さん。1958年より自宅の1室を子ども図書館「かつら文庫」として開放し、地域の子供たちへ読書体験を提供してきた。死後もその活動は引き継がれ、現在は「公益財団法人東京子ども図書館」の分室として活動しており、子供が自由に本を読める「あなたの場所」を提供し、本の貸し出しをする一方、本の読み聞かせや資料の収集にも力を入れている。改装された建物には、石井さんが使っていた書斎と居間が残るほか、日本の児童文学者で翻訳家だった故・渡辺茂男の蔵書がある書庫などがあり、いずれも見学可能だ。

その活動を引き継ぎ、毎週土曜日に開室する。
東棟2階にある石井さんが使っていた書斎と居間。
住所:東京都杉並区荻窪3-37-11/営業時間:子供は第1〜4土の14:00〜17:00、大人原則火・木の13:00〜16:00/定休日:不定休あり/アクセス:JR中央線・地下鉄丸ノ内線荻窪駅から徒歩8分

ウレシカ

所狭しと並ぶ雑貨や絵本

取材時の展示は、すずきゆきこさんの羊毛フェルト動物展。

1階には店主自らが選び抜いた絵本・自然科学などの新刊本、イラストレーターのオリジナルグッズなどが並び、2階のギャラリーではさまざまな展示とそれに合わせたワークショップやライブペイントが開かれている。毎年開催される「ペットショップにいくまえに」展にあわせて編集・発行した『てんまると家族絵日記』(石黒亜矢子)は大好評。いつ訪れてもカラフルに発熱している場所である。

鎌田夫妻の人柄に引かれてクリエイターもお客さんも集まる。
1階部分。絵本や雑貨が所狭しと並ぶ。
『てんまると家族絵日記』(1100円) の売り上げの一部は動物保護活動のための寄付金となる。

『ウレシカ』店舗情報

住所:東京都杉並区西荻北2-27-9/営業時間:12:00~19:00/定休日:火・水/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩5分

旅の本屋 のまど

こだわらないのが、こだわり

日本人にはあまりなじみのない東欧の本がぎっしり揃う。

扱う本のジャンルは「旅」を中心としながら文学、映画、料理、宗教とあらゆる方向へ広がる。地域別に分かれた棚には、新刊・古書が区別なく並び、未知の国への想像が膨らむ。旅に関する本の発売に合わせたトークイベントが月に数回開かれ、著者の生の声を聴きに人が集まる。店主の川田さんは「こだわらないのが、こだわり」と話すが、その選ばない姿勢が人の旅心をかき立てるのだろう。

店主の川田さんは年に1回、店を休んで旅に出る。
野宿は小さな旅、ともいえる。

『旅の本屋 のまど』店舗情報

住所:東京都杉並区西荻北3-12-10司ビル1F/営業時間:平日13:00~20:00(日・祝は13:00~19:00)/定休日:水/アクセス:JR中央線西荻窪駅から徒歩5分

構成=フラップネクスト 文・構成=千葉香苗、屋敷直子 取材・撮影=ミヤウチマサコ、金井塚太郎、丸毛透

JR西荻窪駅を中心として北は善福寺川、南は五日市街道あたりまで広がるこの街。「西荻窪」という地名は1970年に廃止され現存しないが、“西荻(ニシオギ)”という街の存在感はむしろ年々増している。吉祥寺駅と荻窪駅の間に位置し、「松庵」など高級住宅地を擁するせいで、中央線の中では比較的上品なイメージで語られることも多い。しかし、ひとたびこのエリアを歩けば、上品などころかかなり個性的な地だということが分かるだろう。店主がそれぞれの哲学を貫く店と、それらを愛してやまない住民が集まる、けっこう熱くてヘンな街なのだ。