『墨田園』のつりがね最中
食えば響く、おいしさの余韻
明治7年(1874)創業。釣り鐘を模した最中は、旧地名「鐘ケ淵」の伝説にちなみ3代目が考案。薄くて香ばしい皮とさっぱりした甘さの餡が絶妙で後味も軽やか。まろやかな風味が余韻のように広がる。餡は小倉、抹茶、ゆずの3種。
近くの七福神は……融通招福・勇気と戦いの神、毘沙門天(多聞寺)
墨田区で震災や戦災の焼失を免れた数少ない寺院。茅葺き屋根の山門は明和年間(1764~72)再建で区内最古の建造物。毘沙門天(木像)は弘法大師作と伝わる。六地蔵や狸塚、映画人の墓などの見どころも。
●住所/東京都墨田区墨田5-31-13
『墨田園』店舗詳細
『吉備子屋』のきびだんご
老翁も喜ぶ素朴な味わい
栄養価の高いきび粉を使った、ヘルシーなおやつ。茹でたてにきな粉をまぶして口に運ぶと、独特の香ばしさが広がり、懐かしい下町の味がよみがえる。みやげ用は半生タイプで、沸騰した湯の余熱で1分ほど温める。
近くの七福神は……健康・幸福・富貴長寿の神、寿老神(白鬚神社)
天暦5年(951)、近江国の白鬚大明神を勧請したのが起源。祭神は道案内の守神・猿田彦命で「千客万来」の御利益もあるとされ、社殿前の狛犬は吉原の料亭『松葉屋』、山谷の料亭『八百善』の寄進。
●住所/東京都墨田区東向島3-5-2
『吉備子屋』店舗詳細
『志゛満ん草餅』の志゛満ん草餅
ヨモギの香りは口福の調べ
明治2年(1869)創業。屋号は「自慢」を意味するが、うぬぼれでなく、どこへ出しても誇れる草餅を作る「志」を込めたもの。餡入りと白蜜ときな粉をまぶして味わう餡なしの2種。もちもちとした食感が心地よく、ヨモギの香りが清々しい。
近くの七福神は……福楽・長寿・招徳人望の神、福禄寿尊(向島百花園)
文化元年(1804)、佐原鞠塢が親交深い文人墨客らの協力を得て開園。梅や多彩な草木を植え、風雅な庭園として庶民にも愛されてきた。
●住所/東京都墨田区東向島 3-18-3。営業時間 9:00~16:30、無休。入園料150円。
『志゛満ん草餅』店舗詳細
『長命寺桜もち』の長命寺桜もち
桜葉の香りをまとう女神哉
享保2年(1717)、初代山本新六が隅田川土手の桜葉を塩漬けにして餅を包み、長命寺門前で売ったのが始まり。小麦粉を焼いた白い餅と、少し固めの餡が織りなす食感と風味は絶品。
近くの七福神は……智恵・芸術・縁結びの女神、弁財天(長命寺)
比叡山延暦寺の末寺。3代将軍徳川家光が鷹狩りの途中で腹痛に見舞われ、この寺の井戸水で薬を服用したところ快癒したため「長命寺」の名になったと伝わる。境内には長命水の井戸が復元されている。
●住所/東京都墨田区向島5-4-4
『長命寺桜もち』店舗詳細
『言問団子』の言問団子
笑う門に福きたる三色団子
米粉の餅を小豆餡と白餡で包んだものと、味噌餡をクチナシで色付けした白玉餅で包んだ三色の団子。見た目も華やかで、ふんわりと広がる上品な甘さに思わず笑みが。創業は江戸末期。
近くの七福神は……開運・子宝・笑門来 福の神、布袋尊(弘福寺)
勝海舟が禅修行した古刹。山門や本堂の屋根などに威厳ある唐風の建築様式をみせる。小堂の「爺婆尊像」は風外和尚が彫ったもの。「風の外」という文字から風邪除け、喉の病と咳止めに御利益があるという。
●住所/東京都墨田区向島5-3-2
『言問団子』店舗詳細
『海老屋總本舗』の小えび佃煮
甘辛煮の小えびで鯛を釣る
創業明治2年(1869)。甘辛く煮付けた小えび佃煮はご飯にも酒の肴にもよく合う。伝統の味はやや甘口。従来より塩分を3~ 4割減らし、短い時間で炊き上げた若煮佃煮も好評。店内には約30種類の佃煮が並ぶ。
近くの七福神は……商売繁盛・大漁追福の神、恵比寿神(三囲神社)
弘法大師が祀ったという田中稲荷が起源。その祠を修復した折、土中から発見された神像の周りを忽然と現れた白狐が3度回って消え去ったのが「みめぐり」の由来。
●住所/東京都墨田区向島2-5-17
『海老屋總本舗』店舗詳細
『満願堂』の芋きん
ふっくら福々しい大地の恵み
サツマイモを練った餡を四角にし、1面ごとに生地を薄く付けて焼き上げる。香ばしい皮も餡もしっとりと柔らかく、芋の甘さが口いっぱいに。かつて吉原界隈で人気だった菓子をヒントに、きんつばのような芋きんを、と30年ほど前に考案。
近くの七福神は……福徳開運・出世・豊作の神、大国神(三囲神社)
恵比寿神と同じく、三囲神社。目尻の下がった神狐は愛嬌たっぷり。
『満願堂』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=伊東 邦彦 撮影=伊東 悦代