大人の隠れ家のようなカフェ&バー。『ぺしゃわーる』
日本橋駅からほど近いビルの地下にある『ぺしゃわーる』。ペシャワールとは、中国とヨーロッパとの間を繋ぐシルクロード沿いにあるパキスタンの商業都市で旅人の疲れを癒やす宿場町。この地名を店に名付けたのは小説家の井上靖だ。1989(平成元)年に店を開いた先代のオーナーは銀座の文壇関係者が集まるクラブでママをしていた人物で、井上靖はなじみ客の1人だった。
ここでは深い味わいのデミタスコーヒーがおすすめだ。注文が入ると銅製のイブリックで温めて提供してくれる。栗の産地として名高い長野県小布施町の老舗小布施堂のモンブランも食べられる。
『ぺしゃわーる』店舗詳細
老舗との距離を近づけるホットサンド。『HOT SAND LAB mm』
『HOT SAND LAB mm』があるのは、日本橋室町。130年の歴史を持つ老舗寿司屋「蛇の市本店」が店を構えていた場所だ。店内はかつて寿司屋として使われていた名残をあちこちに残している。初めて足を踏み入れた人にとっても、どこか懐かしさが感じられるのも魅力だ。
看板商品は、日本橋の老舗や地方のおいしいものとコラボしたホットサンド。最初にコラボを行ったのは、元々このビルで営業していた「蛇の市本店」だ。江戸前の寿司屋らしい甘い卵焼きのホットサンドは、当初期間限定だったが、好評のためレギュラーメニューに。玉子焼きのレシピや焼き方は「蛇の市本店」の職人が伝授したもの。
『HOT SAND LAB mm』店舗詳細
※営業時間は変更の可能性あり/定休日:月/アクセス:地下鉄半蔵門線三越前町から徒歩3分
コーヒーを淹れる道具も楽しんで。『HARIO CAFE室町店』
ガラスメーカー「HARIO」が自社商品の魅力をコーヒーを通して伝えるために作ったカフェ。店内には「HARIO」が販売する“コーヒーを淹れるための器具”なら、なんでもあると言っていいだろう。店内ではコーヒーのセミナーを頻繁に行っていて、初めてハンドドリップを経験する人から、趣味にコーヒーを掲げるような人まで、対象は幅広く様々だ。
『HARIO CAFE』では、コーヒーの世界大会で優勝歴もある粕谷哲氏セレクトの希少な豆が準備されている。豆はその時々で変わるが、中には極浅煎りでフルーティーな味わいを感じさせる珍しいものもあって、コーヒーの世界の広さやおもしろさを教えてくれる。
『HARIO CAFE室町店』店舗詳細
スウェーデンスタイルのコーヒーを。『SR COFFEE ROASTER & BAR』
日本橋兜町の証券マンが“鰻上り”の現担ぎで通った鰻屋「松よし」。2018年に惜しまれつつ閉店した跡地にできたのが焙煎機を備えた『SR COFFEE ROASTER & BAR(エスアール コーヒー ロースター アンド バー)』だ。入ってすぐの場所に大きな焙煎機が据えられた店内は、かつて鰻屋だったとは想像も出来ないほどおしゃれな雰囲気。
スウェーデンにいる2人組のマイクロロースター『ストックホルムロースト』が焙煎したコーヒーを出している。コーヒーは雑味が少なく、キレがあって飲み飽きない。コーヒーカードを通してスタッフと客の会話が弾むのも、コミュニケーションを売りにするこの店の特徴だ。
『SR COFFEE ROASTER & BAR』店舗詳細
野菜と果物が盛りだくさん!『カフェ ラフレッサ』
大テーブルに雑誌や新聞がどっさり置かれ、窓辺の席にはレース越しに朝の日差しが差し込む。通勤前にモーニングを食べて行く常連さんは数多く、笑顔を交わしながらママさんの手はフル回転だ。チーズトースト、ジャムトースト、バタートースト+ハムエッグと、モーニングは多彩。「安くておいしい食材を探し巡ってるの」と笑うママさんは、ポテトサラダと、旬のフルーツをどんと付けてくれる。取材当日はメロン。ありがたや~。
遊び心満載の謎解きカフェ!『サニサニーピクニック』
メニューの「謎解き」とは? 客が店内を散策するのはなぜか? 初来店時には戸惑う要素が多いが、店主・小栗太さんの自然体のウエルカムに、つい引き込まれてしまう。ハンドドリップで淹れるコーヒーやクラフトビールでのカフェ利用もいいが、小栗さんが考案した「謎解き」に挑戦を。問題用紙を手に、店内に隠されているヒントを探して謎を解くが、なるほど、散策必須なわけだ。謎は新作も登場、遊び心はさらに膨らみ、店内を砂浜にする計画もある。
手作り感満載の路地裏コーヒー専門店『松秀珈琲』
カップをかたどった看板をはじめ、内装はほぼ手作り。 「喫茶日曜大工って名付ければよかったかな」 とは、店主の松本文秀さん。1階のカウンター席に、コーヒーを淹れる手元がのぞき見できる小窓を設けるなど、趣向もおもしろい。自家焙煎する豆は素材や季節を鑑みて、ブレンド具合や温度などを調整。まろやかな旨味と香りを味わいつつ、松本さんとコーヒー談議を始めたら、時間は瞬く間に過ぎてゆく。
『松秀珈琲』店舗詳細
ガラスの白鳥が運ぶ、甘い夢『カフェウィーン』
“ウィーンのカフェハウスの伝統を正式に継承した日本で最初の店”と現地に認定されるだけあり、内装もメニューもウィーン一色。白鳥のガラス器に麗しく盛られたこの品も別名、ピーチ・メルバという代表的なスイーツだ。シロップ漬けの黄桃を主役に、ラズベリーソース、バニラ入りのアイスクリームなどが脇を固める。ローストしたアーモンド糖衣も小気味よいアクセントになっている。
『カフェウィーン』店舗詳細
古びたビルの階下に心ときめく味と空間あり『珈琲家』
2代目店主の加藤義一さんは、「親父の味を引き継いでます」と朗らかに笑う。ボリューム満載のサンドイッチにも引かれるが、ホットケーキは見逃せない。注文のたびに生地を配合し、銅板で焼くこと30分。パリッサクッの表面と打って変わり、中はふっくらふわふわだ。甘さ控えめゆえ、メープルをたっぷりかければ恍惚(こうこつ)必至。オランダ風、ウインナなど、コーヒーバリエーションも多彩だ。
『珈琲家』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり・松井一恵( teamまめ)、野崎さおり 撮影=加藤昌人、金井塚太郎、加藤熊三、野崎さおり