軽やかに生まれる品々と日本のお酒を心のままに『和酒と洋菜 グルミレ』【小田急相模原】
三崎港 戻りかつおのカツレツ、かぼす風味のサルサソース2400円、あしがらジビエ、鹿ロース肉の串焼き1200円。パンも自家製。
「イタリアンをベースに奇をてらい過ぎず、他にない味に。本音を言うと自分が今食べたいものかな」と笑う、店主の鈴木大祐さん。趣味のサーフィンの縁でつながった湘南エリアの魚介やジビエを取り入れたり、トリッパときんぴらを組み合わせたりと、発想が豊か。唎(きき)酒師の資格を取得したことから日本の酒に注目し、ワインも蒸留酒もすべて国産。ここでは、ペアリングなんて気にせず、パスタと日本酒もアリ。鈴木さんの自由な感覚を存分に楽しみたい。
2024年5月オープン。家に友人を招き、料理を振る舞っているというのが裏コンセプト。
ワインはグラス900円~。
小田原レモンとパルミジャーノのスパゲッティー1600円。
南口商店街を抜けた先にある。
『和酒と洋菜 グルミレ』店舗詳細
住所:神奈川県相模原市南区松が枝町8-12 本橋ビル1-B/営業時間:17:00~23:00(21:30最終入店、金・土は~24:00、22:30最終入店)/定休日:日(不定あり)/アクセス:小田急電鉄線小田原線小田急相模原駅から徒歩8分
自分たちが行きたいと思う理想のワインバル『IN』【町田】
炙りと生の2種のアジを使った揚げない鯵フライ825円、旬を盛り込んだ前菜4種プレート1040円。
グラスワインが600~1000円前後と手ごろなのに、すべて自然派というから驚きだ。「自分がお客さんだったら、という視点で考えています」とは、店主の中澤隼人さん。料理も少しずつ頼めるように1人分が基本で、こちらもリーズナブル。揚げない鯵フライをはじめ、共に料理を作るフレンチ出身の島村栞奈さんのアイデアも加わって前菜もデザートもひと工夫が面白く、なんと手打ちのパスタも!
2022年にオープン。コの字カウンターのシックな雰囲気。
鹿のサルシッチャとバジルの手打ちオレキエッテ1430円。
店主の中澤さん。
ワインはイタリアが中心で、赤、白、ロゼ、オレンジなどグラスは約十数種類。
『IN』店舗詳細
住所:東京都町田市原町田5-2-15 アイザワビル2F/営業時間:17:00~22:30LO/定休日:無/アクセス:小田急電鉄小田原線町田駅から徒歩8分
和食の技を生かして旬の味わいを多彩に表現『あじわい六』【町田】
いかと木の子のクリームソテーサラダ1500円、刺し身盛り合わせ(時価)。
銀座の和食店で修業を積み、焼き鳥店やそば店を経て、地元の町田で2023年4月に独立。納得できる旬の食材を仕入れるため、店主の難波寿行さん自ら豊洲市場まで足を運ぶという。「銀座時代からの知り合いもいますし、市場で直接話して分かることがあるんです」と、難波さん。刺し身のほどよい脂のりと口当たりに優れた目利きを実感し、クリームソースにも和を感じる出汁の効かせ方も絶妙だ。
店主の難波さん。
山形牛のいちぼ100g3800円は、鉄板で時間をかけて火を入れる。
長いカウンターの奥にテーブル席もある。
『あじわい六』店舗詳細
住所:東京都町田市森野2-27-10 エムコーポ森野103/営業時間:11:30~13:30LO・17:00~22:30/定休日:日/アクセス:小田急電鉄小田原線町田駅から徒歩14 分
目標は玉川学園前で刺し身が一番旨い店!『まるの輔』【玉川学園前】
おでん1品198円~、季節のフルーツ梅酒550円、刺し身5点盛り1650円~。お酒は日本酒や焼酎など幅広く揃う。
横浜で居酒屋を営んでいた店主・橋岡大輔さんは、亡き兄の店「焼き鳥 まる」の場所を2023年から受け継ぐことに。目玉は、独立前からの縁で経堂の魚問屋『魚真』から仕入れる刺し身だ。「市場で顔が利くから、いいものが手に入るんだよね」と、橋岡さん。毎朝開店前に立ち寄り、掘り出しものを探すという。気さくな橋岡さんとのおしゃべりも楽しく、常連客もじわじわ増えている。
橋岡さんの名前の「輔」と兄の店の「まる」を合わせて『まるの輔』と命名。
数人の集まりに便利な小上がり席。
『魚真』からのこの日の仕入れ。刺し身は単品740円~のほか、魚の塩焼き、煮付けなど、メニューは海鮮が中心。
『まるの輔』店舗詳細
住所:東京都町田市玉川学園2-17-23/営業時間:17:30~23:00/定休日:日(臨時休あり)/アクセス:小田急電鉄小田原線玉川学園前駅から徒歩4分
やさしい笑顔と家庭料理に癒やされる矢部のオアシス『島流し』【矢部】
焼きロールキャベツ850円、石焼き麻婆豆腐750円。生ビール600円はキンキンに冷えたジョッキがうれしい。
食堂や洋食店などで料理の腕を磨き、いつか自分の店を持つのが夢だったという店主の佐藤まみさんが2023年にオープン。酒のつまみもさることながら、これまでの経験を生かした焼きロールキャベツや石焼き麻婆豆腐といった和洋中のメニューが並び、食事メインで訪れる人もいるとか。以前、ここで営業していた看板を受け継いだ『島流し』という店名や長屋の昭和風情とのギャップにも心をくすぐられる。
ナチュラルな空間で女性1人でも入りやすい雰囲気。
上品な味わいの塩もつ煮550円は自家製の“まみ七味”を!
『島流し』店舗詳細
住所:神奈川県相模原市中央区矢部3-3-1/営業時間:17:00~22:00フードLO(ドリンクは22:30LO)/定休日:日・月/アクセス:JR横浜線矢部駅から徒歩2分
時間をかけてものにする、心に染み入る心地よさ『日本酒とワイン BAR』【橋本】
トリレバーのタルト ブルーベリーと生黒コショー600円、鮎のパテときゅうりとディル450円、お野菜のマリネ2種900円。
ワインは自然派、日本酒は純米。自分たちの気分を基本に、酒好きがスルーしがちなところを攻めるという。この粋なセレクトと合わせるのは、フランス仕込みの酒場料理だ。これらを味わうだけでも十分だけど、この店の真髄はここで過ごす時間。「お酒を売るだけなら酒販店でもできるので、ゆっくりしてもらう中でできることを探りたい」と、店主の斉藤那音さんは話す。メニューやワインの説明をきっかけに世界が広がっていく面白さを体感してほしい。
ビル2階の窓に囲まれた開放的な空間。斉藤さんと共に厨房に立つ山田桃子さん(右)は薬膳やソイフードが得意。
ラム肉とレンズ豆の煮込み1800円(写真は1人前)。
グラスワイン10種以上、日本酒5~7種。
店内には本がぎっしり。
『日本酒とワイン BAR』店舗詳細
住所:神奈川県相模原市緑区橋本6-19-5 ルート橋本ビル2F/営業時間:18:00~24:00(金・土は~翌2:00)/定休日:火・水/アクセス:JR・私鉄橋本駅から徒歩2分
取材・文=井島加恵 撮影=泉田真人、原 幹和(和酒と洋菜 グルミレ、IN)
『散歩の達人』2024年11月号より
新しいものと古くからの文化が混じり合う巨大シティ町田。人が多く昼も夜もにぎやかな街には、個性あふれるスポット、個人店がたくさん。いずれも常連になりたい場所ばかりなので、まずはその扉を開いてみよう!
はじめてこの街を歩くと、「なんだか地方都市みたいだな」と感じるかもしれない。筆者もそう思ったことのある一人だが、これは悪口ではない。いい意味で、あらゆる要素がそろう“完結した街”なのだ。昭和な商店街もあれば、おしゃれなカフェや古着屋もあり、町田独自のカルチャーも息づいている。そして、すこし駅から離れるだけで、目に眩しいほどの緑あふれる多摩丘陵の里山風景……。繁華街の楽しさと郊外の美しさを兼ね備えたこの街を、じっくりと見ていこう。