イタリア各地の家庭の味を体験する。『スポルカチョーネ』[明大前]
イタリア各地の手法を取り入れる店主の井上雄一さん。中部のトスカーナで修業していた頃、地中海のシチリアでナスとミントの組み合わせに驚き、それをもとにして作ったのがナスミントマリネ。ほのかに苦味のあるナス特有の風味が、ミントの香りをまとい、口の中をさっぱりさせる。青菜のクタクタ煮など、野菜が甘くなるまで煮るのは南部でおなじみだ。山盛りの前菜盛り合わせで、気分はイタリア一周。
『スポルカチョーネ』店舗詳細
/アクセス:京王電鉄京王線・京王井の頭線明大前駅から徒歩8分
ジャンルをまたいだ斬新なアイデアが光る。『酒場 浮雲』[学芸大学]
和食がベースの創作料理にも見えるが、食べてみると見事にボーダレス。店主の有川毅さんはスイスで経験を積み、帰国後はイタリアン、和食など渡り歩いた。一番人気の〆サバサンドは、サバの脂を活かすため締めすぎないのが肝心。季節料理が豊富で、梨とミカンの白和えはピスタチオを乗せて大豆の風味を際立たせるという斬新なアイデアも。しかし奇をてらったところはなく、噛みしめるほどに滋味が満ちる。
『酒場 浮雲』店舗詳細
『小鉢と日本酒 たとえば。』は家庭料理と居酒屋のイイとこ取り![西荻窪]
15種以上ある小鉢の中から自由に選べる盛り合わせが名物。地元客が大半でリピーターも多く、いろいろ食べてもらえるように品揃えは週1で入れ替える。ホウレン草は同じ食材でも白和え、お浸しのように食べ方を工夫するなど、家庭料理の温かみも。写真のポテトサラダはシンプルながら枝豆、たくあんが混ぜてあり、にぎやかな食感。来週のポテトサラダはどんなアレンジかな。
『小鉢と日本酒 たとえば。』店舗詳細
異なる肉のうまみが皿の上でせめぎあう。『肉ナリ焼クナリ』[下北沢]
前菜は、野菜料理や自家製のシャルキュトリーなどたくさんの候補からチョイス。例えば熟成氷温豚のロースハムは臭みがなく、澄んだ脂身からふわりと甘い香りが漂う。岩中豚の熟成パテで作るカンパーニュは、野性味あふれ、力強いうまみが。肉の特長が感じられ、食べ比べできるのが楽しい。野菜料理も、柑橘を添えて華やかに仕立てたキャロットラペをはじめ、色とりどり。
『肉ナリ焼クナリ』店舗詳細
取材・文=信藤舞子 撮影=井上洋平
『散歩の達人』2024年1月号より