『日本ワインと日本のお酒 トビバコ』酒ツウのための秘密の花園[川越市]
元々お酒と食べる事が好きだった髙橋正行さん・友子さん夫妻。「この場所で普通のことをしてもなぁ」と、ワインを軸に酒は一級品を揃え、明るい時間から全開で飲めるスタイルに。黒板を埋め尽くすメニューの安さに驚くが、「地場の野菜ですから」と、気取らないところに美学を感じる。友子さんが作る総菜ベースの創作料理は出汁香る優しい味で、個性ある酒の味を引き立てる。その酒が口の中をリセットし、また次のあてを誘うのだ。夫妻の日頃の宅飲み風景が浮かんで、うらやましくなった。
『日本ワインと日本のお酒 トビバコ』店舗詳細
『ANO kitchen』これぞ、日本版・世界の母の味[川越]
「食べた物はその人の一部になる」という考えから、大野織江さんは川越市内の無農薬野菜や自家製発酵調味料を積極的に使う。この日は「いいビーツが入ったから」と、ボルシチをなんと、テリーヌに。そんな多国籍で無国籍なメニューにもかかわらず、海外経験はないというからさらに驚く。織江さんが食べ盛りのお子さん4人を抱える母でもあるからか、これらはなんでもおいしく食べさせてくれる、ナチュラルボーン母の味なのだ。
『ANO kitchen』店舗詳細
『和の時 おでん 月と熊』小江戸川越にも「海」がありました[本川越]
あえて人の流動がない場所を店に選んだ米澤伸明さん。「複数人で来られても、一人ひとりに充てた料理を」と、おまかせコースを推奨する。板前修業時代から付き合いのある豊洲仕入れの海の幸を食べ進めるうちに、「委ねて正解だった」という気持ちになるはず。母への恩返しという締めのおでんは、鶏ガラと昆布ベースで食べ応えがあり、食材一つひとつの適切な炊き加減も絶妙で恐れ入る。日本酒の次は焼酎も試そうか。
『和の時 おでん 月と熊』店舗詳細
取材・文=高橋 輝(『散歩の達人』編集部) 撮影=鈴木愛子
『散歩の達人』2023年10月号より