目で舌で味わう南部鉄器『油金 金子金物店 KADOCAFE』[新板橋]
+α 金物
白壁をくり抜いた棚に見目麗しく並ぶのは、モダンな南部鉄器の鉄瓶。その先に金物店が覗(のぞ)き見える。明治期創業の老舗の半分を2020年にカフェに変えたのは店主の志田栄一さん。
「若い世代にも金物に興味を持ってもらえたら」と、機能美の高い南部鉄器やホーロー製品をカフェで販売する。鉄瓶の沸かし湯で入れたコーヒーを飲めば、まろやかさに驚愕。お手製ババロアの軽い口溶けにも頬が緩む。
『油金 金子金物店 KADOCAFE』店舗詳細
フレンチ流にあるがままを楽しむ『green CAFÉ』[上板橋]
+α フローリストアトリエ
田口夫妻が営む店は、みずみずしい草花、ドライフラワーが壁や天井に混在し、まるで森の中。
「生花の後、変わりゆく風合いも楽しんでほしくて」と、妻の奈美江さん。
その下、不揃いの家具が並び、夫・敬崇さんが手作りするフレンチメニューが楽しめる。パリッと香ばしく、ふくよかなソバの香りに驚くのが長野県産ソバ粉のガレット。ペリエマントの爽快さで、一気にボタニカル気分へ上がる。
『green CAFÉ』店舗詳細
粋な空間でシフォンやリノベーション相談を『さがつく Craft&Cafe』[板橋区役所前]
+α 不動産
運営は地域密着の不動産会社。家主に直談判し、元の牛乳店の面影を残す形で2021年にカフェに変貌させた。
「作ることが大好き」と話す、マネージャーの横尾百合子さんお手製のシフォンサンドがふわっふわ。生地や具に用いた旬果実の香りにも癒やされる。
ふと見れば、猫と暮らすアイデアを記したイラストや建材が。「売買やリノベについて、小さなことでも隣室のスタッフが気軽に相談に応じますよ」。
『さがつく Craft&Cafe』店舗詳細
猫好きの心を射抜くアートな隠れ家『すあま商會』[大山]
+α 保護猫シェルター
藍色の壁を彩るのは、猫のアート、絵本、雑貨たち。小窓には隣室でくつろぐ保護猫が顔を出す。店主のすあまさんは、保護猫専用部屋を借りる際、猫たちのごはん代を稼ぐべく、カフェを開店した。
海外で覚えた味を基に考案したチリドッグはピリッと辛くジューシー。ラッシーやバラジャム入り発酵乳のケフィアドリンクはほのかな酸味と香りが口中に広がりため息。堪能後は、存分に猫分注入を。
『すあま商會』店舗詳細
スコーンを頬張りながら花を選ぶ幸せ『YES COFFEE/EDIT』[上板橋]
+α 生花
窓辺に揺れる花に誘われて中に入ると、コーヒーの香りに包まれる。店主の綱田皐月さんはフローリスト。出産を機にベーグル店を立ち上げ、新たに花とスコーンとコーヒーの店を開店した。
ケースを彩る約10種のスコーンは卵を用いず、国産中力粉とたっぷりバターで焼いたもので、ザクッほろっしっとり。ロースター仕入れのコーヒーとも相性抜群だ。
イートインしながらの花談義も楽しい。
『YES COFFEE/EDIT』店舗詳細
自家焙煎と日本酒のうれしい出会い『自家焙煎コーヒー角打ち VIVA COFFEE』[西台]
+α 角打ち
自家焙煎の豆をいかに楽しむか。
日本酒も大好物の店主、VIVA中川涼太さんは試行錯誤の末、熱燗で入れる燗コーヒーを考案。飲みきり次第替わる限定酒の味を考慮し、苦味や酸味などが特徴的なコーヒーの品種と掛け合わす。
「常温、熱燗で風味が変わる日本酒同様、コーヒーも冷めながら風味やコクが変化します。ゆっくり味わってください」。レコードの音も相まって、ほろ酔い気分が心地いい。
『自家焙煎コーヒー角打ち VIVA COFFEE』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり 撮影=加藤熊三
『散歩の達人』2023年6月号より