実のる屋[愛宕]
やきいもラブから始まった異色パーラー
秋冬はサツマイモ、夏は枝豆を栽培する農家の山田実さん。
愛するやきいもを路上販売していたところ、知人から「借りない?」と古民家を紹介された。はじめは縁側で販売していたが「中で食べたい」との要望が続出。折しもイモ掘り体験に来た金子奈緒美さんから「趣味はスイーツ作り」と聞きスタッフにスカウトすると、やきいもがソフトクリーム、スムージーなどに変身するように。
春は冷凍やきいも、夏は枝豆スイーツが登場し、「ビアガーデンもやります」。
『実のる屋』店舗詳細
ひまつぶしCafe[柏の葉キャンパス]
今日のケーキに合うコーヒーの提案も魅力
「カフェと旅が好きで、ヨーロッパのローカルカフェにも出かけました」と、店主の剣持紗代さん。
素朴なママの味を目指したケーキは日替わりで、乳脂肪、砂糖、洋酒が控えめの軽い食感。小さな子供もうれしそうに頬張っていく。さらに、シェアキッチンで知り合った焙煎士の山元瑞樹さんと空間を共有し、ケーキに合う自家焙煎のコーヒーも提案してくれる。
フルーツタルトには浅煎りのコスタリカを。果実味が口の中で増幅し、たなびく余韻にうっとり。
『ひまつぶしCafe』店舗詳細
パス駅から徒歩18分
茶寮たるふじ[野田市]
田舎の親類宅を訪ねたような心地よさ
「オーナーに元の形をいじらないよう言われまして」と、女将さん。醤油罇製造時の屋号を店名に据え、築100年の古民家そのまま。
四季を伝える草木の庭、欄間の飾り、広々とした座敷が趣深い。手足を伸ばしてくつろぎたくなる。品書きは週替わり。農薬・化学肥料不使用の自家野菜や果実を創作家庭料理や自家製ケーキ・パンに用いる。滋味にあふれ、心和む味わいだ。
「別店長が春から隣でスパイスカレーと喫茶の店を始めます」。
『茶寮たるふじ』店舗詳細
古舎カフェ 灯環[流山]
みりんの里で手仕事の味わい深さに触れる
1963年築の倉庫を改装。引き戸を開けると、作家たちの雑貨が出迎える。中でも益子や笠間を巡って窯元から仕入れた器は、店主の秋元由美子さんが「店を始めたきっかけ」と、力を入れるもの。
また、流山といえばみりん。糀マイスターの資格を取得し、「ハチミツ代わりに使えます」と、煮詰めてシロップに。もとよりみりんには5~6種の糖分が含まれ、甘みふくよか。スイートポテトはなめらか&芳醇で、ソーダ割りで味わうと喉越しスッキリ。異なる表情にも驚く。
『古舎カフェ 灯環』店舗詳細
おうちカフェ さんちゃん[南柏]
遊び心が満載!憩える秘密基地
自宅の駐車スペースに建てた木造りの狭小店だが、丸窓から庭木がのぞき見えてほっこり。
「駅から距離がある住宅地。近隣の人たちが憩える場にしたくて」と、店主の佃敦之さんが工夫を凝らした店は、庭席、長居必至のロフト席、隠し部屋に加え、「ハシゴが急すぎて運べなくて」とオカモチエレベーターも設置。ワクワクと童心がうずきだす空間だ。
自家製ケーキや、茨城県の親類直送米を用いた軽食とともに、ゆるゆる過ごしたくなる。
『おうちカフェ さんちゃん』店舗詳細
茶屋 花華[北柏]
胸がすくような景色を甘味と味わう
関東三弁天の一つ、布施弁天の境内に隠れるように茶屋が立つ。古美術が彩る室内もいいが、コロナ禍に新設したのが崖上のテラス席。「宮大工さんが造ってくれました」と、店主の明神さん。畑・水路・空が見渡せ、爽快感この上なし。
一緒に味わうならお団子を。取手の農家に特注した米粉で作られ、なめらかな舌触りと弾力、素朴な甘みに驚く。自家製あんこと迷うが、春はいちご団子を。口の中まで一気に春めく!
『茶屋 花華』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ) 撮影=井上洋平
『散歩の達人』2023年4月号より