ろばた焼き 海賊
かぶりつきで旬魚と銘酒と活気を満喫すべし!
カウンターに居並ぶ魚は、築地市場や産直仕入れ。「うちは全部、活じめ」と胸を張るのは、2代目店主の春山充さんだ。たまり醤油を仕上げに用いる煮魚も捨てがたいが、鮮やかな手つきで焼く塩焼きにすれば、カレイの身はふっくらふわっふわ。また、刺し身盛り合わせには狂喜乱舞! 下町価格ながら5種以上が華やかに盛られ、どれも舌触りなめらかでプリップリ。飲んべえ自認のスタッフが選ぶ酒の旨味と相まって吐息が漏れてしまう。
『ろばた焼き 海賊』店舗詳細
タンメン しゃきしゃき
やさしい味が味変アイテムで見事に豹変!
「家族連れや年配客も多いんですよ」とは、店長の菊地幸智さん。看板のタンメンは、野菜とたっぷりのもやしが山を築き、店名にたがわずシャキシャキ! その隙間から中太の平打ち縮れ麺が、豚骨、鶏ガラ、野菜と昆布でとったスープを絡めながら顔を出す。やさしい味だが、卓上のショウガを加えると風味が増し、自家製ラー油をたらせば辛味が加勢し、まるで別物。特注の皮で手包みした餃子にはレモンサワーを。口中の肉汁を拭うのにぴったり。
『タンメン しゃきしゃき』店舗詳細
手打ち蕎麦 銀杏
季節を感じる変わりそばと料理に舌鼓を打とう
「自分自身が行きたいなと思う店の形を作りたかったんです」と、店主の田中栄作さん。先代から店を継いだ2003年に、隠れ家風な現在の形に改装した。料理には、全てのメニューで旬を取り入れることにこだわる。つるっとした更科そばには、ケシの実で香りづけ。一番粉にケシの実を交ぜ、白魚のように見える。ズズッとすすり咀嚼(そしゃく)するとケシの香ばしさとプチプチした食感が口中で躍る。また、昼なら天丼御膳を頼みたい。9種の野菜と海老で大満足の一品だ。
『手打ち蕎麦 銀杏』店舗詳細
Bistro Verite
手間と食材を惜しまぬ料理ながら懐安心という良心
築地仕入れの旬魚、カモ、サーロインが黒板に列挙されるが、店主の田村夫妻は「下町ですから」と、木とレンガで設(しつら)えた気さくな風情と心安い値段に心を砕く。しかも、手間がものすごい。たとえばカモのコンフィは、塩漬けにしてから鳥脂を煮出した油で火入れする。パリッパリの皮、骨からほろりとはずれる肉の風味にうっとり。牛もも肉のタタキ、浅漬けのようにやさしい旨味のピクルスなど、前菜も多彩。3世代で通う常連が多いのも納得だ。
『Bistro Verite』店舗詳細
武蔵野うどん 麦わら
天ぷらで飲み、ツヤピカのうどんで締める愉悦
「関東近郊出身の人が多いみたいで、懐かしいって言われます」と、店主の鈴木紀夫さん。武蔵野うどんは、幸手(さって)の製粉所から仕入れる農林61号を主軸にブレンドしツヤピカ。かつお、さば、真昆布の出汁に、かえしを加えた旨味濃厚な肉汁をぐいと吸い込む。また、うどんの前には天ぷらを楽しむのもオツだ。大葉でくるりと包んだちくわ、甘辛で炊いてから揚げた里芋、もんじゃを春巻きの皮で包み揚げたユニークなものも揃い、ビールにどんぴしゃ!
『武蔵野うどん 麦わら』店舗詳細
とんかつ ビフテキ 平太
麗しの厚さ!いぶし銀の妙技でサクッと軽い
特ロースとんかつは2〜3cmはあろうかという肉厚っぷり。生パン粉が用いられ、サックリ軽い歯触りのあと、脂の甘みがぐんと押し寄せる。「最初に高温のサラダ油で衣を作って、ゆっくり肉に火を入れていくんですよ」と、店主の平田太平さん。ここに手作りのソースをたらせば、旨味が口中でふくらんでいく。また、国産フィレのビフテキやポークソテー、大ぶりカキフライなど、洋食屋で磨いた腕で仕上げる料理それぞれにファンが付く。
『とんかつ ビフテキ 平太』店舗詳細
構成=フラップネクスト 取材・文=佐藤さゆり、髙橋健太(teamまめ) 撮影=金井塚太郎 、高野尚人