蕎麦 坐忘
せいろと粗碾きの饗宴
茶室のような玄関をくぐると、しっとり純和風の雰囲気。兄弟二人三脚でそばと料理を作り上げる、上質な店だ。基本のせいろは、玄ソバの殻を取り除いた丸ヌキを使い、ツルっとした食感。粗挽きそばは、殻付きを石臼で粗めに手碾きした粉と、丸ヌキを粗碾きにした粉をブレンドし、甘みや香りが際立つ。そばがきを油で揚げて水分を飛ばし、より濃厚なそばの味と香りを引き出した辛味そばがきなど、長年の研究と技を活かしたそば前にもうなる。
『蕎麦 坐忘』店舗詳細
まかど
二八せいろの基本がここに
信州や北海道など石臼碾きのそば粉を使用し、店主が毎日、店頭で打つ。二八のせいろは端正な細切り。この日は赤城産の新そばで、清々しい香り。もり汁は枕崎直送の本枯節の削り節を使用し、柔らかなかつおの風味とそばの相性がとてもいい。夜の1品メニューも充実しているので、一杯飲みながらも乙だ。
『まかど』店舗詳細
構成=柿崎真英 取材・文=工藤博康 撮影=小野広幸