蕎麦 坐忘
せいろと粗碾きの饗宴
茶室のような玄関をくぐると、しっとり純和風の雰囲気。兄弟二人三脚でそばと料理を作り上げる、上質な店だ。基本のせいろは、玄ソバの殻を取り除いた丸ヌキを使い、ツルっとした食感。粗挽きそばは、殻付きを石臼で粗めに手碾きした粉と、丸ヌキを粗碾きにした粉をブレンドし、甘みや香りが際立つ。そばがきを油で揚げて水分を飛ばし、より濃厚なそばの味と香りを引き出した辛味そばがきなど、長年の研究と技を活かしたそば前にもうなる。
『蕎麦 坐忘』店舗詳細
住所:東京都八王子市千人町3-14-11/営業時間:11:30~15:00(売り切れ次第終了)・17:30~20:00LO(土・日・祝は18:00~)/定休日:水休(火は昼のみ営業、月1で水木の連休あり)/アクセス:JR中央線西八王子駅から徒歩8分
蕎麦もとおか
塩で引き立つ手碾きの繊細さ
ほのぼのとした温かみのある店。かのそば打ち名人・高橋邦弘氏にも師事した店主は、常陸秋そばを中心に全て石臼でゆっくりと手碾きして打つ。丹精に断たれた細切りは、角が立ちツルツルとしたのど越し。粗挽き10割(上写真手前)は、芳ばしい香りとほのかなざらつきにしっかりとしたコシが楽しめる。伊勢の“真珠の塩”をかければ、一層旨味がわかる。そして締めとなる濃厚そば湯がまたおいしいのだ。ふわとろのだし巻き玉子やそばがきもおすすめ。
『蕎麦もとおか』店舗詳細
住所:東京都八王子市子安町3-6-15/営業時間:11:30~14:00(売り切れ次第終了)・17:30~ 21:00/定休日:月(毎月21日は昼のみ営業)/アクセス:JR中央線八王子駅から徒歩7分
まかど
二八せいろの基本がここに
信州や北海道など石臼碾きのそば粉を使用し、店主が毎日、店頭で打つ。二八のせいろは端正な細切り。この日は赤城産の新そばで、清々しい香り。もり汁は枕崎直送の本枯節の削り節を使用し、柔らかなかつおの風味とそばの相性がとてもいい。夜の1品メニューも充実しているので、一杯飲みながらも乙だ。
『まかど』店舗詳細
住所:東京都八王子市子安町1-30-7/営業時間:11:30~14:00(売り切れ次第終了)・17:30~21:00(売り切れ次第終了)/定休日:日・月休/アクセス:JR中央線八王子駅から徒歩5分
構成=柿崎真英 取材・文=工藤博康 撮影=小野広幸