時の流れが作り上げた妙なる空間『異国茶屋 やじろべえ』[浦和]
昭和初期のモダンをイメージして作られた店内は、テーブルに松、椅子にブナなどの木材を使った趣のあるしつらえ。夫婦で営むが、現在はもっぱら奥様・並木治子さんがカウンターに立つ。コーヒーはネルドリップ方式でゆっくりと抽出。コーヒーの種類で、淹れるカップの色などを変えており、味や色をしっかり楽しめる。店内に音楽は流れておらず、本を読む人や店主との会話を楽しむ人など、それぞれが自分の時間を過ごせる空間だ。
『異国茶屋 やじろべえ』店舗詳細
『越(こし)コーヒー店』コーヒーが紡ぐ縁で誕生した名物[北浦和]
店内に漂うのは自家焙煎の芳しさ。このコーヒーと共に味わいたいのが、焼きチーズカレーだ。店長の加賀屋健一さんによると「卸先の今は無き喫茶店の方に教えてもらい、アレンジしたもの」で、たっぷりチーズがアツアツふわとろ。濃厚カレーと絶妙に絡み合う。オーナーの息子さんが東浦和で営むベーカリー『#58』製の、たまごが濃いシフォン、竹炭・こんにゃく粉入り黒パンも人気だ。
『越コーヒー店』店舗詳細
異国のダイニングにいる心地『NEST Baking Company』[北浦和]
まるで異国で見つけた基地だ。石関夫妻が欧州で入手した雑貨や古道具が妙に安堵感を誘い、見目麗しきアメリカンケーキが出番を待つ。「今、ニューヨークはヘルシー志向。甘くないんですよ」と、妻の尚美さんはきび砂糖などを用い、旬味を際立たせるように焼き上げる。定番はキャロットケーキ。スパイス、ナッツ類などの香りの重なりが、鼻腔へ押し寄せてくる。すりおろしを温めたアップルサイダーやジンジャーエールと味わえば、多幸感ハンパなし。
『NEST Baking Company』店舗詳細
フランス北西部の郊外にトリップ『cafe de lafet』[北浦和]
住宅地に現れるのはフランス郊外かと見紛う洋館。ダイニングはアンティーク雑貨で彩られ、おとぎ世界に迷い込んだ心地に。クレープとお茶もいいが、店主の徳永貴臣さんがブルターニュ地方で食べ、感動したガレットは必食だ。もちっとした生地の上に分厚い自家製ベーコン、目玉焼きと仏産チーズ、青菜が満載。「ソバとリンゴの産地で、現地ではガレットとシードルはセット」。現地流に堪能を。
『cafe de lafet』店舗詳細
日本家屋に上がり込んでまったり『cafeきのか』[北浦和]
昭和10年(1935)築の日本家屋は、思いのほか天井が高い。「祖父母は養蚕が盛んだった熊谷の出。その造りなんです」と、店主の浅見香子さん。元応接間&子供部屋のふた間に、愛用した年代物の家具を配し、そこに英国アンティークのティーカップ、ランプ、ピアノが鎮座。「英国に暮らした友人からの預かりもの」と笑う。ふわふわのシフォンケーキに加え、コーヒーがポットサービスなのもうれしくて、近隣の年配男性客も虜にする。
『cafeきのか』店舗詳細
『珈琲 あめんぼ』街のサロンでまろやかな名物カレーを[東浦和]
駅近の小さな店はさながらサロン。マスターの福田晃さんが銅板カウンターの向こうで、客同士の会話をつなげながら丁寧にドリップ。豊かに香るコーヒーに加え、カレーも名物だ。「スパイスをいっぱい入れて、時間をかけて煮込みます」と話し、コクが深くまろやかで、懐かしい香りが後を引く。カレーライスの他、ハンバーグカレー、カレースパゲティ、ドライカレーと、豊富なバリエーションを制覇したい。
『珈琲 あめんぼ』店舗詳細
広縁でのほほんと、借景とプリンを味わう『喫茶 花あかり』[東浦和]
「八重桜が多くて、見ごろは4月中旬です」。木野内夫妻が見沼通船堀の桜並木沿いという立地に一目惚(ぼ)れし、2010年に開店した。梁を見せ、障子を立てた慎ましい和情趣でいただけるのは、季節替わりのスイーツ。早春から低温で焼いたプリンが登場し、むっちりとろんとした舌触りの後、甘みとほろ苦さが舌の上で広がっていく。広縁の特等席で味わいつつ、ふかふかの椅子で借景に見とれているとつい、まどろみの世界へと誘われる。
『喫茶 花あかり』店舗詳細
陶芸で我を忘れかき氷の冷たさで我に返る『クラフトカフェ』[南浦和]
もともと陶芸工房だったところに、「ひと休みできる場所があったら喜んでもらえるのでは」と生まれたカフェ。陶芸教室や焼き物体験にドリンクが付くワークショップを定期的に催している。さらに、同店の目玉はほかにもあると代表の高橋さん。「一年中かき氷が食べられると話題になって、関西からもお客さんが来るんですよ」。クリスマスやお正月など、季節にちなんだ特別メニューがあると聞いたなら、どんなに寒くっても挑戦したくなる。
『クラフトカフェ』店舗詳細
一杯のコーヒーが生みだす極上の時間『珈琲店 蘭豆』[南浦和]
昭和56年に開業。かつてコーヒーの表記が「和蘭豆」であったことが店名の由来で、そのこだわりは相当なもの。レギュラーで仕入れる豆の他、「カップオブエクセレンス」というコーヒーの品評会で高評価だった豆を提供。サイフォンを使い、香り高い一杯に仕上げている。カップには大倉陶園やノリタケ食器のものを使い、カップを口につけた時の感触や香りの鼻腔への流れ方など、コーヒーの風味を堪能できるように選び抜かれている。
『珈琲店 蘭豆』店舗詳細
取材・文=佐藤さゆり(teamまめ)、上原 純(Office Ti+)、木谷誠(Office Ti+)、林さゆり 撮影=木村心保、高野尚人、オカダタカオ、本野克佳、井原淳一