自家製うどん うどきち

うどんへの偏愛が生んだ麺四銃士

揚茄子うどん。よじれた田舎麺はつゆをよく拾う。各種うどん、麺を3、4種から選べる。

小麦粉は40種以上試し、試作した麺の数は100種近くといううどんの探究者、倉田將昭(まさあき)さん。品書きにはその中から生き残った4種の麺が並ぶ。力強いコシの後、粘るようなモチモチ感がやって来るウルトラもち麺も気になったが、今回は田舎麺の揚茄子うどん並858円を注文。そうだ節、いりこ、利尻昆布などで出汁を引いた奥深い味のつけ汁に、素揚げしたナスがコクと甘みをプラス。小麦の香り鮮烈な麺をしっかりと受け止めるのだ。

店主の自宅1階を改装。
「入間のインデラカレーの工場のできたてカレー粉で作る、カレー肉汁うどん並968円もぜひ!」と店主。

『自家製うどん うどきち』店舗詳細

住所:埼玉県所沢市和ケ原1-691-62/営業時間:11:30~14:15(麺が無くなり次第終了)/定休日:火・水/アクセス:西武池袋線狭山ヶ丘駅から徒歩7分

平九郎茶屋

土鍋の奥に霊峰望む天空うどん

猪肉の脂もうまい猪鍋1300円は2人前~。3月ごろまでの限定。締めのうどんは1玉100円。

加藤ツチ子おばあちゃんは、富士山を望む顔振(かあぶり)峠の茶屋の看板を守り続けて60年。「50年前に林道が通るまでは、ビールもなんも自分たちの脚で荷上げしてたの」。時代は変われど、手打ちのうどんのコシの強さ、のめっこい(滑らかな)食感は変わらない。冬、猪鍋の締めにこのうどんを投入し、リンゴやニンニク、豆板醤などを加えた味噌ベースの甘辛つゆでグツグツ煮込んですすれば、体が芯から温まる。1時間以上かけ、登ってきてよかった!

「快晴の時は、大山、富士山、武甲山が一望できるの」とツチ子さん。シンプルなもりうどん650円も用意。

『平九郎茶屋』店舗詳細

住所:埼玉県飯能市長沢156/営業時間:9:00~16:30ごろ(4~10月は~17:00ごろ)/定休日:無/アクセス:西武池袋線吾野駅から徒歩1時間10分

本格手打ち かんたろう

ゴリゴリ麺を掲げ、武州の若武者見参

特製旨辛つくねの辛味、白菜の甘み、天かすのコクなどがつゆに溶け、後ひく旨さ。有田焼の鍋は最後まで熱々。

2019年春開店で早くも客の心をつかんだのが1cm近い太さの手打ち麺。何度も踏み鍛えたうどんを約6分の固茹でで提供するので、タピオカのようにはすすれない。だが、噛むほどに地粉の風味が広がるTHE武蔵野うどんなのだ。人気は特製旨辛つくね入り白味噌煮込みうどん1298円。企業秘密の白味噌とかつおやさばなど節類の旨味を重ねた出汁で作るつゆと極太麺のタッグは、中毒性高し。

羽釜で茹でる極太麺。つけ汁で味わう肉汁うどん869円も人気。
店主の二上(ふたかみ)友宏さんは所沢出身。夫婦でうどんを打つ。

『本格手打ち かんたろう』店舗詳細

住所:埼玉県所沢市東所沢和田1-44-1/営業時間:11:00~15:00・17:00~21:00/定休日:月/アクセス:JR武蔵野線東所沢駅から徒歩13分

涼太郎

所沢うどんの名店は今なお進化中

肉汁天付つけめん4L830円。4Lで麺約480g、3Lで約400g。

地粉の農林61号などをブレンドし打った麺は、外が堅く中モチモチ。噛むと塩気と地粉の香りが押し寄せる。「最近つけ汁の塩分を減らしかつおの出汁感を強めたんだ。そのつけ汁に絡むよう麺は昨年から細くしたよ」と店主・五十嵐昭久さん。ほかにもカップルでシェアできるよう、かき揚げを巨大化させたり、大人のミートソースうどんを考案したりと「お客を喜ばせたい」という店主の思いが炸裂!

赤ワインと国産牛のひき肉で作る大人のミートソースうどん1480円。つゆが混ざることでホッとする味わいに。
「東日本大震災後、みんなの気分を明るくしたくて内装を洋風に変えた」と店主。

『涼太郎』店舗詳細

住所:埼玉県所沢市くすのき台3-14-4/営業時間:11:00~14:45LO(麺が無くなり次第終了)/定休日:月/アクセス:西武池袋線・新宿線所沢駅から徒歩4分

さわだ

太い竹と腕で伸ばす郷愁うどん

もりうどん500円と肉汁50円、玉ねぎと春菊の天ぷら各70円。食べきれないときは、持ち帰りできるよう麺の下にはラップ。

2代目の澤田広志さんは裏山で採った極太の竹を使い、体重を目いっぱいかけて麺を伸ばす。「昔ながらの田舎うどんを打ちたいから、粉は農林61号100%。加水が多いと切れやすい粉なので水は少なめ、そのぶん力を入れて伸ばさないといけないんです」。あえて寝かさず朝の打ちたてを出すのも、小麦の風味を優先するため。褐色の麺をズズッとやれば、黄金色に輝く小麦畑の風景が頭をよぎる。

「裏山にはカモシカやタヌキもいる。確かに秘境だね」と店主。
一見、公民館のよう。畳か板敷きの部屋に座布団を敷いて食す。

『さわだ』店舗詳細

住所:埼玉県入間市根岸461/営業時間:10:30~14:00/定休日:月・金/アクセス:西武池袋線仏子駅から徒歩30分

cafeやまね食堂

コシと喉ごしを併せ持つ愉悦麺

手打ちうどん並盛り。麺は冷水で締めるか、ずり揚げ(釜揚げ)での提供かを選べる。この日の天ぷらはユズの皮など地元食材が彩った。スパイシーなカレーうどん800円も人気。

店主の森沢修さんは、名栗の主婦たちに麺打ちを教わった。「耳たぶぐらいのやわらかさ、押すとちょっと押し返すぐらいのコシが理想です」。教えをもとに修さんなりのアレンジを加えたうどんはコシがありつつ、ツルっとした麺肌が喉に心地よい。肉汁でいただく手打ちうどん並盛りは、たっぷりの天ぷらと小鉢が付いて、なんと900円!「 秘境でやってるから、この値段で出せるんだね(笑)」。

日差しの心地よい店内。
ウクレレを弾く修さんとベースが趣味の朋子さん夫婦で営む。

『cafeやまね食堂』店舗詳細

住所:埼玉県飯能市上名栗520/営業時間:10:30~16:00ごろ/定休日:月~水/アクセス:西武池袋線飯能駅から国際興業バス「名栗車庫」行きなど48分の「森河原」下車すぐ

取材・文=鈴木健太 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2020年2月号より

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